昔の時代のすべてが良かったわけではありません。しかし、過去の世紀に書かれた伝記や歴史を読むと、現代ではあまり見られなくなった、当時の人々の人生に根づいた何かを感じることがあります。それは、厳しい時代を生き抜き、人生をよりよくするために、内なる強さを身につける必要があったからかもしれません。一方で、現代に生きる多くの人々にとって、生活は格段に楽になっています。
ある意味で、私たちは昔と今、両方の良さを享受できる立場にあります。現代の利便性や安全性、豊かさを享受しながらも、今なお私たちに役立つ昔ながらの習慣を、意識的に育てていくことができるのです。
たとえ現代においても、私たちは皆、さまざまな試練に直面します。目標が達成できなかったり、自分自身や大切な人が健康の問題に苦しんだり、人生の意味や目的といった実存的な問い(人はなぜ生きるのか、人生に意味はあるのかといった根源的な問い)に向き合わざるを得なくなることもあります。
内なる強さの習慣を育てるのは、それが必要になってからではなく、必要になる「前」の今なのです。
内なる強さを生み出す、昔ながらの7つの習慣
ここで紹介する実践は、派手さはなく、SNSで注目を集めるようなものでもありません。むしろ、人生をより豊かで確かなものにする「静かなリズム」のような存在です。しかし、それらは今なお、これまで以上に大切なものだと言えるでしょう。
1. 太陽が昇る前に起きる
私はもともと早起きが得意ではありません。実際に「午前7時前に起きよう」と本気で決めたのも、ごく最近のことです。まだ完全に習慣化できたわけではありませんが、一日を先取りできる感覚には、確かなモチベーションがあります。その勢いが、自分自身を強く感じさせ、自然と行動へとつながっていくのです。
2. 毎日の肉体労働
現代では、多くの人が空調の効いたジムで運動したり、歩道を何キロも走ったりして体を動かしています。しかし、少し前までは、体を動かすことはそのまま労働でした。汗をかく仕事には、どこか懐かしく、荒削りながらも心を引きつける魅力があります。ジムは整った環境ですが、現実の世界はもっと雑然としていて、予測もつきません。そんな現実の中での労働こそが、日常に必要な本当の強さを育ててくれます。
3. どんなに小さな約束でも守る
私たちの多くは、自分を平凡だと思いながらも、「いざという時には立ち上がれる」とどこかで信じています。しかし現実には、緊急時や大きなチャンスの場面で頼りにされるのは、日頃から地道に準備を積み重ねている人です。同じように、本当に大切な場面で信頼されるのは、どんなに小さな約束も誠実に守る人なのです。
4. 質素な生活を実践する
私たちは比較的豊かな時代に生きていますが、倹約――無駄を避け、資源を大切に使う姿勢――の中には、今もなお大切にしたい価値があります。資源の限りや境界を意識して暮らすことで、自分が持っているものへの理解と感謝が深まります。また、質素な暮らしは工夫する力を養い、それ自体が内なる強さを育てます。常に必要以上のものに囲まれていると、そうした感覚は育ちません。
5. 定期的に祈る
私の文章を読んでくださっている方なら、信仰が私の人生において大きな意味を持っていることをご存じかもしれません。私は、その喜びを多くの人にも感じてほしいと、率直に思っています。もちろん、祈りに似た実践として、瞑想や感謝の習慣などもあります。しかし私の経験では、自分の感謝や願いを、自分を理解し、愛してくれている存在に向けることには、特別な力があります。
6. 不快な仕事を不平不満なく行う
私たちは、以前の世代と比べて、感情を大切にする時代に生きています。それ自体が悪いことだとは思いません。親しい人と内面を共有したり、複雑な感情を表現したりできることは、喜ばしいことです。ただし、それには適切な時と場があります。つらい仕事の中で不満を口にしてしまうと、状況が改善するどころか、かえって悪化することもあります。困難に毅然と向き合い、信頼できる少数の人にだけ心を開くことにも、大きな価値があります。
7. もてなしの心を持って生きる
かつての時代において、もてなしは楽しみであると同時に、必要性に支えられていました。当時の人々は、今ほどの豊かさや社会保障に頼ることができなかったため、互いに深く依存しながら生きていたのです。私も、現代の制度があることには感謝しつつ、その一方で、そうした制度によって失われた大切な価値があることも感じています。人は互いに支え合って生きる存在であるという認識は、とても健全で意義深いものです。依存関係は信頼や仲間意識を育て、私たちが愛する多くのものの基盤となります。こうした共同体は、困難な時代において、私たちをより強く、しなやかにしてくれるのです。
歴史は、内なる強さが、目的を持って積み重ねられた習慣の実践から生まれることが多いと教えてくれています。
(翻訳編集 井田千景)
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