えのきと鮭の味噌ソテー ―― 免疫力を高める食養生レシピ

冬に入ると、インフルエンザなどの感染症が増えてきます。免疫力を高め、ウイルスの侵入から身を守りたい――それは多くの人の共通の願いでしょう。

中医学では、体の免疫力は「肺」と「脾」の働きの間に宿ると考えます。

肺は呼吸と気をつかさどり、体の表面を守る最前線として、外から入る冷えやウイルスに立ち向かいます。一方、脾は消化吸収を担い、気血を生み出す源で、まるでウイルスと戦うための“後方の補給基地”のような存在です。この二つがうまく連携してこそ、体を守る力がしっかり働きます。

そこで、この食養生レシピでは、肺の働きを助け、消化を促すえのきと、脾と腎を補い、体の土台を支える鮭を主役に据え、肺・脾・腎の三つを同時に整えることで、体の免疫力を高めることを目指します。
 

えのき――細く中が空洞の形が、肺を潤し気の通りを助ける

免疫の最前線は「肺」にあります。ウイルスは多くの場合、呼吸器から体内に侵入します。中医学では、肺は呼吸をつかさどり、体の表面を守る臓とされ、皮膚や粘膜は外界に対する最初の防御線です。

肺の気は、細かな毛穴を通して全身の体表に広がり、体を守る「衛気」をめぐらせます。これは、体を温めながら外邪を防ぐ、いわば「気のバリア」のようなものです。

肺の働きが十分であれば、毛穴の開閉は適切に保たれ、この衛気もスムーズに巡るため、寒さやウイルスは入り込みにくくなります。反対に、肺の力が弱まると、この守りがもろくなり、鼻づまり、息切れ、咳、発熱といった不調が現れやすくなります。

白いえのきは肺と相性がよい(shutterstock)

そこで力を発揮するのが、えのきです。細長く中が空洞の形は、気の流れを象徴するかのようで、とくに白いえのきは五行で「金」に属し、肺と相性がよいとされます。肺を潤し、気の巡りを助け、体表の防御力がスムーズに働くよう支えてくれる食材なのです。
 

きのこ類:腸内環境を整え、免疫力を支える

きのこ類は全体として、脾の働きを助けて気血の生成を促し、体内の余分な水分をさばきます。その結果、肺の働きの土台が整い、体を守る力も安定します。内側(腸と消化)と外側(体表の防御)がともに支えられることで、体のバランスが整い、免疫力も自然と安定していきます。

きのこは植物ではなく「菌類」です。そのため、β-グルカンやプレバイオティクスといった成分を豊富に含み、腸内細菌のバランスを整え、免疫細胞の働きを高めることが現代の研究でも明らかになっています。

きのこ類は体内の余分な水分をさばきます(Shutterstock)

森の湿った環境で育つきのこは、土の気をたっぷり含み、脾胃の働きと深く関わると中医学では考えられています。脾が整えば肺を養う源が生まれ、さらにきのこは肺を潤して呼吸器をやさしく支えます。そのため、古くから「気を補っても体を乾かさない食材」とされてきました。
 

鮭:やさしく補い、脾と腎を温める食材

鮭は味が甘く性質はおだやかで、身がきめ細かいのが特徴です。良質なたんぱく質とオメガ3脂肪酸を豊富に含み、気血を養い、脾と腎をやさしく支え、心臓や脳の血の巡りをよくします。

鮭は心臓や脳の血の巡りをよくする食材とされている(Shutterstock)

中医学では、鮭は黄色みを帯びた色から「土」に属し脾を補い、水中で育つことから腎にも入ると考えられています。補っても体を乾かしすぎず、精を養い、骨髄を満たす――そのため、脾と腎という体の土台を穏やかに温める食材とされています。

五行では、脾胃は「土」、肺は「金」、腎は「水」にあたります。この三つが互いに支え合って巡ることで、体を守る力も、滞ることなく安定していくと考えられています。
 

レシピ:えのきと鮭の味噌ソテー

材料(4人分)

  • 鮭……4切れ(約400g)
  • えのき……100g
  • 舞茸またはしいたけ……80g
  • しょうが(みじん)……小さじ1
  • 味噌……大さじ1
  • みりん……大さじ1
  • しょうゆ……小さじ1
  • 酒……大さじ1
  • ごま油……少々

作り方

1.味噌・みりん・しょうゆ・酒を混ぜてタレを作る。
2.鮭に軽く塩をふり、10分ほど置いて水気をふき取る。
3.フライパンにごま油を熱し、鮭を両面こんがり焼く。
4.しょうがとタレを加え、弱火で軽く絡めて照りが出るまで火を通す。
5.別のフライパンできのこ類をさっと炒め、器に敷き、上に鮭をのせてタレを少量かける。

効能

  • きのこは消化を助け、肺の働きを支えます。
  • サーモンは気血を補い、腎の力を養います。
  • 味噌は胃腸を整え、しょうがは体を温めます。

この料理は、胃腸の働きを支えながら体を内側から温め、血のめぐりを穏やかに整えることで、風邪をひきにくい状態に整えてくれます。

仕上げに刻んだ紫蘇を散らすと、香りが立って食べやすくなり、寒気を感じるときや軽い不調があるときにおすすめです。