(大紀元)

高智晟著『神とともに戦う』(77)権利を護りぬいた軌跡「マスメディアは人としてあるべき所に立ち返るべきだ」(2)

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あれから一年が経ったが、私はまた偶然にも「南方週末」で同様の文書を目にした。掲載記事「庶民的な常務委員・劉春樵氏」の概要であるが、前中央委員で元湖南省常務委員会委員の劉春樵氏は、在任中は清廉潔白で、定年退職した後は養豚業をしたりお茶を販売したりしているとの内容だった。新聞記事中ではそれを「共産党員の本来の面目」だと称えていた。

その言い方に対して厳重に言えば、それは中華民族全体の人間性と品格に対する侮辱である。この認識に基づく共産党員の道徳と品格についての評価は、完全に民族性と対立し、民族性から背離してしまった。まるで中国では、共産党員の身分を獲得できた人でも、ようやくその程度の品格と道徳教養レベルにしか達することができないようである。とんでもない理屈である。

少し前にはまた、北京の裁判官・宋魚水氏が北京のマスメディアから絶賛されていた。宋魚水氏本人がこの件をどう見ているかについて、全く想像がつかないが、汚職もしなければ悪事もしない官僚が存在しない今日において、確かに宋魚水氏は立派である。しかし彼女はただ真面目に職責を履行した人に過ぎず、英雄ではなかったはずだ。

にもかかわらず英雄だと称えられたことは、中国マスメディアの品行における欠陥であり、人々の価値観に障害をもたらす原因となっている。全ての報道機関が長きにわたってひたすらに、ただ真面目に職責を履行するごく普通の人をスーパーヒーローとみなして誇大宣伝をしていることは、報道機関を操る権利集団にしてみれば、かなり前向きで意義のある事に思えるかもしれないが、しかし歪んだ価値観はその行為のもう一つの意味を忘れさせている。

即ち、これらの報道はまるで、権利集団の内部には真面目に職責を履行する人が稀少極まるという事実を、恥知らずにも公然として世間に告げているようである。そうして必然的に、たまに宋魚水氏のように真剣に本職に取り込む人が現れると、珍しい英雄だとおだて上げるという現象が表れたのである。

宋魚水氏の話題を過熱化させた一連の報道を通じて、私は宋魚水氏の品格と情操とは完全に背理した集団について冷静に見つめることができた。つまり職責をいい加減にごまかし、汚職腐敗し、無為徒食に日々を過ごし、納税者を欺く集団だ。「先進者」に対するこのような宣伝手段は、先進性そのものに対する値打ちをひどく貶めたのである。今回の件は実質上、宋魚水氏以外の厖大な集団に対する暴露と徹底的な否定である。

共産党員の先進性を宣伝する際に、中国の報道機関とニュース報道関係者は、まず現実からかけ離れないよう人間性に立ち返るべきだ。そうすれば人間らしい思惟や人間らしい思惟に近いロジックをもってニュース報道を構想し執筆することができるようになるだろう。

現実社会に立脚する報道機関と報道関係者としては、まず手を尽くして共産党員の先進性を世間の評価基準へと回帰させるべきである。あってはならないのは、民族の全ての美点を党員に帰する事だ。それから共産党員に対する人間離れした過大評価は、見苦しくとんでもない価値観である。

我々が中国の報道機関と報道関係者に寄せる期待はそれほど高くないはずだ。それはただ、共産党員を人間としてみてもらう事だ。当然、それを実現する大前提は、まず報道機関及び報道関係者自身が、人間性をわきまえなければならない。人間性をもって物事を行い、人間性をもって報道記事を執筆することである。

(続く)

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