目に見えない電磁界(電磁波)の危険性 (パート 2)

「マイクロ波症候群」の不気味な増加(上)

シリーズ「目に見えない電磁界(電磁波)の危険性」では、一般的な家電製品から5Gに至るまで、あらゆる場所に潜む電磁界・電磁波の影響と、脳と身体への影響について詳しく見ていきます。

2020年8月、マサチューセッツ州ピッツフィールドに住むコートニー・ジラルディさんの10歳の娘は、頭痛、めまい、耳鳴り、全身の倦怠感を訴えて目覚めました。

自宅から140m以内にある5G基地局が稼働した翌朝のことだったそうです。

それまで睡眠に関する問題は全くなく、いつも朝8時に起きていた彼女ですが、その日は午後まで下の階に降りてこなかったそうです。

「娘は具合が悪そうでした。頭痛、めまい、耳鳴りがすると言っていました。これまで彼女が自分の体調についてそんなふうに言ったことはありませんでした」とジラルディさんは語ります。

10歳の娘とその妹、さらにはジラルディさん自身も睡眠障害、心拍数の上昇、片頭痛に悩まされ始め、それからすぐにマイクロ波症候群と診断されたといいます。

マイクロ波症候群は、人が無線装置から発せられる電磁界にばく露した後に発症するとされています。 

マイクロ波症候群とは?

マイクロ波症候群とは、環境中に放射されるマイクロ波によって過敏症やその他の症状が現れることを指します。マイクロ波は、電子レンジで食品を加熱するために使用されるのと同じ電磁波です。

人々は主に無線機器やアンテナを通じてマイクロ波にさらされます。携帯電話基地局、Wi-Fiモデム、スマホ、タブレット端末、ウェアラブル端末、スマート家電は、1日24 時間、1年365日、絶えずマイクロ波を放射しています。

マイクロ波症候群の症状には、不眠症、頭痛、疲労、ストレス、痛み、発疹などがあります。また、マイクロ波症候群によって、慢性疾患を持つ人の既存の症状が悪化することも研究で明らかになっています。

マイクロ波の健康への影響: 現在までの発見

マイクロ波の健康への影響は長い間議論されていますが、業界が資金提供した研究では、マイクロ波への曝露と健康との間に関連性はないと結論付けられることがよくあります。

倫理的な配慮のため、人を対象にした無作為化研究はほとんどありませんが、人間、動物、細胞に対する前向き研究(一定期間にわたる追跡研究)は、生物に対して潜在的に有害な影響があることを示唆しています。

米海軍での医学研究

1971年、米国の海軍医学研究所の研究者は、高周波やマイクロ波の放射を含む、電磁界の生物学的影響に関する報告書を発表しました。報告書は、人間、動物、細胞に対する影響を分析しています。

慢性疲労症候群、多発性化学物質過敏症、低強度マイクロ波周波数電磁界の人体への影響を専門とするワシントン州立大学のマーティン・ポール教授は、生物学的な影響について次のようにまとめました。

・脳の構造、脳の機能、心理的反応、行動の変化を含む 40の神経精神医学的な影響

・甲状腺機能亢進症や下垂体機能不全などホルモンに関する8つの影響

・心臓の活動低下や心拍リズムの変化など心臓への影響

・染色体の崩壊、染色体の構造の変化

・精巣の組織的変化

・神経変性疾患の発生における重要な過程である細胞死

生物への影響には、ほかに代謝と消化の変化もあります。

バイオイニシアティブ報告

アルバニー大学公衆衛生大学院・環境健康科学の教授デイビッド・カーペンター博士が共著者となった「バイオイニシアティブ報告」では、電磁界と健康の相関関係を調査しました。それによれば、人体の最大許容曝露の業界標準である1キログラムあたり1.6ワットをはるかに下回るレベルでも、有害な生物学的反応が引き起こされる可能性があることが発見されました。

現在の基準は、マイクロ波が熱のみを介して人体に影響を及ぼすという仮定に基づいており、熱を介さない影響は無視されています。

しかし、報告では、携帯電話を介した0.00034マイクロワット(マイクロワットは100万分の1ワット)の非熱的な電磁界への慢性的な曝露が、精子数の大幅な減少に関連しているとされました。

さらに報告によると、0.02マイクロワットの電磁界に短期間さらされただけでも、児童や青少年は、頭痛、イライラ、学校での集中力の低下などを報告したといいます。

「誰にとっても安全、と絶対の自信を持って言えるレベルは実際にはありません」とカーペンター博士はエポックタイムズに語りました。

また同氏は、2007年の報告書の発行以来、無線技術の利用が急速に増加し、個人のマイクロ波への被ばく量が増加していることを考慮すると、生物学的影響のない基準を設定することは非現実的であると付け加えました。

この報告書は査読を通過していないとして批判を浴びることもありますが、報告書に収録された研究はすべて査読を受けています。

モスクワ・シグナル事件

1953年から1976年にかけて、モスクワの米国大使館に向けてマイクロ波送信が行われました。その帯域は2.5〜4ギガヘルツで、今日のWi-Fiおよび4Gネットワークの周波数範囲と一致しています。

米国政府は最終的に、このマイクロ波の放射はスパイ行為であり、大使館職員に重大な健康影響はないと判断しましたが、この結論には異議が唱えられています。

1975年、駐ソ米国大使のウォルター・ストーセル・ジュニアは病気にかかり、目から出血し、その後白血病で亡くなりました。他の大使館職員もがんを発症し、マイクロ波放射とがんの関連をめぐる論争が激化しました。

1年後、米国国務省は、モスクワ大使館職員とその家族の健康被害を、同様の曝露を受けていないと想定される東ヨーロッパの都市の大使館職員と比較する研究を依頼しました。この研究では、モスクワの職員はマイクロ波への曝露による重大な悪影響を受けていないことが判明しました。

しかし、2019年に発表された疫学研究のレビュー論文によれば、大使館職員の健康被害について当初発見された内容は、国務省によってその論調が抑えられ、いくつかの重要な疑問が未解決のままであることが示唆されました。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。