米軍は12日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の拠点を再び空爆した。当局者2人が明らかにした。写真は作戦に参加する戦闘機。米軍提供の映像を使用(2024年 US Central Command via X/Handout via REUTERS)

米軍、フーシ派拠点を再び攻撃 中東情勢さらに緊迫化の懸念

[ワシントン/アデン(イエメン) 13日 ロイター] – 米軍は12日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派の拠点を再び空爆した。当局者2人が明らかにした。米英両軍による前日の攻撃に続くもので、バイデン大統領はフーシ派が紅海で商船や軍艦への攻撃を継続するなら追加攻撃も辞さない考えを示していた。

当局者の1人は追加攻撃でレーダー施設を標的にしたと述べた。

米英両軍は11日夜、イエメン領内のフーシ派支配地域を攻撃。目撃者によると、首都サヌアの空港に隣接する軍事基地やタイズ空港近くの軍事拠点、ホデイダにあるフーシ派海上部隊基地、ハッジャ州の軍事拠点などが標的になった。

フーシ派系テレビ局はサヌアが米英軍による攻撃で標的になったと伝えた。

フーシ派は報復と紅海での商船攻撃の継続を表明し、中東地域で紛争がエスカレートする懸念が高まっている。

バイデン大統領はペンシルベニア州で記者団に「フーシ派がこの暴挙を続けるならば確実に対応する」と強調した。

米軍によると、米英軍は28カ所で60の標的を攻撃した。国防総省はフーシ派の攻撃能力を低下させたと発表した。

米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は、今回の攻撃はフーシ派のミサイルや無人機の保管、発射、誘導能力を標的としたもので、その影響を評価中と述べた。

フーシ派は、計73回の空爆によって、戦闘員5人が死亡したと発表。イスラエルの攻撃を受けているパレスチナ人を支援するために、報復と船舶攻撃を継続すると言明した。

イエメンでは、米英軍による攻撃に対する大規模抗議集会が開かれ、複数都市で数万人もの人々が集会に参加し、フーシ派幹部の米英に対する非難に聞き入った。

<非難の応酬>

国連安全保障理事会が開いた緊急会合で、米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「フーシ派が船舶・商船に無謀な攻撃を続ける能力を阻害し、減滅させる」ためだとしてイエメンでの攻撃の正当性を主張した。

ロシアのネベンジャ国連大使は先に、米英が「独断で」パレスチナ自治区ガザの紛争が他に波及する引き金を引いたと非難した。

イラン国営メディアによると、イラン外務省の報道官は「米国と英国がイエメンの複数都市に対し行った軍事攻撃を強く非難する」とし、地域の「不安定性」を煽ると警告した。

今回の攻撃を巡り、全ての米国の主要同盟国が攻撃を支持したわけではない。

オランダ、オーストラリア、カナダ、バーレーンが情報(インテリジェンス)とロジスティクス面で支援を提供。これら6カ国にドイツ、デンマーク、ニュージーランド、韓国を加えた計10カ国が今回の攻撃を正当化する共同声明に署名する一方、イタリア、スペイン、フランスの3カ国は、攻撃を正当化する共同声明への署名も拒否した。

供給混乱への懸念から、12日の取引で北海ブレント原油先物は一時2ドル超上昇したが、その後に上げ幅を縮小した。

バイデン大統領は中東の戦闘が原油相場に与える影響を「非常に懸念している」と述べた。

フーシ派の商船攻撃を背景とした紅海の物流混乱によるサプライチェーンの混乱やインフレ高進を巡る懸念もくすぶる。

米電気自動車大手テスラは11日、独ベルリン近郊の工場で今月29日から2月11日まで自動車生産の大半を停止すると発表。紅海で相次ぐ商船への攻撃と、それに伴う海運ルートの変更が影響し、部品不足に陥っているとした。

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