西洋社会ではマナーを重視しており、社交には社交のマナー、食事には食事のマナーがあります。特に高級レストランでは、その重要性が一層際立ちます。
外食は単なる食事のためだけではありません。それは、洗練された空間で五感を働かせて楽しむ体験でもあります。しかし、高雅なレストランでは不適切な行動が、どんなに美味しい料理であってもその価値を損なってしまうことがあります。
geeditingサイトに掲載された記事では、筆者が何度も食事を重ねる中で避けるべきミスを経験し、それをもとに「礼儀ある人が意識的に避ける行動」を第一人称でまとめています。
1、服装が不適切
高級レストランで毎回タキシードを着る必要があるとは言いませんが、雰囲気を尊重することは極めて重要です。私はかつてカジュアルなジーンズとパーカー姿で高級ステーキ店に行ってしまい、場違いな感覚に襲われたことがあります。追い出されたわけではありませんが、明らかに場の雰囲気には合っていませんでした。
そのレストランの雰囲気を尊重していますか?その体験に敬意を払っていますか? 少しの工夫で、それを態度で示すことができます。上品な人はやりすぎず、しかし適切な服装を選びます。迷ったときは、カジュアルすぎるよりも、ややフォーマルに装う方が無難です。レストランのスタッフや周囲の客からの評価も良く、自分自身も心地よく過ごせます。

2、横柄な口調
ある日、友人にシカゴ中心部の高級レストランに誘われました。その晩、ホストは私たちには丁寧でしたが、ウェイターに対してだけは常に指を鳴らしたり、「お願いします」も言わず、少し待たされるとすぐに辛辣な言葉を投げかけたりしました。とても気まずく、その人の内面が垣間見えた気がしました。そのようなことは、彼自身でも感じ取られたくないものでしょう。
礼儀ある人は、レストランで働くすべての人、リーダーから案内係、サーバー、食器を片付けるスタッフに至るまでのすべてが食事体験の一部であることを理解しています。丁寧な態度、目を見ての挨拶、「ありがとう」と言う一言、努力を労う心構えは、食事の満足度に大きな影響を与えます。エチケットの第一人者であるエミリー・ポスト(Emily Post)も「礼儀とは他人の気持ちに対する繊細な配慮である」と述べています。
3、携帯電話を手放さない
スマートフォンが体の一部のようになっている現代。多くの場面では画面を見たりメッセージを送ったりできますが、優雅なレストランはその例外です。私自身も、料理が運ばれる合間に思わず通知を確認してしまうことがありますが、ずっと画面を見ていると、食事の雰囲気が損なわれると気づきました。
上品な客は、スマートフォンをサイレントにするか、しまっておき、必要なときだけ控えめに使用します。彼らはスマホをいじるためでなく、会話と雰囲気、そして料理を楽しむために集まっているのです。料理(本当に芸術品並みの料理もあります)を写真に撮りたいときも、周囲に配慮して音を鳴らさないようにします。誰もロマンチックなディナーの最中に「ピロン!」という音を聞きたくはありません。
4、大声で不満を言う
ある日、洒落たフランス料理店に招かれました。ロマンチックなキャンドルの灯り、整ったテーブルセッティング、美しいメニュー……しかし、同席していた人がメインディッシュに対して「複雑すぎる」「高すぎる」と声を上げて不満を言ったことで、雰囲気が一気に壊れました。周囲の客も気まずそうな表情をしていました。
料理の価値について話すのは構いませんが、時と場を選ぶべきです。経験豊富な食通は、周囲に聞こえるような高圧的な言い方はしません。料理について質問したり、説明を求めたりすること自体は問題ありませんが、それも丁寧に行うべきです。もし値段に納得できない、味が合わないと思っても、心の中に留めておくか、そっと伝えるのが大人の対応です。

