中国海警局の船の資料写真(Photo by JAM STA ROSA / AFP)

フィリピン船に突っ込む中共船 接触の映像が公開

フィリピンは3月5日、中共海警局の船が「危険な操作」を行い、接触し、フィリピン沿岸警備隊の船が軽微な損傷を受けたと主張した。フィリピン側の船は、補給任務を実施中だった。

フィリピン沿岸警備隊(PCG)のジェイ・タリエラ報道官は、ソーシャルメディアXで両船の接触の映像を公開した。

映像では、中共の船がフィリピンの船に突っ込んでいき接触する様子が見られる。フィリピン側の乗組員は浮き球を使用して船体の損傷を軽減しようと試みていたが、その間、中共側の乗組員は冷ややかに見守り、カメラで記録していた。

タリエラ氏は、この接触により、フィリピン沿岸警備隊の船が軽微な損害を被ったと述べた。 タリエラ氏は、「彼らの無謀かつ違法な行動が接触を引き起こした」と語った。

南シナ海の環礁、セカンド・トーマス礁の領有権をめぐり、フィリピンは1999年、その浅瀬に第二次世界大戦時の上陸艦を意図的に座礁させ、フィリピンの主権を主張した。それ以来、フィリピンは定期的にその艦に駐留している人員に補給している。

それに対して、中共海警局はフィリピン船がその浅瀬近くの水域に不法に侵入したため、対応措置をとらざるを得なかったと主張している。

中共は、セカンド・トーマス礁を含む南シナ海のほぼ全域の主権を主張している。数百隻の船を展開してパトロールしているが、これには「海上民兵」も含まれている。

2016年、ハーグの常設仲裁裁判所は、中共が主張している南シナ海における広範な主権主張は法的根拠がないと裁定した。

裁定によると、セカンド・トーマス礁はフィリピンの排他的経済水域内に位置している。しかし、中共政府はこの裁定を一貫して受け入れていない。

4日には、フィリピンのボンボン・マルコス大統領が豪州のフォーラムで、フィリピンは中国との協力を望んでいるが、フィリピンの主権と海洋権益が無視された場合には反撃すると述べた。

前政権と異なり、ボンボン・マルコス大統領は、フィリピンの排他的経済水域での中共の侵略行為を非難している。放水銃や「軍用級」レーザー、または船をぶつけ相手船を損傷させる戦術などを使用してフィリピン船を追い払おうとする中共政府を批判している。

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