中国のEV大手である比亜迪(BYD)は、新たな価格競争を仕掛けた。これは、2024年の北京モーターショーに展示されたBYDの電動車を捉えた写真である。(Pedro Pardo/AFP via Getty Images)

中国EV企業 欺瞞戦略で市場を掌握し バブル崩壊へ

中国の電気自動車(EV)市場では、BYDなどの大手企業が大幅な値下げを繰り返し、価格競争が常態化した。過剰生産や「零キロメートル中古車」といった問題も深刻化しており、業界全体にバブル崩壊のリスクが高まった。

中国の自動車産業では、内部競争が激しさを増し、特にEV分野では、主要企業が値下げをエスカレートさせ、異常な市場環境が形成された。「零キロメートル中古車(新車に近い状態で市場に出される中古車)」という現象も拡大している。中国共産党(中共)政府の「大躍進」式政策が生産能力の過剰と供給過多を招き、企業の短期的利益への執着が長期的には資金繰りの悪化や業界のバブル崩壊につながると専門家は分析した。

2025年5月、BYDは22車種の知能運転モデルに対し、「618」年間プロモーションとして最大34%の値下げを発表した。この「期間限定補助」は6月末まで実施されるという。

▶ 続きを読む
関連記事
中国共産党のマネーロンダリングは、麻薬カルテルを助けるだけではない。世界的な違法経済を拡大し、北京の地政学的野望を後押ししている。
中国は、今後5年間における主要な戦略的優先事項から電気自動車(EV)の指定を取りやめる動きを見せており、これにより、同国を世界最大のEV市場へと押し上げた積極的な国家主導の推進策が終了に向かう可能性を示している。
元IMFチーフエコノミストのロゴフ氏は、中国の経済成長率は今後2~3%に鈍化すると予測。内需拡大の難しさや、不動産・社会保障の脆弱性、米中対立など課題を指摘した。
中国共産党(中共)は第4回全体会議(四中全会)の開催にあわせ、10月20日に第3四半期(7~9月)の国内総生産成長率が4.8%にとどまったと発表した。数値の信憑性には疑問の声が上がっているが、経済の減速傾向は隠しきれない状況だ。
中国の主要都市で消費低迷が続き、特に北京は急減。『人民日報』は経済への信頼回復を呼びかけるが、専門家は効果を疑問視。失業増や所得減少で民間の不安が拡大し、官民対立の深めているとの指摘もある。