鉄は人間の身体機能を維持するために必須のミネラルであり、赤血球を作るうえで重要な要素です。鉄不足は鉄欠乏性貧血を引き起こし、倦怠感や虚弱などの症状を招きます。しかし、牛肉・羊肉・豚肉など赤身肉から鉄を摂取すると、健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。
研究によれば、週に1食以上赤身肉を食べることで2型糖尿病のリスクが高まることが分かっています。今年初めの別の調査でも、加工肉の摂取ががんや認知症などの病気のリスク増加につながることが示されました。
一方、ボストン・ブリガム&ウィメンズ病院の昨年の調査によると、アメリカ人の約3分の1が未診断の鉄欠乏症にかかっている可能性があり、疲労や動悸、頭痛、脳のもやもや感、脚の不快感などの症状を引き起こすこともあります。
では、医師が推奨する成人男性1日約8mg、成人女性約18mgの鉄分を、どのように食事から摂取すればよいのでしょうか。登録栄養士メギー・コネリー氏が「CBS News」で語ったところによると、赤身肉を食べない場合でも、鉄を豊富に含む食品はたくさんあります。

コネリー氏の勧める植物性鉄分の主な供給源は、レンズ豆、豆類、豆腐、かぼちゃの種、ホウレンソウなどですが、これらの鉄分は吸収率が低いため、ビタミンCと一緒に摂る必要があります。
また、牡蠣、アサリ、イワシなど一部のシーフードも良い選択肢です。
登録栄養士で栄養サービスサイト「The Nutrition Changer」運営者のジャン・チェンズ(Qianzhi Jiang)氏は、鉄分源として強化パンや強化穀物も挙げています。
強化パンとは、通常のパンに栄養素を追加して栄養価を高めたパンで、焼成過程で失われがちな栄養素を補い、追加の栄養的メリットを提供します。
アメリカ国立衛生研究所の情報では、アメリカ人の食生活における鉄分のおよそ半分が、パンや穀物、その他のシリアル製品から供給されています。
ジャン氏は、ナッツや豆類など植物由来の鉄分は体内で吸収しやすい形に変換する必要があるため、植物性鉄分はビタミンC豊富な食品と一緒に摂るのが最適だと補足しています。
さらに、サプリメントという選択肢もあります。
「栄養はできるだけ自然な食物から摂るべきであり、サプリメントはビタミンやミネラル補給の補助手段と考えられます。栄養素を最大限摂り入れつつ、過剰摂取のリスクを最小限に抑えることが重要です」とジャン氏は語ります。
動物の肝臓や豚血、鴨血もヘム鉄を多く含み、吸収しやすい鉄分補給源です。
鉄分が豊富な果物には、黒ナツメ、赤ナツメ、レーズン、龍眼のドライフルーツ、マンゴー、赤肉のスモモ、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツなどがあります。果物の鉄分含有量は多くありませんが、ビタミンCが豊富なため非ヘム鉄の吸収を促進します。
(翻訳編集 里見雨禾)
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