スウェーデン治安機関Säpoは移民裁判所に対し、中国人記者は10年以上にわたってスウェーデンの安全を脅かす活動に関与していたと述べた(Säpo)

スウェーデン、中国人プロパガンダ要員を国外追放

4月8日、スウェーデン・テレビ(SVT)は、スウェーデン政府が過去十数年間、国家安全保障に重大な脅威を与えたとして、中国人女性記者(57)を国外追放し、再入国を永久に禁止したと報じた。

SVTによれば、その女性記者は広報活動(プロパガンダ)の仕事に加えて、中国共産党(中共)のスウェーデン大使館や、中共の諜報員とされる人物に協力しており、中共政府や中国企業代表団を何度もスウェーデンに招き、スウェーデン政府機関への訪問を手配しようとしたことが、本人のメールから判明した。

また、中国共産党を支持する活動をスウェーデンで積極的に行っている。中共の支配下で、約100万人のウイグル族ムスリムが新疆の収容所に拘束されているが、女性記者は新疆写真展を開催し、新疆を幸福の地域としての美化されたイメージを描こうとしていた。

スウェーデン治安機関Säpoは移民裁判所に対し、この中国人記者は10年以上にわたってスウェーデンの安全を脅かす活動に関与しており、「当局が入手できる情報は非常に信頼できるもので、控訴人はスウェーデンの安全に対する深刻な脅威となっている」と語った。

名前が非公開となっているこの記者は、約20年前にスウェーデンに来て、スウェーデンの永住権を持ち、スウェーデン人男性と結婚し、子供もいるという。

スウェーデンメディアのKinamediaは、中国人女性記者は、ネットメディア「Green Post(グリーンポスト)」の編集長、陳雪霏であり、欧中文化協会の会長も務めていると報じた。

陳は昨年10月にスウェーデンの治安当局に逮捕された。スウェーデン移民庁は昨年11月、陳を強制送還する決定を下した。 彼女の上訴はスウェーデン政府によって却下され、今年4月4日にスウェーデン法務大臣がスウェーデン移民庁の決定に署名した。

スウェーデン国立中国センター(NKK)が昨年7月に公開した報告書によれば、グリーンポストが掲載したコンテンツの一部は、中国(共産党)大使館から報酬を得ている。同メディアのコンテンツの多くは、協力関係にある中国共産党のメディアや、中国共産党統一戦線組織に関係する人物から直接提供されている。 

しかし、陳の弁護士、ロイトリム・カドリウ氏はスウェーデンのテレビに対し、スウェーデンの国家安全保障に対する脅威を否定していると語った。

スウェーデンの隣国であるノルウェーの放送協会(NRK)は、陳がノルウェーやデンマーク、フィンランド、アイスランドといった北欧諸国でもいわゆる「記者」の仕事をしていると報じている。

スウェーデンは西側諸国の中で、最初に中共と外交関係を樹立した国だ。改革開放後、中共と二国間投資保護協定を締結した最初の国でもある。中共はスウェーデンに110億米ドル(約1兆6700億円)以上を投資している。しかし、両国関係は近年ますます緊張している。

2015年、スウェーデン系中国人の桂敏海氏は、香港の銅鑼湾書店で「習近平とその恋人たち」を販売したことで、 中国共産党に密かに拉致され、長期拘留された。 中共はスウェーデン政府の要請にもかかわらず桂敏海氏の釈放を拒否し、「外国への違法な情報提供」の罪で2020年に10年の禁固刑を言い渡した。

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