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心でがんと闘う――15年再発を防いだ教授の体験

約19cmの腫瘍、肺への転移、そして何度もの治療──台北医学大学名誉教授の韓伯承(かん・はくしょう)さんは、肝臓がんを乗り越え、数々の逆境を克服しました。あれから15年、再発することなく健康を維持しています。彼は、その回復は医療だけでなく「感情の癒し」という強力な力のおかげだと語ります。その物語は、がんや人生の転機となる危機に直面している人々に、希望と洞察を与えるものです。
 

内側からの癒し:がんサバイバーの旅

がんと診断されたとき、病気への向き合い方や治療の進め方は、本人にとっても家族にとっても大きな課題です。韓さんにとっての転機は、医療的治療だけでなく、感情面での変化でした。

2008年、韓さんは肝臓がんと診断され、巨大な腫瘍(約19cm・約2kg)が見つかりました。肝臓の3分の2を切除する手術を受けた後、がんは肺にも転移。25回の化学療法、12回の放射線治療、分子標的薬治療を耐え抜きました。3年後の再発時には再び手術を受け、それ以降もがんを克服し続けています。

現在、健康を取り戻し、実年齢より若々しく見えるまでになったのは、心の持ち方が大きく変わったからだと話します。
 

心の癒し:回復に欠けていた重要なピース

韓さんは、癒しの重要な要素は「感情に向き合うこと」だと信じています。「すべての問題の根源は自分自身にあり、すべての問題の答えは愛です」と、NTDテレビの「健康1+1」インタビューで語りました。

大きな病の治療中、患者が抑うつや苛立ちを感じるのは自然なことです。しかし、長期にわたるネガティブな感情は回復を妨げることがあります。韓さんは、診断後の食事や生活習慣の改善と同じくらい、感情の管理が非常に重要であり、しかも最も難しい部分だと強調します。

がんと診断された当初の衝撃を、彼は「青天の霹靂のようだった」と振り返ります。化学療法で味覚を失い、妻が心を込めて作ってくれた食事に文句を言ってしまったこともありました。妻の涙を見て初めて謝罪し、それが夫婦関係の修復だけでなく、彼自身に大きな安らぎと幸福感をもたらし、それが回復の大きな原動力になったと語ります。
 

病の感情的な根源

韓さんは、慢性的なネガティブ感情が病状に影響を及ぼす可能性があると強調します。長期間心に抱えた恨みや悲しみ、恐怖は、免疫力を弱め、病気を引き起こしやすくすることもあります。

研究によれば、抑うつや不安はがんの治療や回復を妨げ、生活の質や生存率にも影響を与える可能性があります。韓さんは、がん患者に向けて「医療だけで全てが解決すると思い込むのではなく、感情面・精神面での変化も同じくらい重要であることを忘れないでください」と呼びかけます。

「常に苦しみの中に生きないで、ネガティブな感情に引きずられないでください」と韓さんは言います。

睡眠不足や無茶な食生活などの不健康な習慣も、多くは感情的ストレスから生じます。韓さんは、病気の背景にある感情的な要因──感情の管理不足、生活の不均衡、免疫力の低下──を見つめ直すことを提案します。大切なのは、これらの感情を認め、向き合い、変わる決意をし、免疫力を高めることです。それががん細胞の退縮や細胞記憶の良い方向への変化につながります。「心から始めてください。そうすれば正しい方向に進み始めます」と韓さんは言います。
 

幸せな心が良薬になる

食事や運動も重要ですが、韓さんは「真の癒しには、幸福と平和へ向かう内面的な変化が必要」だと強調します。喜びは「目に見えないが強力ながん予防の力」だと話します。

「幸せ」は、親切な行いや人助け、満足感を育むことで得られると韓さんは言います。文句を言う心を感謝する心に変えるには、思いやりが必要です。人の過ちに直面したとき、正否を議論するのではなく、理解することを選ぶこと──これは実は自分自身を助けることにもなります。これが、彼が幸福と健康を取り戻す鍵になったといいます。善行を重ね、人を助けることで、感情も健康も少しずつ改善されていきます。

研究でも、人に親切にする・支える・良い行いをすることで精神的健康が向上し、ポジティブな感情が生まれることが分かっています。これは身体的健康の改善にもつながります。さらに、気分が改善すると免疫の指標が変化し、免疫機能が強化されることも示されています。免疫力が高まれば、多くの健康問題を克服できるのです。韓さんは、これこそが「最もシンプルでコストのかからない健康法」だと話します。
 

心の平和が強さをつくる

10年以上にわたり、何度もの手術・化学療法・放射線療法・分子標的治療を乗り越えた韓さんは、今も健康的な生活を続けています。彼は、自身の経験を通じて、がん患者が闘病と回復に自信を持てるよう励まし続けています。

がん患者は、家族からの不満や誤解に直面することもあります。感情的負担や治療の負担、家庭内での役割の変化がその原因です。韓さんは、患者に向けて「まずは自分自身を受け入れ、育てること。他人にすべてを期待するのではなく、心を広く持ってください」と助言します。そして、人生を大切にし、今この瞬間を生き、できるだけリラックスして幸福を見つけることが大切だと語ります。自分の弱さに向き合い、そこから勇気を持って進むことが重要です。「心から変わり始めるとき、健康と希望がついてきます」と韓さんは結びます。

(翻訳編集 井田千景)

英文大紀元が提供する医療・健康情報番組「健康1+1」の司会者を務める。海外で高い評価を受ける中国の医療・健康情報プラットフォームであるこの番組では、コロナウイルスの最新情報、予防と治療、科学研究と政策、がんや慢性疾患、心身の健康、免疫力、健康保険など、幅広いテーマを取り上げている。