中国の臓器収奪問題を訴えるポスター展 来場者は衝撃や驚き隠せず
国際ポスターコンクール入賞作品を展示 市民からは驚きと怒りの声
2025年9月11日(木)から15日(月)までの5日間、東京・池袋の豊島区民センターのエントランスにて、中国における臓器収奪の実態をアートで表現したポスター展が開催された。
この展示では、2020年に実施された国際ポスターコンクールの入賞作品が紹介された。コンクールは、国際臓器移植ケア協会(台湾)、臓器移植倫理協会(韓国)、そして日本の「中国における臓器移植を考える会(SMGネットワーク)」の共催によって行われた。
世界70か国から1049点の作品が集まり、その中から審査を経て選ばれた作品を展示。アートを通して、臓器収奪という重いテーマに対し強いメッセージが発信された。
「血も涙もないシステムに衝撃」市民の声
仕事の合間に作品を見に来たという東京北区在住の江口直子さんは、
臓器売買のニュースは耳にしたことがあったが、今回ポスターを鑑賞し、「合理的すぎる、血も涙もないシステムを思いついたんだな」と、その冷徹さにショックを受け、臓器を待つ人の事情も分かるが、このやり方は許せないと述べた。
また案内人から中国の臓器移植の実態を聞き、中国の知人は良い人ばかりだが、国としては信用できないと感じる。儒教や東洋医学など素晴らしい文化があった「かっこいい中国はどこに行ってしまったんだろう」と嘆いた。また臓器収奪の話は耳にしていたが、法輪功が迫害されており、多くの学習者が臓器収奪の犠牲になっていることについては初めて聞き、驚いたと述べた。
そしてもし自分の子供が明日にも心臓が止まる状況だったら、悪魔がちらつく(このシステムに頼りたくなる)かもしれない。遺体に傷をつけたくないという理由でドナー提供を嫌がる人がいることも理解しているが、やはり誰も傷つけない正当なシステムで命が繋がれていくべきだ。自身は健康保険証のドナーカードには意思表示をしているが、ドナーになる機会はなかなかないと語った。
「報道が少なすぎる」市民からメディアへの問題提起も
展示会場を訪れた山下部さんは、中国での臓器収奪について、10年ほど前に東京・上野でチラシを受け取り、初めて知ったと話す。
また「中国共産党による臓器収奪の問題は、新聞もテレビもほとんど報道していない。こういった人権問題は、もっと広く取り上げられるべきだと思う」と述べた。
13日(土)には、同会場でドキュメンタリー映画『ヒューマン・ハーベスト(Human Harvest)』の上映も行われた。中国での生体臓器移植の実態を描いたこの作品を鑑賞した山下部さんは、次のような感想を述べた。
「これは別世界の話ではなく、現実に起こっていることだと知って驚いた。人権が度外視されている状況で、臓器摘出が堂々と行われている。本来ならば、マスコミが大々的に報道して(世の中の流れを)是正する方向に向かっていかなくてはいけないが、それがまったく行われていない現状に虚しさを感じる」
「もっと多くの人にこの問題を知ってもらい、状況が改善できることを願っている」
「人を人でなくす社会は罪」展示が投げかける倫理的問い
別の来場者である岡さんは、『ヒューマン・ハーベスト』を鑑賞し、「共産党が人を人でなくすような社会を作ってしまっているのは非常に罪なことだ」と非難した。
また、「こうした悪魔的な行為が他の地域や国に波及しないように、声を上げる必要があると思う。犠牲になった人々の命や、その魂、心は今どこでどうさまよっているのか」と述べた。
今回のポスター展は、アートという表現手段を通じて、一般の人々に人権問題としての「中国における臓器収奪」の現状を訴える重要な機会となった。報道されにくいテーマに目を向けさせるこのような取り組みが、今後の世論形成に一石を投じることを期待する。