友人間における智慧【雅(みやび)を語る】

人間は集団の生き物です。社会に出ると、いつか必ず他人の助けを必要とするでしょう。では、どのような友人を大切にすべきでしょうか?

人間にとって、最大の安らぎは心の安らぎだと聞いたことがあります。
昔、このような記事を読みました。1人の人間は2、3人の友人を必要とし、何か困ったときや煩悩に悩まされた時は、この2、3人に相談すると良いといいます。
しかし、実際に携帯電話の連絡先を開いてみて、確かに長いリストになっていますが、本当に心を交わせる人は何人いるのでしょうか?例え恋人であっても、夫婦であっても、心が通じ合わない時があると感じることはありませんか?

このようなお話があります。春秋時代、伯牙という古琴の名手がいました。彼が古琴を弾いている時、鍾子期という者が傍で静かに聴きます。彼が聳(そび)え立つ山に登る気持ちで古琴を弾くと、鍾子期は「素晴らしい音色だ!まるで雲に隠れる泰山が見えたようだ」と感動します。また彼が川の流れを思い浮かべて弾くと、鍾子期は「素晴らしい音色だ!まるで広大な長江あるいは黄河のようだ」と気持ちを高らかにします。伯牙が表したい気持ちを、鍾子期はすべて感じ取ることができ、伯牙は「多くの友人がいるが、心の通じ合える友は君しかいない」と感嘆したのです。

2人は非常に仲の良い友人となりました。鍾子期が病で亡くなった後、伯牙はその墓の前で自作の「高山流水」を演奏し、そして、琴を壊して絃を絶ち、その後、生涯琴を弾きませんでした。この琴曲は、知音(親友)を見つけることはなかなか難しいことを表現しており、現在でも愛されています。

心の通じ合う親友は意図的に探し求めても見つからないものです。もし、現段階でまだ何でも話し合える親友がいなければ、焦らずに他の分野で気持ちをリラックスさせましょう。例えば良い本を読むことも自分のためになり、音楽を聞くことで安らぐことができます。

中国では、昔から数量の多さよりも質や効率を重んじることが重視されてきました。一生の中で、心の通じ合う友人は2、3人いれば十分です。何か悩みがある時、困った時、楽しい時、絶望した時、常に傍で支えてくれ、幸せを分かち合える友人がいることは、生きていくのに大きな励ましと勇気になるでしょう。

雅蘭