2023年8月25日、ジョージア州アトランタにあるアメリカ疾病対策予防センター(CDC)本部。(Madalina Vasiliu/The Epoch Times)

「日本版CDC」来年4月に設置へ 名称は国立健康危機管理研究機構(JIHS)

日本政府は9日、感染症対策のための新機構を来年4月に創設すると発表した。新機構の名称は国立健康危機管理研究機構(JIHS)。世界の感染症対策を牽引する国内の「感染症総合サイエンスセンター」となり、グローバルなネットワーク構築を促進することをビジョンとして掲げる。

これまで新型コロナ関連の研究に取り組んできた国立感染症研究所と、治療に取り組んできた国立国際医療研究センターを統合し、感染症対応を中心に据えた組織として再編される。

同機構の準備委員会はこれまで、委員会内での議論に加え、感染症対策を責務とする海外機関であるアメリカ疾病予防管理センター(CDC)や英国保健安全保障庁(UKHSA)、世界保健機関(WHO)、有識者からのヒアリングも実施してきた。

JIHSの統括部門は司令塔である「危機管理総局」を中心に据えた5部門構成。国内外の研究機関や医療機関などに加え、地方組織との連携を強化して、平時から国内外の感染症に関する情報を収集し、国民の不安の軽減や理解の促進に資するよう分かりやすい情報発信や情報共有を行うという。有事の際には、「危機管理総局」を残りの4部門が支援し、有事のフェーズ(段階)ごとに柔軟にチーム編成を変更できる組織体系を取る。

海外機関からのヒアリング

準備委員会が発表した声明では、海外の政府などの機関から実施したヒアリングの内容がまとめられている。

2月16日、UKHSAのイザベル・オリバー博士(科学研究局長兼最高科学責任者)は、同機関にワクチン開発と評価のための新しいセンターを設立したことや、産業界や大学等と協力しながら作業を加速していきたいとの意気込みを語っている。

「幸い私たちの組織には非常に優秀な科学者が在籍しているが、産業界や学術機関など我々より高い給料の支払いができる他の機関との競争であり、我々の研究がいかに(中略)優れた科学者を惹きつけることができるかどうかが重要」とオリバー博士は付け加えた。

同日、WHOのサラ・ハーシー氏(健康緊急事態プログラム保健緊急情報監視システム部長)は、現在日本が検討している組織体系に関して、「指揮系統について、強い監督能力、権限を持たせるというのは、極めてよい考え方」との見解を示している。

また、WHOの規制当局との協働の仕方についての質問に対する回答として、 「有事においては通常の規制のあり方から有事の規制のあり方に change・shift(移行)しなければならない」とハーシー氏は述べている。

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