日本にも流入している可能性がある中国製の格安アクセサリーは、深刻な健康被害を招く恐れがあると指摘する。検査では、発がん性物質カドミウムが基準の1179倍に達する例も確認され、刻印や証明書があっても安全は保証されないという。
中国では銀価格の高騰に伴い、偽造の銀アクセサリーが市場にあふれ、被害が相次いでいる。
湖北省武漢市では、ネットで約4千円で購入したネックレスを入浴や就寝時も外さず着け続けた女性が、約1か月後に首に赤い斑点や水ぶくれを発症。「アクセサリー病(接触性皮膚炎)」と診断され、原因はネックレスに含まれるニッケル、コバルト、クロムなどの重金属だった。

医師によれば、夏場は汗や高温で金属成分が溶けやすく、皮膚に吸収されることでかゆみや灼熱感、潰瘍、色素沈着などを引き起こす危険が高まる。こうした症例は珍しくなく、特に合金製の首飾りは長時間の着用を避けるべきだという。
こうした被害の背景には、重金属を大量に含む偽銀製品の横行がある。
ある調査では、中国で人気の「925シルバー(素材の92.5%が純銀)」刻印入り耳飾りやネックレスの6割以上が銅合金製で、ニッケル溶出量は基準の61倍、カドミウムは1179倍という例も確認した。カドミウムは世界的に高毒性が知られ、日本でもカドミウムの慢性中毒による「イタイイタイ病」は有名だ。
イタイイタイ病は腎臓障害に加えて、骨軟化症(骨がもろくなる病気)も引き起こし、骨の激しい痛みや骨折を伴うため、「イタイ、イタイ」と患者が泣き叫ぶことから、この名前が付けられた。
国際がん研究機関(IARC)ではヒトに対して発がん性がある物質と分類されており、人体内でほとんど代謝されない。
さらに、19種類のアクセサリーを調べた別の検査では、鉛やクロムに加え、スカンジウムやトリウムといった稀少金属も検出され、一部は深刻な基準超過だった。

専門家は、こうした偽銀製品の多くが工業廃金属由来で、健康被害の危険性が極めて高いと警告する。露店や観光地の土産物、ネット通販の低価格品は特に危険で、適正価格(銀価格+加工費+流通費)を大きく下回る製品は避けるべきだという。
業界関係者によれば、多くの「S925」刻印は本物の証ではなく、安価に刻印や証明書を入手できる。ネット通販業者が大量に仕入れているアクセサリー店の経営者によると、多くの「S925」刻印入り銀耳飾は実際には鍍(メッキ)銀製で、刻印は注文に応じて容易に打てるという。
日本にも流入している可能性が高い中国製の格安アクセサリー。健康被害を防ぐためにも、出所が確かな製品を選び、安さだけで手に入れないよう注意が必要だ。ご用心あれ。

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