人生を「思い出の集まり」として考えるのも、一つの見方です。30歳でも50歳でも80歳でも、過去の人生の一部分に物理的に戻ることはできません。
しかし、思い出を再訪する方法が一つあります。それは、「今この瞬間」を意識することです。今の人生は、過去のすべての選択と経験の積み重ねでできています。だからこそ、今この瞬間を意識することで、過去と――あるいは現在と過去が交差する小さな空間と――触れ合うことができるのです。
さらに、私たちは「思い出」を通じて、より鮮やかに過去を再訪することができるのです。
私たちは日常的に思い出を体験しているため、それを当たり前のものとして扱ってしまいがちです。しかし、思い出は決して退屈なものではありません。私たちの脳は、瞬時に昔の出来事を鮮明に思い出せるように設計されているのです。そしてその映像とともに、当時感じていた感情や、振り返ることによって生じる感情が伴うことがよくあります。
私にも、深く幸せな気持ちにしてくれる思い出や、人生の悲しい時期を思い出させるものがあります。誇らしくなる思い出もあれば、恥ずかしい思い出もあります。忘れたくても忘れられない思い出もあり、大切に抱きしめて離したくない思い出もあります。
思い出は私たちを形作ります。思い出によって自分のアイデンティティが育まれ、将来何を望むのかを決める手助けにもなります。思い出のない人生は、はるかに味気ないものになるでしょう。だからこそ、素晴らしいフォトブックが昔の冒険や何気ない日々を思い出させてくれるように、自分の中で、または書き留めて、自分を形作った思い出を記録しておくことをおすすめしたいのです。
大切に残しておきたい9つの思い出
1. 親友との最初の思い出
私は今でも、暑い夏の日に隣の家の友達と裏庭で野球をして遊んだことを覚えています。永遠に続くかと思うほど長い時間でした。私にとって「幸せ」の定義には、常にこの原体験が含まれており、そのことに感謝しています。
2. 恋に落ちた瞬間
恋が芽生えた初期の思い出は、人間が感じる中でも最も強い感情――欲望、夢中になる気持ち、喜び、そして時には恥ずかしさや不安――に満ちています。この思い出を大切にしてください。それは「生きている」という実感を与えてくれるものです。
3. 子ども時代の一番幸せな思い出
子どもの頃の家や、そこで過ごした日常のひとこまを思い出してみてください。例えば、家族みんなで食卓を囲んで夕食をとったり、家事を手伝ったり。そんな普通の時間さえも、懐かしさで胸がいっぱいになるはずです。私のお気に入りの思い出の一つは、金曜日の夜に家族全員で特別な夕食を作り、お気に入りの番組を一緒に見たことです。
4. 挫折や失敗した経験
私は基本的には幸せな思い出を振り返るのが好きですが、つらかった出来事にも少しだけスペースを取っておくのは良いことです。大きな失敗など、つらい経験もあなたの一部であり、自分でも気づかないほど多くの形で成長をもたらしています。未来に向けた新たな自己発見のヒントになるかもしれません。
5. 自分の価値観に背いてしまった時
ここではさらに深い痛みに触れます。自分自身を裏切ること、特にそれが大切にしている価値観(コアバリュー)に関わるときは、とてもつらいものです。これはアイデンティティに直接影響を与え、人生の重要な側面に疑問を抱かせることもあります。こうした瞬間も心に留めておきましょう。光の中にさらすことで、乗り越えることができます。
6. 特定の本を読んだ記憶
私は、自分の世界観を形作った本について書き留めたことがあります。それを書き記した理由の一つは、自分自身の物語を心にしっかり刻んでおきたかったからです。これからも何年かの間にそれらの本を再読し、その教訓を新鮮に保ち続けたいと思っています。
7. 最も困難だった達成
あなたが最も誇りに思う瞬間を覚えていますか? きっと今でも強く心に残っているはずです。自分にはできないと思っていたことをやり遂げた時。いつも以上に努力し、自分自身に「困難を乗り越えられる」と証明した時。こうした思い出は、未来の挑戦への大きな励みになります。
8. これまでに聞いたり見たりした中で一番面白かったこと
私にとって、笑いは人間であることの最も不思議で素晴らしい側面の一つです。なぜあれほど気持ちが良いのでしょうか? 私は、人生の中で一番面白かった瞬間を心のリストにして記憶しています。友人たちとその瞬間を振り返って盛り上がるのに最高の話題になります。
9. 心がつながった会話
結局のところ、人生は「愛」と「人間関係」に尽きます。友情は、共有した経験や深い会話の中で育まれるものです。私は今でも、大学の寮で夜通し語り合った長い会話を思い出し、その思い出があることに感謝しています。
(翻訳編集 井田千景)
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