2019年6月24日、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港で、小包の中からオキシコドンの錠剤を見つけた米税関・国境警備局貿易の職員 (Johannes Eisele/AFP via Getty Images)

米国へのフェンタニル流入で「中国高官に制裁」 米下院で法案可決

米下院は25日、米国内での医療用麻薬フェンタニルの蔓延について、中国当局者の責任を追及する法案を可決した。

「2023年中国フェンタニル阻止法案(Stop Chinese Fentanyl Act of 2023)」は、2019年の制裁法における「外国人フェンタニル密売人」の定義を拡大し、合成オピオイドや前駆体の生産、販売、流通、資金調達に関与する中国企業を追加する。

また、オピオイド密売を防止するための「信頼できる措置」を取らなかった中国国内の企業や、オピオイド密売と闘うことを怠った中国高官に制裁を科す。

法案を提出した共和党のアンディ・バー議員は、中国共産党の罪を追及し「フェンタニルの生産を根源から断ち切る」と下院の演説で強調した。

2023年7月12日、ワシントンD.C.で開催された中国共産党による信教の自由への脅威に関す会議で発言するアンディ・バー下院議員 (Madalina Vasiliu/The Epoch Times)

フェンタニルはヘロインの約50倍強力と言われるオピオイドの一種。米国で合法的に製造・処方されているが、中国からメキシコ経由で米国に密輸される違法フェンタニルの過剰摂取により、死者が後を絶たない。昨年は11万人近くが薬物の過剰摂取で死亡しており、その3分の2はフェンタニルを含む合成オピオイドが関与している。

米中経済・安全保障問題検討委員会(USCC)は「フェンタニルの主な供給源は中国」と指摘する。司法省も取り締まりを強化しており、6月にはフェンタニルの原料となる化学物質を違法に取引したなどとして、中国企業4社と中国人の社員ら8人を起訴したと発表した。

超党派で立ち向かう

米議会は、党派を超えてこの法案を支持している。

共和党のロジャー・ウィリアムズ下院議員はエポックタイムズの取材に対し、「中国がフェンタニルをメキシコに拡散させ、米国に持ち込むのを阻止する必要がある」「それはつまり命を救うことになる」と述べた。

民主党のヘンリー・クエラー下院議員も「フェンタニルやその前駆物質が中国やインドからメキシコの2つの港に持ち込まれ、それが米国に密輸されている」と指摘。「米国はその供給元を確実に追及しなければならない」と語った。

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