「1日1個のリンゴで医者いらず」という言葉は多くの人が知っています。台湾の中医学医師・張維君氏は、リンゴの治療秘訣を明らかにし、正しく食べたり使用したりすることで湿疹を抑え、腸漏れ(リーキーガット症候群)を癒し、さらにはがん予防に役立つと強調しました。
リンゴには驚くべき健康効果があり、心血管疾患、がん、糖尿病、認知症などのさまざまな慢性疾患の予防に効果があるとされています。中医学の観点からリンゴは非常に滋養に富んでいて、脾臓を強化し、食欲を刺激し、肺を潤し、咳を和らげ、水分を生成し、喉の渇きを癒します。その爽やかな香りも気分を高揚させます。
張氏によれば、リンゴの有効成分のほとんどは皮に含まれており、効果を最大限に摂取するには、皮ごと食べるのがベストという事です。ジュースを作る場合も、皮ごとリンゴをブレンドし、果肉も一緒に飲むことですべての栄養素を摂取できます。また、彼はジュースは酸化や変色を防ぐためすぐに飲むべきだとアドバイスをしました。
市販のリンゴにワックスがかかっていることが気になる場合は、熱湯をかけて溶かしてください。その後、柔らかいブラシで優しくこすり、よくすすぎます。
湿疹緩和のためのリンゴピューレとリンゴ酢
多くの人が幼少期からアレルギー性湿疹に悩まされており、現代医学では原因を特定できません。かつて手湿疹に悩んだ張氏は、リンゴを使用することが効果的な治療法であることに気付きました。
張氏は、アレルギー性の湿疹は体内の「熱毒」によって引き起こされると考えています。
つまり、体が過度に熱く乾燥することで炎症が引き起こされるのです。こうした熱毒の主な発生源は、乾燥した熱い食べ物であることが多いのです。
中医学では食品や薬を温性または涼性に分類します。温性食品は必ずしも口当たりが熱く感じるわけではありませんが、体内に熱を発生させ、炎症を引き起こす可能性があります。内部熱の主な原因には、揚げ物や加工スナックなどの高温処理を受けた食品です。一方、リンゴは熱く乾燥した体質を整え、かゆみを和らげるのに役立ちます。張氏は、リンゴ酢を飲んだり、リンゴピューレを患部に塗布したりすることで、アレルギー性湿疹を軽減できることを発見しました。
リンゴピューレのレシピ
材料:
- リンゴ 1個
- 大豆粉 大さじ1
- 小麦粉 大さじ1(薄力粉または中力粉)
作り方:
- リンゴの種を取り除き、一口大に切り、皮ごとジューサーかブレンダーで混ぜます。
- 大豆粉と小麦粉を加え、さらに全体がなめらかになるまでよく撹拌します。
- ピューレ状になったらボウルに移し、ラップをかけて保存します。
使用方法:
- リンゴピューレを小さじ1杯取り、冷ましたお湯(沸騰後に冷ましたもの)をその2倍量加えて、よく混ぜます。
- リンゴと水の混合液をしばらく置き、沈殿物が下にたまるのを待ちます。上澄みの透明な液体を取り、コットンに含ませて湿疹のある部分に塗布します。乾いたら再度塗り、これを3回繰り返します。1日に最低2回行ってください。
- または、小さなコットンをリンゴピューレに直接浸し、かゆみや傷のある部分にそのまま当ててください。乾いたら剥がし、これを1日に最低2回繰り返してください。
注意:この療法は乾燥肌による湿疹にのみ適しています。皮膚から液体がにじみ出るような湿った湿疹(ジクジクした状態)には使用しないでください。
シンプルなリンゴ酢のレシピ
材料:
- 新鮮なリンゴ 600g
- 天然米酢 600ml
- 氷砂糖 200g
作り方:
- 密閉可能なガラス瓶を洗い、熱湯で消毒し、自然乾燥させます。
- リンゴを洗って乾かし、皮付きのまま薄くスライスし、ガラス瓶に入れます。
- 氷砂糖を加え、その後に米酢を加えます。
- 瓶をしっかりと密封し、涼しく通気性の良い場所に保管します。リンゴ酢は約1週間後から飲めるようになります。
- 飲む前に、リンゴ酢を4~5倍のお湯で薄めて下さい。必要に応じて、お好みで濃度を調整してください。
注意:空腹時にお酢を飲むと胃を傷める可能性があるため、食事後に摂取することをお勧めします。慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍のある方は、酸性物質がこれらの状態を悪化させる可能性があるため、注意するか、酢の摂取を完全に避けて下さい。
リンゴ酢の健康効果
- 食欲を改善:食欲を刺激し、消化と栄養吸収を助けます。
- 血糖値を安定させる:食後の血糖変動を軽減するのに役立ちます。
- カルシウム吸収を促進:胃酸レベルを高めることでカルシウム吸収を助けます。
- 皮膚の健康をサポート:リンゴ酢を飲むことで湿疹が改善する可能性があり、これは腸内フローラにポジティブな影響を与え、有害な真菌や細菌を減らし、益となる細菌を促進するためと考えられます。
張氏は、アレルギー性湿疹を持つ人はしばしば顕著なストレス、不安、緊張を経験すると述べました。慢性的なストレスは腸の健康を害し、腸漏れを引き起こす可能性があり、損傷した腸壁を通過して小さな食物粒子が血流に入り、免疫系を活性化し、湿疹症状を悪化させます。
