3月、カリフォルニア州サンディエゴで開催されたAUKUSサミット(Photo by Leon Neal/Getty Images)

日本と韓国はAUKUSに参加すべき=英外交委

英国の外交委員会は、日本と韓国が米英豪三国間同盟(AUKUS、オーカス)に参加すべきと提案した。8月30日発表の同委員会の報告書では、インド太平洋地域で増大する中国共産党に対抗するための戦略をいくつかまとめた。日韓の参加によってAUKUSの技術能力を強化を掲げる。

委員会は、「AUKUSはオーストラリアの原子力潜水艦獲得だけにあるわけではない」とし、「サイバーや先端技術の共有や共同開発が、同等かそれ以上に重要である」と説明している。

提案によれば、日本と韓国との新たな同盟は、サイバーAI、量子、潜水艦検出を含む海中技術などの先端技術に主に焦点を当てる。委員会は両国の加入によって、潜水艦プログラムよりも早く「具体的な成果」をもたらし、英国に経済的、安全保障上、技術的な利益を提供できると指摘した。

米海軍士官であり中東研究所のフェローであるジャスミン・アルサイエド氏によれば、日韓の参加により、「統合的な抑止姿勢」が形成され、インド太平洋地域の地政学的環境を変える可能性があるとした。

アジアタイムズへの寄稿文で、アルサイエド氏は新AUKUSが地域の緊張が高まり不安定な時期にあるなか、同志国間の「信頼を築く手段を強化するだろう」と指摘する。いっぽうで、日韓とは核技術の共有には至らないだろうとも分析した。

外交委員会はまた、英国が日米豪印による4カ国安全保障対話(クワッド、QUAD)に加わるよう促している。クワッドは自由で開かれたインド太平洋を作り出すことを目指している。

中国共産党はAUKUSとクワッドを繰り返し「反中国の対中包囲網」であり、「分裂と冷戦施行を煽る」と主張している。しかし、英委員会はこうした主張を否定し、これらを敵対的なものであると描くことで「誤解を招いたり、虚像を描いたりするべきではない」と一蹴した。

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