PAP塗抹標本から採取した正常なヒト子宮頸部扁平上皮細胞。(Komsan Loonprom/Shutterstock)
無視されがちな子宮頸がんの根本原因

HPVの背後にいる子宮頸がんの真犯人とは(中)

2020年に発表された中国の研究では、549人の女性患者を対象とした後方的研究(過去の症例を集めて仮説を検証する研究)の結果、性的パートナーが多いほどHPV関連がんの発症リスクが高いことが判明しました。複数の性的パートナーがいるグループは過去6ヶ月間に複数の男性パートナーがいた患者で構成され、複数の性的パートナーがいない群は同一の男性パートナーがいる患者や過去6ヵ月間に性行為がなかった患者、同一の男性パートナーと時々性交渉を持った患者で構成されました。

複数性的パートナー群は、16型または18型およびその他の高リスク型のHPVへの感染を含むHPV陽性と有意に関連していました。彼らはまた、より重度の前がん病変、特にCIN-IIとCIN-IIIにおいて有意に高い割合を示しました。CINとは子宮頸部上皮内新形成のことで、子宮頸部の外側の裏地(上皮内組織)の表面に異常な細胞増殖(新形成)が見られることです。子宮頸部異形成としても知られています。

生物学的には、複数の性的パートナーを持つことは、膣内の微生物組成の異常の一因となり、HPVの持続感染に影響します。また、HIVのような他の性感染病原体の侵入を招く可能性もあります。HIVは免疫力を傷つけ、がんのリスクを高めることが知られています。

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