鍼治療はリスクの少ない治療法で、驚くほどの効果をもたらしうる。 (Bjoern Wylezich/Shutterstock)
ストレス・がん・微生物叢の悪化 診断から始まる悪循環

がんとストレス: 医師と患者が共に管理すべき致命的な組み合わせ(下)

治療中にがんが転移し、他の部位に広がることが懸念されるため、継続的なストレスはがん患者にとって特に問題です。

Molecular and Cellular Oncology誌に掲載された2016年の研究では、神経系が「闘争・逃走反応」の状態に陥った場合、または慢性的にスイッチが入った状態になった場合に、がんがどのように転移するかを確かめました。神経炎症シグナルはリンパ組織と血管構造を変化させ、リンパの流れを増加させます。 腫瘍細胞がリンパ系に侵入すると、患者の予後はさらに悲惨なものになります。

医師が乳がん患者の手術後にリンパドレナージ(リンパの流れにそって皮膚をさする手技)を推奨することは珍しくはありません。訓練を受けた専門家による穏やかな施術は、リンパ浮腫(手術後に発生する可能性のある腫れ)のリスクがある状況でリンパの流れを適切に保つのに役立ちます。

▶ 続きを読む
関連記事
大腸がんは「いつ治癒といえるのか」。3万5,000人超のデータから、手術後6年で再発率が0.5%未満になる重要な節目が判明。長年の不安に明確な指標を与える最新研究の意義を分かりやすく紹介します。
更年期以降、腸内細菌叢の変化が炎症やホルモン代謝に影響し、乳がんなど一部のがんリスクに関係する可能性があります。腸の乱れとがんの関連、改善策を解説します。
ごく小さな「げっぷ」や胸の違和感――それが命に関わるサインかもしれません。見逃されがちな消化器がんの初期症状、早期発見の重要性、最新治療まで、知らないと危ないポイントを丁寧に解説します。
免疫療法は自分の免疫系を直接働かせ、がんと闘う力を引き出す治療法です。腸内環境、食事、運動、ストレス管理などの生活習慣が、免疫反応や治療効果に影響することが明らかになっています。
肝がんは急に発症するのではなく、肝臓への負担が長年蓄積し、線維化・肝硬変を経てがん化へ進行します。この過程には介入の時間があり、飲酒習慣や脂肪の代謝改善、ウイルス感染の管理で発症リスクを大きく下げることができます。