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バナナサンドで秋の「燥熱便秘」をやさしく解消

秋になると乾燥の気が立ち、まず肺が傷つきやすくなります。さらに今年の秋は、中医学の五行でいうところの「風熱の秋」にあたり、風が火をあおって暑さがなかなか収まらず、その影響で「燥熱性便秘」を起こしやすいのです。

そんなとき、バナナサンドイッチなら、手軽に作れてこの症状を簡単に緩和してくれます。

肺と大腸――気の流れでつながる秘密

中医学では、肺と大腸は「陰」と「陽」の表裏関係にある、密接なパートナーと考えられています。肺は「臓」に属し、体の内にあって陰の働きを担い、大腸は「腑」に属し、外界とつながる陽の働きを持っています。ちょうど夫婦のように、喜びも苦しみも分かち合う存在なのです。

肺は五行で「金」に属し、火は金を制する性質を持ちます。秋が「風火の季節」となり、燥熱が肺を傷めると、その影響は大腸にも及びます。すると、便が乾いて固くなり、うまく押し出せなくなる状態が起こりやすいのです。

まるで、炎天下で川の水が干上がり、船が水も動力もなく立ち往生してしまうようなもの。肺と大腸の関係は、そんな密接で繊細なつながりを持っているのです。
 

バナナ――お手頃価格の“腸を潤す名人”

潤いを与えて便通をよくする薬膳食材といえば、梨やはちみつ、白きくらげを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど、実はもっと身近で親しみやすい存在があります。それが バナナ です。

バナナは「寒性」で、肺と大腸に働きかけるとされ、肺を潤し、大腸を整えて熱を冷ましながら便通を促す作用があります。特に秋の「燥熱性便秘」に悩みやすい人にぴったり。しかも甘くてやわらかく、価格も手ごろで、子どもからお年寄りまで誰でも食べやすい――まさに庶民に寄り添う果物です。

ただし注意点もあります。バナナは体を冷やす性質があるため、空腹時にそのまま食べると胃腸を冷やしてしまうことがあります。そこで一工夫、ほかの食材と組み合わせてバランスを取るのがおすすめです。
 

バナナサンドで美味しく養生

バナナを取り入れる一番のおすすめは、朝食をサンドイッチにすること。

全粒粉のトーストに目玉焼きをはさみ、その上に熟したバナナの薄切りを重ねます。甘めが好きな方は、はちみつをひとさじかけてもOK。卵とパンの温かい性質が胃腸を守りつつ、バナナの潤腸作用はそのまま保たれます。さらに、はちみつには肺を潤し、咳をやわらげ、痰を整える効果もあり、まさに一石三鳥の組み合わせです。

バナナサンド(Shutterstock)

もっと風味を楽しみたい方には、アレンジもおすすめです。

  • シナモンパウダーをひと振りすれば、脾胃を温めると同時に、香ばしい甘い香りで心まで温まります。
     
  • ミントの葉を数枚加えると、さわやかで気分もリフレッシュ。気の巡りを整える作用も。
     
  • バジルの葉を加えると、清々しい香りが食欲をそそり、ひと味違った風味に。

数枚のハーブを添えるだけで、風味に深みが増すだけでなく、食養生としての効果もぐっと高まるのが魅力です。
 

体質に合わせたちょっとした工夫

のどが渇きやすい、肌が乾燥している、尿が濃い、便がかたくて出にくい――そんな方には、このバナナサンドイッチがぴったりです。

一方で、もともと手足が冷えやすい方や、お腹をこわしやすい方は、バナナの量を少なめにするのがおすすめ。その代わり、トーストを両面こんがり焼いて香ばしく仕上げると、消化を助けてくれます。さらに、ジンジャーティーやウーロン茶を一緒にいただけば、体を温めて胃腸を守り、冷えからくる不調を防ぐことができます。