【雅(みやび)を語る】

親との関係が緊張している時は、どうすればいい?

現実の生活において、多くの人々は親に対して、不満や怨みを抱いています。これらの怨みはさまざまな理由から生じ、親との関係を阻害するものとなっています。伝統的な文化において、この問題はどのように扱われるのでしょうか?

春秋時代に、閔子騫(びんしけん)という人物がいて、彼は孔子の弟子でした。閔子騫は、幼い頃に母親を亡くし、父親は継母に李を迎えました。李は2人の実子をもうけました。実子には非常に良くしていましたが、閔子騫にはひどく冷たかったのです。冬になると継母の李は、2人の実子に綿で作った冬着を与えましたが、閔子騫には葦で作った冬着しか与えませんでした。綿は保温性がありますが、葦は保温性がないのです。

ある日、父親が遠方から帰ってきて、親戚や友人を訪ねるために馬車に乗ろうとしました。外は北風が吹き荒れ、雪が舞っていました。馬車を引く閔子騫は、葦で作った冬着を着ていたため、寒さで全身が震え、手も凍りついて縄を持てず、縄は地面に落ちてしまいました。父親は彼が怠けていると勘違いをし、鞭を手に取り閔子騫を打ちました。

しかし、鞭が当たると薄い葦が、破れた衣服から舞い上がってきました。父親はこれを見て初めて自分が息子を誤解していたこと、継母の李が、自分の子供に対して不公平な扱いをしていたことに気づいたのです。

怒りに駆られた父親は家に戻り、妻を家から追い出そうとしました。しかし、閔子騫はそれを聞くと、すぐに泣きながら地面に跪き「母親がいれば、1人だけ寒い思いをすればすみますが、母親がいなくなれば、3人が一緒に寒さに耐えなければなりません」と言ったのです。

父親はそれを聞いて思い直し、継母の李は、非常に恥じ入りました。彼女は閔子騫が自分をこれほど思ってくれたことに驚き、それ以降、閔子騫を我が子と同じように大切に扱うようになったということです。

日常生活の中で、他人が私たちに対して悪い態度を取ると、私たちも簡単に他人に対して悪い態度を取りがちです。しかし、閔子騫を見てください。継母の非難に直面した彼は、まだとても小さかったにも関わらず、自分だけのことを考えるのではなく、家族全体や、他の2人の弟のことも考えたのでした。

彼は黙々と忍耐し続け、その結果、その心が最終的に継母の心を打ちました。親が私たちを愛し大切にするとき、親孝行をすることは難しいことではありません。しかし、親が私たちを好きではないときにも、私たちが変わらず親孝行できるのは、高潔な品性の現れではないでしょうか。

実際に、私たちは両親を選ぶことも兄弟姉妹を選ぶこともできません。一生涯、家族同士の巡りあわせは運命によって定まったものです。

中国文化では、「学問は内にあり、外に求めず」と言われています。これは、私たちがお互いを大切にするためではなく、私たちが正しい道を歩むために、内面の徳を輝かせ、自分自身が果たすべき責任を全うするために、私があなたに親切であるという意味です。深いですね。

 

雅蘭