日光を浴びるのに最適な時間帯とは?

多くの人々は、皮膚がん予防という名目で日光を避けています。しかし、そうすることで、精神面の改善、免疫機能の向上、がんなどの慢性疾患の予防など、さまざまな健康上の利点を逃しています。

リスクを最小限に抑えながら、どのように恩恵を得るか、その答えは、太陽光の治癒力がどのようにして私たちの体の細胞に届くのかを理解することから始まります。重篤な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者に、太陽光療法、集中治療、内科的治療を行った経験を持つ、集中治療と内科の専門家であるロジャー・セホルト(Roger Seheult)博士が、この重要な原則についての洞察を提供します。

日光が病気の予防に役立つ仕組み

セホルト博士は、日光を浴びることでがんのリスクを低減できると述べています。博士は、20年にわたって3万人の女性を追跡調査したスウェーデンの研究を注目しています。この研究では、日光を避けていた女性は、最も多く日光を浴びていた女性と比較して死亡率が2倍であることが分かりました。

最近、EpochTVの「Vital Signs with Brendon Fallon」のインタビューで、セホルト氏は日光が、がんやその他の疾患のリスクを軽減する可能性について語りました。

日光には、人間の目には見えないものの、熱として感知できる赤外線スペクトルが含まれています。赤外線スペクトルの中でも、近赤外線(NIR)光は、細胞のエネルギー生産を向上させる能力により、特に健康に有益です。

日光はビタミンDの生成を促進

日光を浴びると体内でビタミンDが生成され、健康面で大きなメリットをもたらします。ビタミンDはいくつかの身体機能に不可欠であり、最適なレベルに保つことでインフルエンザや新型コロナウイルス感染症のリスクを低減し、関連する死亡率を低下させると研究では示しています。

精神科医であり統合医療の専門家であるジンデュアン・ヤン(Jingduan Yang)博士は、ビタミンDの欠乏は患者の多くに見られる慢性疾患の要因であると考えています。「慢性的な疲労、うつ、不安、不眠を訴えて私のところに来る患者の95パーセント、あるいはそれ以上がビタミンD不足です」と彼は言います。

一方、2017~18年にかけて収集されたデータによると、アメリカの人口全体におけるビタミンD不足は40.9パーセントとなっています。

ヤン博士は、ビタミンDと日光の効用について、さらに詳しい見解を「Vital Signs with Brendon Fallon」の「Sunlight Vs Depression, Fatigue, and Flu」で述べています。

 

細胞の健康におけるNIR光の役割

私たちの細胞のひとつひとつには、ミトコンドリアと呼ばれるエネルギー生成装置があります。ミトコンドリアは、細胞が体内で無数のタスクを実行するために必要なエネルギーを生成します。しかし、このプロセスは酸化ストレスも生み出します。

セホルト博士は、酸化ストレスを受けたミトコンドリアをオーバーヒートしたエンジンに例え、この状態を放置すると、深刻な健康問題につながると指摘しています。 研究により、酸化ストレスは糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、癌などのさまざまな慢性疾患の一因となることが分かっています。

太陽光は酸化ストレスをどのように軽減するのでしょうか? セホルト博士は、近赤外線は肌の奥深くまで浸透し、メラトニンの生成を促進すると説明しています。このホルモンはミトコンドリアを冷却し、酸化ストレスを軽減する働きがあります。

多くの人がメラトニンをサプリメントで摂取していますが、セホルト博士は、近赤外線照射によるミトコンドリア内でのメラトニン生成の方がはるかに効果的であると強調しています。さらに、経口メラトニンは、体が「眠る時間だ」と認識する夜間にのみ摂取すべきだと述べています。

人工NIR 自然光の代替

健康増進効果のあるNIR光は、必ずしも太陽から得る必要はありません。光線力学的療法は、人工的に生成された赤色または近赤外光を使用して、認知症を含む幅広い症状の治療、炎症の抑制、痛みの軽減を促すものです。

2021年に発表された研究では、経頭蓋近赤外光刺激を受けた認知症患者に「認知機能の改善」が見られました。 睡眠、気分、活力の改善、不安の軽減などの成果を得ました。

 

安全で有益な日光浴

病気に効く日光浴の可能性を考えると、ビーチでのんびりしたり、日焼けに励んだりしたくなるのは当然ですが、過剰な紫外線照射にはリスクがあることを知っておくことは重要です。日焼けは、皮膚がんにつながるDNAの突然変異を引き起こす可能性があります。また、皮膚の損傷や老化にもつながります。

しかし、健康効果を得るためには、日光が素肌に当たる必要はありません。セホルト博士は、近赤外線は紫外線よりも波長が長いため、組織により深く浸透します。つまり、賢く衣類を選ぶことで、有害な紫外線を遮断しながら、有益な近赤外線の浸透ができるのです。同氏は、紫外線の浸透を制限するために、目の詰んだ生地で淡い色の衣類の着用を推奨するユタ大学の勧告を挙げています。綿やポリエステルは、有益な近赤外線を適度に浸透させる素材です。しかし、デニムは近赤外線のほぼ50パーセントを遮断してしまいます。

また、日焼けのメリットを最大限に引き出し、リスクを最小限に抑えるには、日光浴のタイミングも重要です。セホルト氏によると、紫外線放射が一般的に最も少ない時間帯である日の出と日没の時は、近赤外線を浴びるのに理想的な時間帯です。同氏は、この時間帯に毎日20~30分の日光浴を勧めています。

また、特に色黒の人には、正午の日光を浴びることをセホルト博士は推奨しています。この時間帯はより多くの紫外線を浴びることで恩恵を受けます。また、メラニン色素の濃度が高い肌は日焼けしにくいという利点があります。しかし、一般の人々に対しては、その時間帯には日焼け止めを使用し、日焼け防止の衣類を着用するよう助言しています。

 

日焼け止めの選択と肌質に関する考慮事項

肌を保護するには、適切な日焼け止めを選ぶことが重要です。「広域スペクトル」と表示された日焼け止めは、有害なUVAとUVBの両方の紫外線から肌を守ります。サンプロテクションファクター(SPF)は、日焼け止めがどれだけ効果的に日焼けを防ぐかを示します。SPF値が高いほど、日焼け止め効果も高くなります。日常的に使用する場合は、ほとんどの肌質でSPF30で十分です。

ビューティーインフルエンサーであり、EpochTVの「Beauty Within」の司会者でもあるフェリカ・リー(Felica Lee)氏は、特定の成分が肌の天然の油分(皮脂)の生成を調整するのに役立つため、肌の乾燥と脂っぽさのバランスを考慮して日焼け止めを選ぶことが重要であると述べています。「Vital Signs with Brendon Fallon」では、彼女は肌質に基づく具体的な日焼け止めの推奨事項を提供しています。

日光とうつ病、疲労、インフルエンザ」では、効果的な日焼け止めやサングラスの選び方、日光の健康効果を最大限に引き出す方法についてのヒントを紹介しています。
 

(翻訳編集 呉安誠)