5、香水がきつすぎる
ある特別なデートの夜、私はこの教訓を学びました。若かった私は「良い印象を残したい」という気持ちから、ほぼ半分のボトル分のコロンを自分にふりかけてしまいました。いざ食事が始まると、相手は「料理の味がまったくわからない」と言い出し、その原因が私の香りであることに気づきました。決して自慢できる思い出ではありません。
香水はごく軽くスプレーする、あるいはほんの少量を塗る程度で十分です。濃すぎる香水は、シェフが丹精込めて作った料理の香りを邪魔してしまい、他の人々から避けられる存在になりかねません。
6、騒ぎ立てる
現代では、アレルギーやベジタリアン、医療上の制限など、特別な食事制限を持つ方も多くいます。健康上の理由で料理の内容についてスタッフに尋ねるのは、まったく問題ありません。しかし、それを静かに伝えるのと、大声で文句を言うのとでは大きな違いがあります。私は、テーブルを叩きながらシェフに無理な要求を突きつけている人を見たことがあります。
思いやりのある客は、冷静に自分の要望を伝えます。可能であれば、事前に知らせることでお店も準備ができます。そして、特別対応をしてくれたお店には感謝の気持ちを示します。そうすれば、双方が気持ちよく過ごせるのです。

7、飲みすぎる
正直に言うと、お酒は食事体験を豊かにしてくれます。美酒と美食の組み合わせは、それ自体が一つの芸術です。しかし、適量を楽しむことと、酔いつぶれることの間には紙一重の差があります。それを超えてしまうと、ろれつが回らない話し方、大声での笑い、フラフラとトイレに向かう姿などが、優雅な夜を台無しにしてしまいます。
高級レストランは自宅のパーティー会場ではなく、他人と共有する空間です。飲みすぎた行動は、他の人の体験にも悪影響を与えます。「1杯2杯は酒じゃない、3杯4杯はうがい、5杯6杯で壁づたい」なんて思っているなら、タクシーか配車サービスを使うのが無難です。自分の品位を守るためにも、慎重な判断が求められます。
8、チップを忘れる
国によってチップの文化は異なりますが、特にアメリカやカナダでは、ウェイターの収入の多くがチップに依存しています。もしサービスに問題があった場合は、マネージャーに相談するか、ウェイター本人に丁寧に意見を伝えるのが適切です。しかし、何の説明もなくチップを払わなかったり、テーブルで大声で議論したりするのは、品格に欠ける行動です。
小さな行動が、自分の印象に大きな影響を与えることがあります。スマートにレストランを後にし、妥当なチップを渡すことこそ、華やかな服装よりもずっと人々の記憶に残るのです。
9.会話を独占する
上品なレストランには、落ち着いた会話がふさわしいものです。しかし、それは話題を独占したり、皆が居心地悪くなるようなトピックを一方的に話し続けることではありません。私は今でも、あるディナーの席で、一人の客が政治の話題ばかり延々と話し続け、他の人たちが会話の流れを変えようとしても無視された体験を忘れられません。デザートが出るころには、誰もが無言でフォークをいじっていました。
思いやりのある人は、その場の空気を読み、他の人にも発言の機会を与えます。相手の話に関心を持ち、雰囲気を壊す話題は避けます。議論を禁じているわけではなく、食事というリラックスした時間を大切にしているだけなのです。

10、テーブルマナーを無視する
私は、完璧なテーブルマナーは誰にとっても常識だと思っていましたが、実際には、肘をついて食べる人、大きな音を立てて咀嚼する人など、そうでない人を何度も見かけたことで、それが誤解だったと気づきました。
毎回姿勢を正して食べる必要はありませんが、高級レストランでは基本的なマナーを守るべきです。上品な人は、声のボリュームに気を配り、ナプキンを膝に置き、正しいカトラリーの使い方をします。フォークを振り回したり、スープをすする音を立てたりすることはありません。これらは常識にも思えますが、やはり時には優しいリマインダーが必要です。なぜなら、周囲の人々も心地よい食事を楽しみたいと願っているからです。
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