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熱帯に学ぶ、体内の湿気を追い出す知恵──梅雨を乗り切る薬膳レシピ【第1回:インド編】

梅雨の湿気は、まるで熱帯雨林の中

毎年夏、特に梅雨の時期になると、空気がムシムシして湿っぽく、「まるで一時的に熱帯雨林に住んでいるようだ」と感じたことはありませんか? 暑くて湿気が多く、蒸し暑くて息苦しい——これがまさに熱帯気候です。体がベタつき、だるくなり、食欲もなく、よく眠れず、気分もなんとなく沈みがちになります。

実は中医学でも「夏は湿気を伴いやすい」と古くから言われています。

夏は五行で「火」に属し、熱が強まると、それを調和するための「水」を必要とします。この水が熱と結びつくことで、蒸気や湿気となって体内外にたまっていきます。まるで鍋に水を入れて加熱すると湯気になるように、自然界における五行のメカニズムが陰陽のバランスを取るために現れる自然な現象であり、季節ごとに熱帯のような気候になるのもごく普通のことなのです。

したがって、1年中熱帯に住んでいる人々こそ、湿熱の季節をどう過ごせばよいかを一番よく知っています。彼らの知恵を借りて、東南アジア風の熱帯料理を取り入れ、梅雨の時期の心と体を整えてみませんか?
 

なぜ熱帯の人々は、暑いほど辛いものを食べるのか?

不思議なことに、気温や湿度の高い国ほど、スパイシーで酸味のある食べ物を好む傾向があります。料理にはよく温性のハーブやスパイスが使われ、暑くて湿気の多い時期でも、むしろ人々は熱々の料理をどんどん食べることで、体の湿っぽさから解放され、かえって軽やかで元気なるのです。それは、彼らが湿気と暑さの気候に対して、食事に温性のスパイスを取り入れることが、脾胃に活力を与え、脾を元気にして湿気を取り除き、食欲を高める薬膳の知恵をよく理解しているからです。

夏になると、地表は蒸し暑くなる一方、地下水は冷たいままです。このアンバランスは、私たちの体の中にも表れ、外は熱くても、内側(特に胃腸)は冷えてしまう「外熱内寒」状態になります。脾胃の働きが弱まり、湿気を追い出す力もなくなり、ますます不調に…

中医学では「湿が脾の陽を困らせる」と言われています。このような状態のときに、冷たいものや体を冷やすような食べ物だけを摂るのは全く不十分であり、かえって冷たいものを好んで食べることで脾胃の陽気がさらに弱まり、冷たい飲食物が「寒湿」となって、まさに雪に霜を加えるような悪化を招くことになります。

熱帯地域の人々が香辛料の効いた温かい食べ物を好むのは、実は体の働きを活性化させることにほかなりません。

スパイスや酸味、辛味を組み合わせることで、こんな効果が期待できます:

  • スパイス:脾を温め、寒さを追い出し、気血の巡りを促進
  • 酸味:肝の火を鎮め、食欲を引き出し、消化を助ける
  • 辛味:毛穴を開き、湿気を発散させる

さらに、清涼感のある食材と組み合わせることで、火照りを冷まし、熱さも和らげます。

こうした香り高くピリッと辛い料理こそ、実はもっとも本格的な「夏の湿気払い薬膳」なのです。これは中医学が大切にする「陰陽の調和」という養生の知恵を体現した食のかたちでもあります。

これから、東南アジアのさまざまな熱帯地域の養生薬膳を数回にわけてご紹介していきます。そして、それらを日本人の食材・味覚・体質に合わせて“和風アレンジ”して提案していきます。

第一回目は、手軽に楽しめるインド料理から始めてみましょう。
 

1. 和風ターメリックライス

和風ターメリックライス イメージ図

おすすめ体質:

脾が弱く、湿気がたまりやすい/食欲がない/むくみやすいタイプ

分量:2人分

材料:

  • 米…1合(180ml)
  • にんじん…1/3本(角切り)
  • パプリカ(赤・黄)…各1/4個(角切り)
  • 玉ねぎ…1/4個(みじん切り)
  • ターメリックパウダー…小さじ1(約3g)
  • 塩…小さじ1/3
  • オリーブオイル…小さじ1
  • 水…通常通り(炊飯器で)

作り方:

  1. 米を洗って30分ほど浸水させる
  2. 材料をすべて炊飯器に入れる
  3. 普通モードで炊飯し、炊き上がったら全体を混ぜて完成

養生ポイント:

脾胃を温めて湿気を取り除く一品です。ターメリックには抗炎症作用があり、同時に体を内側から温める温陽作用も備わっています。カラーピーマンは胃を潤し、玉ねぎは気の巡りを促進してくれます。
 

2. 簡単スパイスチキンライス

 簡単スパイスチキンライス イメージ図(大紀元)

おすすめ体質:

脾虚・湿気がこもりやすい/お腹が冷えて下痢しやすい/消化不良気味な方

分量:2~3人分

材料:

  • 鶏もも肉(骨なし)…150〜200g(ぶつ切り)
  • 米…1合
  • 玉ねぎ…1/4個(薄切り)
  • トマト…1/2個(角切り)
  • 生姜…ひとかけ(みじん切り)
  • にんにく…1片(みじん切り)
  • カレー粉またはスパイスミックス(クミン・ターメリック・シナモンなど)…小さじ1
  • 塩…小さじ1/3
  • オリーブオイル…小さじ1
  • 水…適量

作り方:

  1. 鶏肉は塩とスパイスで軽く下味をつけて、10分ほど置く
  2. フライパンに油を熱し、玉ねぎ・にんにく・生姜を炒め、鶏肉とトマトを加えて色が変わるまで炒める
  3. 炒めた具と洗った米を炊飯器に入れ、通常モードで炊く
  4. 炊き上がったら10分蒸らしてから混ぜる

養生ポイント:

脾を補い、湿気を排出してくれます。お腹を温め、消化力を高める効果もあります。スパイスの香りが気の巡りを良くし、胃腸を元気にしてくれます。
 

3. パクチーとレモンのチキンサラダ

パクチーとレモンのチキンサラダ イメージ図

おすすめ体質:

湿熱タイプ/口の中が苦い・乾く/食欲不振の方

分量:2人分

材料:

  • 鶏むね肉…100g
  • きゅうり…1/2本(斜め薄切り)
  • レタス…適量(手でちぎる)
  • パクチー…適量(3cm程度に切る)
  • レモン汁…大さじ1
  • 塩…小さじ1/4
  • オリーブオイル…小さじ1
  • 黒こしょう…少々

作り方:

  1. 鶏むね肉は茹でるか蒸して、細く割く
  2. 野菜と鶏肉をボウルに入れ、調味料であえる
  3. 10分ほど冷蔵庫で冷やすと、さらに美味しく爽やか

養生ポイント:

水分を生み出して食欲を回復させてくれます。体の熱を冷まし、余分な毒素を排出する働きもあります。パクチーが気を整え、鶏むね肉が脾を補って、体に元気を与えてくれます。
 

注意事項

今回ご紹介したインド風レシピは、日本で手に入りやすい食材でアレンジしており、さっぱりしながらも温かみがあり、湿気がたまりやすく胃腸の弱い日本人の体質にぴったりです。