腸漏れ治療薬としてのリンゴジュース
腸漏れの人に対して、張氏は皮付きのままのリンゴをブレンドしてリンゴジュースを作ることを推奨します。このジュースはペクチンが豊富で、損傷した胃腸粘膜を保護するのに役立ちます。
動物実験では、リンゴのペクチンが腸内フローラを調整し、腸のバリア機能を改善します。腸壁が透過性になり、細菌などの物質が血流に通過することを可能にする、腸漏れに関連する慢性炎症を軽減することが示されています。
作り方:
- 皮つきの新鮮なリンゴ 1 個に、レモン汁を少々、またはビタミン C タブレット 1 錠と少量の水を加えます。
- ジュースに混ぜる
- すぐに飲んで、最大限の効果を実感してください。
リンゴががん予防に役立つ可能性
リンゴには、細胞をフリーラジカルから保護するさまざまな植物化学物質が含まれており、がん予防と細胞内の損傷したDNAの修復に役立ちます。
リンゴの驚異的に高い抗酸化成分を考慮すると、研究ではアメリカで一般的に消費される果物の中で、リンゴはクランベリーに次いで抗酸化作用が強いとされています。しかし、クランベリーは酸味が強いため、リンゴほど大量に消費されません。これにより、リンゴは抗酸化効果において最も効率的な果物の一つとなっています。
研究によると、定期的にリンゴを食べる人は肺がん、大腸がん、乳がんなどさまざまながんを発症するリスクが低いことが分かっています。
赤いリンゴの皮には、フリーラジカルと戦い、腫瘍血管新生を抑制する強力な化合物であるケルセチンが含まれています。ケルセチンはがん細胞への栄養供給を遮断することで、その増殖を防ぎます。
アップルエネルギースムージー:腸に優しい1日のスタート
人気の朝食トレンドとして、様々な果物や野菜をジュースやスムージーに混ぜるものがあります。これは「グリーンスムージー」や「エナジードリンク」と呼ばれ、がん予防に効果的な栄養素を一度に摂取できます。リンゴはこの栄養ドリンクに最適な食材です。
中医学によると、野菜や果物のジュースは冷性と考えられています。寒がりで消化不良を経験したり、頻繁な排尿や浮腫があるような冷えやすい体質の人にとって、これらのジュースを飲むと下痢を引き起こす可能性があります。特にがん患者に当てはまり、過剰にこれらのジュースを飲むと体力がさらに低下し、感染からの回復が困難になる可能性があるため、注意が必要です。
張氏は、野菜や果物のジュースに雑穀米ぬかパウダーなどの温性成分を加えることを提案します。これにより冷性を和らげ、体内の陽エネルギー(活力を促進し免疫を強化する温める力)の維持に役立ちます。
アップルライスミルクのレシピ
材料:
- リンゴ 1個
- 季節のフルーツまたは野菜 3~5種類
- 雑穀米ぬかパウダー(玄米、もちきび、はとむぎ、そば などを蒸して乾燥させ、粉末状にしたもの)
- 栄養酵母(ニュートリショナルイースト)
作り方:
- 果物、野菜、栄養酵母をブレンダーに入れ、少しの水を加え、希望量の2/5になるまでブレンドします。
- 雑穀米ぬかパウダーをまず冷水で混ぜ、その後90℃の熱湯を加えて温かいライスミルクの3/5を抽出します。
- 順番に間違いがないように注意しながら、温めたライスミルクをフルーツと野菜のジュースの混合物にゆっくりと注ぎます。
- 飲む際、混合物を口に数秒間含ませてからゆっくりと飲み込んでください。
このレシピはすべての体質の人に適しており、がん予防のための朝食ドリンクとして摂取できます。がん患者の方は、朝と夜に1杯ずつ、新鮮なうちにお飲みいただくことをお勧めします。
また、血糖値の急上昇を防ぐため、ドリアン、チェリモヤ、バナナ、龍眼、ライチなどの高糖質の果物を避けることをお勧めします。
穀物に関しては、膨満感が気になる場合は豆類とナッツを避けてください。
リンゴを食べるべき人は?
張氏は、以下の状態にある人が健康効果のためにリンゴをもっと食べることを勧めています:
骨粗鬆症:リンゴはカルシウムやマグネシウムなどのミネラル吸収を促進します。リンゴに含まれるポリフェノールは炎症や酸化ストレスを軽減し、骨粗鬆症の予防または進行を遅らせるのに役立ちます。
便秘:リンゴの皮には大量の食物繊維が含まれており、便の量を増やす効果があります。皮ごと食べると、便通を良くするのに役立ちます。
下痢:皮をむいたリンゴを食べると下痢を止めるのに役立ちます。乳幼児の下痢には、リンゴの皮をむいて細かく切り、蒸してから潰してリンゴピューレにすると良いでしょう。
高血圧、コレステロール、糖尿病:研究により、リンゴを食べることが血圧を下げ、コレステロールレベルを減らし、血管の炎症を改善し、さまざまな心血管疾患を予防できることが分かりました。皮付きでリンゴを食べることでこれらの効果がさらに向上します。
研究では、リンゴに含まれるケルセチンなどの栄養素が脳の神経成長を刺激し、脳機能に良い影響を与えることもわかっています。
(翻訳編集 日比野真吾)
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