西方極楽世界遊記 (上)【未解決ミステリー】

不可解に満ちた消失の6年間

1967年旧暦10月25日、福建省の麦斜岩(ばくしゃがん)寺の住職・寬淨(かんじょう)法師は突如姿を消しました。最終的に捜索隊まで出動しましたが、その姿はどこにもありませんでした。法師の行方が謎めいたまま、6、7年過ぎ、ある日、何の前触れもなく、法師は再び姿を現したのです。では、この期間中、寬淨法師はいったいどこに居たのでしょうか?

法師自身の説明によると、当時、福建省徳化県上九仙山弥勒洞窟の中におり、一度として洞窟を出たことはないとのことですが、不思議なことに、中に入った救助隊は法師の姿をどこにも発見できなかったのです。

寬淨法師はこの6、7年間、西方極楽世界をめぐり歩き様々な経験をし、しかも確かに1日しか滞在していなかったというのです。これは一体どういうことなのでしょうか?

旅先での不思議な出会い

寬淨法師の紹介によると、その日、「圓觀(えんかん)」と名乗る老法師に出会い、 ともに弥勒洞窟へ向かいました。しかし、熟知しているはずの道のりが、いつの間にか霧に包まれ、気づけば、全く知らない場所にいたのです。

道中至るところで荘厳な金の殿堂が立ち並び、 宝塔が悠然と輝き、寬淨法師は眩しさのあまり見とれるばかり、まさに道楽にうつつを抜かすばかりといった様子でした。 しかし、圓觀老法師は「もう時間がない」と急ぐように促しました。「天上の一日、地上は既に千年」という言葉がまさにその通りです。

いつの間にか奇妙な橋にたどり着きました。橋の中央部分だけが宙に浮いていて、橋の始点も終点もないのです。これをどうやって渡るのでしょうか?

圓觀老法師は寬淨法師にお経を唱えさせました。寬淨法師がお経を唱え始めると、目の前の光景がたちまち変わり、橋の前後が大地に向かいくっついて一つになり始め、黄金の光が煌めき、さながら七色に輝く一筋の虹のようになったのです。

これに対し、老法師は、「お経を唱える前は、カルマの障害によって本性が遮られ、聖域を見ることができない。しかし、お経を唱え、真言を唱えた後では、仏の教えの祝福を受けて、カルマの障害が取り除かれ、本性が明らかになり、迷いから覚りへと変わり、その時初めて見ることができる」と答えました。

橋を渡ったところ、二十数名の人々が迎えに来ましたが、全員圓觀老法師の前に跪き、頭を下げたのです。皆さんの行動を疑問に思ったところ、寬淨法師の師であり、現代中国の三大僧侶の一人である虛雲老和尚が姿を現しました。寬淨法師はすぐに頭を下げ、感激のあまり涙を流しそうになりました。 虛雲老和尚によると、 なんと、圓觀老法師は観音菩薩の化身だというのです。

寬淨法師はすぐに跪いて拝みました。 これまでずっと観音様のことを思ってきたのに、いざ観音様を目の当たりにすると、かえってなんと言っていいのかわからなくなってしまいました。

しばらく話をした後、観音様がおいでになり、寬淨法師を前庭に連れて行き、さまざまな仙禽奇鳥(せんきんきちょう)や仙花異草が咲き乱れる絢爛華麗(けんらんかれい)なる天上の景色を眺められました。 様々な楼閣や館、宝塔やお堂が光り輝き、この世のどことも比べられない天上の極楽がそこに広がっていました。

少し経つと、観音様は寬淨法師を西方極楽浄土へと連れて行きました。

 

阿弥陀仏に拝謁

2人は蓮の花に乗って空中へと舞い上がり、天界の美しい景色がすぐそばをかすめます。おおよそ15分ほどで金砂の敷き詰められた地面に着き、見渡すと、数十メートルの高さの大木が何列も立ち並び、金の枝と玉の葉を持っています。葉の形は三角形、五角形、七角形のものがあり、それぞれの木が光を放ち花を咲かせ、その上には、光を放つ美しい鳥たちが棲んでいます。鳥には2つの頭や数個の頭、2枚の翼や数枚の翼があり、自由に飛び回り、阿弥陀仏の聖名を歌っています。周囲には七色の欄干がありました。

観音様は何も言いませんでしたが、この場所こそ「西方極楽浄土」なのです。

歩き続けていると、やがて大きな金色の山の前に来ました。観音様は突然、「 阿弥陀仏がいらっしゃいます、見えますか?」と言いました。

しかし、阿弥陀仏の姿はどこにもありません。

すると、観音様は、「今、阿弥陀仏の足の指の先に立っています」と言いました。

寛浄法師は本当に驚きました。阿弥陀仏の体がこんなに大きくては、とても全体を認識することはできません。そこで、寛浄法師は跪いて阿弥陀仏の加持を賜れるよう祈りました。すると、自分の体がどんどん大きくなると感じて、阿弥陀仏のお腹の高さまでになり、阿弥陀仏のお顔をようやく拝むことができました。

そのお顔は非常に荘厳で、目は一片の大海原のように大きく、これは例えではなく、寛浄法師は本当に人間の世界の海のように大きいと言いました。

寛浄法師は、うっとりとして、何も言えませんでした。しかし、そろそろ人間界に帰る時間です。とはいえ、佛国の美しい境界を見てしまった今となっては、誰がまたあの苦しい人間界に帰りたいと思うでしょうか。

そこで寛浄法師は、阿弥陀仏の慈悲を乞い、自分を残してくれるよう懇願しました。阿弥陀仏は偈語(げご)を唱えました。

そして、寛浄法師は突然全身が震え、以前の記憶がすべて湧き上がってきました。自分の使命と願いを悟って、寛浄法師はもう阿弥陀仏に求めることをやめ、仏陀を礼拝し、極楽浄土を見物する準備をしました。

(つづく)

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https://www.epochtimes.jp/2023/04/148476.html

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