爽やかな酸味と香りで体質を整える
日本の夏は湿気が多く蒸し暑く、まるで一時的に「熱帯タイムゾーン」に入ったかのような感覚になります。だからこそ、熱帯・亜熱帯地域の食文化を取り入れることは、理にかなった夏の養生法といえるでしょう。
第1回目のインド編が力強いスパイス中心だったのに対し、ベトナム料理はあっさり軽やか。“酸味に香り、辛くてもやさしい”のが特徴で、よりあっさりした味を好み、湿熱がこもりやすく、こってりした料理が苦手な多くの日本人に、より適した選択といえるでしょう。
ベトナムではミント、パクチー、ライム、ナンプラーなど自然な調味料で旨味を引き出し、米粉・ライスペーパー・ご飯にたっぷりの生野菜やゆで野菜を合わせるのが定番。蒸す・和える・煮る・ゆでるといった穏やかな調理法が中心で、脾胃を傷めません。この点でも日本の食文化と相性抜群です。
ここでは、日本で手に入りやすい食材でアレンジした “和風ベトナム爽やか料理”3品 をご紹介します。体質別に選べて、作りやすく、夏の湿熱による不調を整えてくれます。
1. ベトナム風ライスペーパー春巻き(生春巻きアレンジ)

適した体質:湿熱体質/皮脂が多い/食欲不振/口の中が苦く渇きやすい方。
分量:2人分
材料:
- ライスペーパー(生春巻きの皮)…6枚
- 鶏むね肉…100 g(ゆでエビでも可)
- レタス…適量
- きゅうり…1/2本
- にんじん…1/4本
- 大葉・ミント少々
- ナンプラー…大さじ1
- 米酢…大さじ1
- レモン汁…大さじ1
- はちみつ…少量(糖尿病・乳幼児は省く)
- 刻み唐辛子…適量
作り方:
- 鶏むね肉をゆでて裂き、野菜は細切りにする。
- ライスペーパーを水にさっとくぐらせ、具材を包む。
- たれを添えていただく。
養生ポイント:
体の熱や湿気を取り除き、胃腸を整えて気分を落ち着かせてくれる一品です。油が少なく食物繊維が豊富で、デトックスを助け、口のねばつきも改善してくれるので、湿熱体質の方にぴったりです。
2. さっぱりベトナム風鶏粥(おかゆアレンジ)

適した体質:脾胃虚弱/湿がこもる/疲れやすい/食後の張り
分量:2人分
材料:
- ご飯…1膳(冷ご飯でも可)
- 鶏もも肉…1枚
- 干し椎茸…2枚
- 長ねぎ
- 生姜…3枚
- 塩…少々
トッピング:
- パクチー…お好みで
- 白こしょう…お好みで
- フライドオニオンまたはごま油…少量
作り方:
- 鶏ももをねぎ・生姜とともにゆで、火が通ったら裂く。
- その鶏だしにご飯を入れ、トロリとするまで煮る。
- 鶏肉・椎茸を戻し、塩で調味。仕上げにトッピングを乗せる。
養生ポイント:
脾と胃の働きを整えて湿気を取り除き、体に潤いを与えながら内側を温めて気持ちを落ち着けてくれる一品です。消化にやさしく栄養もあり、脾胃が弱く、食後に不快感が出やすい方にぴったりです。
3. ナンプラー香る酸味冷やしフォー(米粉麺サラダ)

適した体質:湿熱体質/肥満やむくみが気になる/口が渇いたり苦みを感じやすい/便がべたついてすっきりしない方
分量:2人分
材料:
- フォー(米粉麺)100 g
- 紫キャベツ…適量(細切り)
- にんじん…適量(細切り)
- きゅうり…適量(細切り)
ドレッシング
- ナンプラー…大さじ1
- レモン汁…大さじ1.5
- はちみつ…小さじ1(糖尿病・乳幼児は省く)
- 唐辛子…少々
- ごま油…数滴
作り方:
- 麺をゆでて冷水でしめる。
- 野菜と合わせ、ドレッシングで和えるだけ。
養生ポイント:
体の熱と毒素を取り除き、脾の働きを整えて消化を助け、湿気の排出を促す一品です。低脂肪・高食物繊維でさっぱりと食べられ、脂っこさをリセットしながら、体重管理や脂質代謝の改善にも役立ちます。
まとめ
ベトナムも日本と同じ海洋性湿潤気候。料理は油控えめで爽やか、調理方法も穏やかで脾胃に負担をかけません。強い香辛料で湿を散らすインド料理と違い、ベトナム料理は酸味と香りで食欲を高め、軽やかに熱を抜く――湿熱体質の人にとって特に相性の良い夏の食養生のひとつと言えるでしょう。
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