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誤用が招く危険

電子レンジの真の危険は誤用にあり:ケガと有害物質のリスク

電子レンジはとても便利な家電で、簡単に料理を作ったり食べ物を温めたりすることができます。しかし、本当に安全なのでしょうか?放射線の危険はないのでしょうか?実は、2つの誤った使い方をすると、それによって有害物質が発生したり、やけどを負ったりするリスクがあるのです。
 

電子レンジに放射線の危険はあるのか?

操作が簡単で便利な電子レンジは、生活に欠かせない家電の一つですが、常に懸念されるのが「放射線」の問題です。電子レンジは本当に放射線の危険があるのでしょうか? 実際には、電子レンジが発するのは低周波のマイクロ波で、水分子を振動させて熱を発生させ、その熱で食べ物を温めます。このマイクロ波の周波数は分子の結合や原子構造を壊すほど強くはなく、人間の細胞DNAに危害を与えることはありません。

「多くの人は電子レンジは危険だと誤解しています」と台湾の中興大学食品暨応用生物科技学系の周志輝教授は台湾食薬署にこの様に解説しています。「実際には電子レンジは密閉されており、マイクロ波は外に漏れないのでとても安全です」

米国食品医薬品局(FDA)も、電子レンジのドアロックやパッキンが壊れていない限り、マイクロ波が漏れて人体に害を及ぼす心配はないとしていますが、しかし、電子レンジが作動している間は寄りかからないようにと注意を促しています。

興味深いことに、電子レンジは水分子を直接振動させて加熱するため、栄養素が多く残りやすいという利点もあります。コーネル大学が行った実験では、電子レンジでほうれん草を調理した場合、水溶性ビタミンがほぼすべて残ることが確認されました。これに対して、ゆでた場合は77%もの水溶性ビタミンが失われました。
 

電子レンジに入れてはいけないもの ― 容器と食品に注意

電子レンジによる事故の多くは、誤った容器の使用、あるいは電子レンジに適さない食品を入れることによって起こります。

1. 電子レンジに入れてはいけない容器や物: 色付きプラスチック容器、メラミン食器(金属のような質感を持つ硬い合成樹脂)、金属で縁どりされている容器、金属鍋やアルミホイル、ラップフィルム。

台湾林口長庚臨床毒物センターの看護師、譚敦慈氏によると、電子レンジで最も問題となるのは、使用する容器から有害物質が出ることだと指摘しています。カラフルな容器、一般的なプラスチック容器、メラミン食器、ラップフィルムは高温で有害物質を放出しやすいのです。

電子レンジに適した容器は、ガラス、陶器、または耐熱性プラスチック(PP=ポリプロピレン、プラスチックリサイクル識別コード5番)です。

コンビニの電子レンジ対応食品は基本的に耐熱性プラスチック容器を使用していますが、加熱前に外包装にある耐熱温度、電子レンジ対応マーク、材質表示を確認し、加熱しすぎて耐熱温度を超えないように注意が必要です。

譚氏は、コンビニで惣菜を買うとき、自分でガラス容器を持参し、そこに移し替えてから加熱すると話しています。もし適切な容器を持っていない場合は、長時間加熱せず、口に入れて熱すぎない程度で止めるべきです。例えば、紙碗や紙パックには内側にプラスチックの膜があるため、短時間だけ温めるのが良いとされています。

金属縁の容器や金属鍋、アルミホイルは電子レンジで火花が出やすいため、使用しない方が安全です。

電子レンジで食品を加熱する際は、容器はガラス、陶器、または耐熱プラスチックを選びましょう。(shutterstock)

 

2. 電子レンジに入れてはいけない食品: 膜があるもの、殻付きのもの、皮付きのもの、密封包装のもの

卵、栗、ぶどう、パック牛乳などは、電子レンジで加熱すると破裂します。特に卵の破裂はよく報告されています。台湾のテレビ番組《流言追追追》の実験では、殻付き生卵、殻付きゆで卵、殻が割れたゆで卵、殻なしゆで卵を電子レンジに入れると、すべて爆発し、その威力は状況によって異なると確認されました。

別の実験では、目玉焼きや半熟の目玉焼きを電子レンジで温めると、加熱中は爆発しなくても、取り出して箸で突いた瞬間に黄身が破裂しました。これは卵の中の水分が加熱で水蒸気となり、膜に閉じ込められて膨張し爆発するためです。この様に顔や目にかかると大けがにつながります。

譚氏は、膜のあるもの、殻付き、皮付き、密封包装の食品を電子レンジに入れる場合は必ず穴を開けたり、切れ目を入れて蒸気が逃げるようにすべきだと強調しています。例えば、卵黄には膜があるため、電子レンジで目玉焼きを作る際には必ず黄身を刺してから加熱する必要があります。
 

電子レンジを安全に使うための4つのコツ

容器や食品の選び方以外にも、安全に電子レンジを使うためのちょっとした工夫をお伝えします。

1. 加熱の途中で取り出してかき混ぜる

譚氏は、家族が遅く帰ってきたときなど、電子レンジで料理を温め直すそうです。「私は最初に50秒加熱してかき混ぜてから、もう一度50秒加熱しています。そうすることで全体が均一に温まります」と話しています。電子レンジは加熱にムラが出やすいため、加熱 → かき混ぜ → 再加熱を行うことで、細菌をしっかり死滅させられます。特に前日の料理を温め直すときは必須です。
 

2. 量が多いスープは火で煮沸する

500ml以上のスープは鍋で火にかけて煮沸するか、電気鍋で徹底的に温める必要があります。水分量が多いスープは電子レンジだけでは殺菌が不十分だからです。実際、鶏スープを電子レンジで何度も温め直して食中毒になった事例が毎年報告されています。

電子レンジを使い終わったら、その都度きれいに掃除して、食べ物の残りかすが菌を繁殖させたり、有害物質を発生させたりしないようにしましょう。

電子レンジを使った後はすぐにきれいに掃除し、食べかすが菌を繁殖させたり有害物質を発生させたりするのを防ぎましょう。(shutterstock)

 

3. 水を長時間加熱しすぎない、また入れすぎない様に

電子レンジで長時間加熱した水は、見た目は静かでも取り出して揺らすと突然沸騰し、吹き出すことがあります。これは「突沸」と呼ばれ、やけどの原因になります。牛乳やスープなど不純物を含む液体は構造が壊れているため起こりにくいですが、水だけを加熱するときは長時間や入れすぎを避けましょう。加熱前にかき混ぜたり、インスタントコーヒーや砂糖などを加えると突沸のリスクを下げられます。
 

4. 加熱時はフタをし、使用後はこまめに掃除する。

電子レンジを使うときは、対応したフタを軽くずらしてかぶせ、食材が飛び散らないようにしましょう。特に油がはねやすい料理では注意が必要です。

使用後はすぐ掃除することも大切です。食べ物の残りが庫内にこびりつくと、カビや菌が繁殖し、再加熱で有害物質が発生することがあります。掃除は濡れ布巾で拭くか、水を入れた容器を電子レンジで少し加熱して蒸気を庫内に行き渡らせ、その後しっかり拭き取ります。掃除後はドアを開けて水分を飛ばし、乾燥させてから閉めると良いでしょう。

(翻訳編集 井田千景)

蘇冠米