2020年11月5日、抗議デモを行うBLM運動のメンバー(宋昇樺/大紀元)

「プロライフ活動家を逮捕、BLMは放任」ワシントンD.C.が法の選択的施行

連邦控訴裁判所は15日、ワシントンD.C.当局が歩道にチョークでメッセージを書いたプロライフ(人工妊娠中絶の合法化に反対する)活動家を逮捕する一方で、同様の行為を働いた反差別運動ブラック・ライブズ・マター(BLM)の抗議者を見逃し、汚損防止法を「選択的に」執行したとする判決を下した。

裁判所は3対0で、フレデリック・ダグラス財団の提訴を棄却した下級審の判決を覆し、市当局がBLMの抗議者よりもプロライフ活動家に対して厳格な対処を行なったとの判決を下した。

2020年の夏、ワシントンD.C.の警察は、公共の歩道に「Black Pre-Born Lives Matter(生まれてくる前の黒人の命も大切だ)」とチョークで書いた2人のプロライフ活動家を逮捕した。しかし、同時期に、ペンキなどで街中にスローガンを落書きしたBLMの抗議者を取り締ることはなかった。

フレデリック・ダグラス財団などは2020年、D.C.連邦裁判所に市を提訴し、市による法律の選択的な執行が、憲法修正第1条および第5条の権利を侵害していると主張した。翌年に下級裁判所が訴訟を棄却したが、財団側はこの判決を不服として控訴していた。

トランプ大統領が任命したネオミ・ラオ巡回区判事は「憲法修正第1条は、政府の動機に関係なく、視点に基づく差別を禁止している。我々は汚損法の選択的な執行において、市が視点に基づく差別を行ったとする財団の主張に根拠があると認定する」とした。

市は取締りを「放棄」

ラオ判事は法廷文書の中で、BLM活動家への支持を表明するミュリエル・バウザーD.C.市長が、市道沿いに黄色のペンキで「Black Lives Matter(黒人の命も大切だ)」のメッセージを描くよう市職員に命じたことにも言及した。

このメッセージは後にBLM活動家たちによって修正され、「Defund the Police(警察予算を打ち切れ)」というスローガンが付け加えられた。

「警察官は(BLMによる)落書きが行われるのを見ていたが、それを止めるために何もしなかった。BLM活動家たちは、許可を求めることはしなかったが、汚損条例に基づき逮捕も起訴もされなかった」とラオ氏は記している。

プロライフ活動家らは控訴裁判所の判決について「言論の自由はすべての人のためのもの。判決を嬉しく思う」とコメントした。

2013年にスタートした黒人権利運動BLMは、白人至上主義や黒人差別根絶を掲げ全米に広がった。2020年に勃発したBLMによる抗議活動では、デモ活動が暴動と化し、略奪や破壊行為が発生した。

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