在香港日本国総領事館の岡田健一総領事は、2019年の民主化運動が始まって以来、日本人の香港に対する印象は悪化し、香港と中国本土は大なり小なり同じになってしまったと考えていると述べた(宋碧龍/大紀元)

原因は反送中運動か円安か 香港が日本の旅行先観光ランキングトップ10から脱落

3年にわたったゼロコロナ政策が撤廃された後、香港と日本の観光客数には大きな差が生じている。香港は日本の年末年始人気旅行先トップ10から転落した。

今年1〜10月の香港から日本への渡航者数は166万2800人だったのに対し、日本から香港への旅行者数は約25万人にとどまり、その差は5倍以上となった。

香港メディアによると、香港から日本への旅行者は、2019年との同期比で9.7%下落している。日本政府観光局が実施したオンライン調査によると、国境再開後に日本へ3回以上旅行したと答えた香港人は26%にも上り、27%は2回行ったと答えた。

一方で、日本人の香港旅行への熱意は薄れているようだ。訪日香港人と香港への日本人訪問者数の差は、2019年の約2倍から、今年1~10月は約5倍に広がった。

日本の大手旅行会社HISが予約データを分析したところ、香港は2019年に、日本人の年末年始海外旅行先総合ランキングで第7位だったが、2020年以降はトップ10から転落している。

12月20日、在香港日本総領事の岡田健一氏は香港メディアに対し、円安の影響に加えて、欧米や日本のマスコミが2019年の香港民主化デモを報道した後、日本人の香港に対する印象が悪化したと語った。

2019年6月9日に、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」に反対するデモ(反送中運動)が行われ、当時、香港の人口4分の1近くの100万人がデモに参加した。

その後、大規模なデモや集会が相次いだが、いずれも香港警察によって鎮圧され解散した。反送中運動から今年で4周年を迎えたが、いまだ1万人以上の香港人が収容中で、そのうち7千人近くはまだ判決を受けていない。

日本政府観光局香港事務所の大沼英悟所長は、香港の宿泊費は高く、数千香港ドル(1千香港ドルは約1万8千円)に上ることもよくあると話した。日本の公的機関が従業員を香港に派遣する場合、法定の宿泊手当では香港での宿泊費をまったく賄えないと説明している。

そのことから香港を訪れる日本人旅行者数の減少は、日本円の為替レートの低さも関係しているとも分析されている。

ラジオ・フリー・アジアは、日本の新聞社の編集者である佐籐氏(仮名)の話を引用し、2019年の逃亡犯条例反対運動や周庭氏の逮捕を報道・執筆した多くの記者やカメラマンが入国を拒否されたものの、香港の好きな日本人が香港に旅行することは止められなかったと報じている。

佐籐氏は「日本人は別に香港に行くのが嫌いなわけではない」と述べ、「台湾に行く日本人も多くはない。台湾の訪日観光客と比べるとはるかに少ないのだ」と説明した。

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