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マグネシウム不足がうつ病と関連、効果的な補充方法

マルシア・ロッソーさんは、数か月にわたり体調不良を感じていました。

「いつも泣いていたわけではありませんが、常に軽度の不安と、振り払えない奇妙な重さを感じていました」と、彼女はエポックタイムズに語りました。

睡眠は回復をもたらさず、意欲が低下し、些細なタスクも負担に感じるようになりました。機能医学の医師に相談したところ、食事内容を尋ねられ、詳細な栄養検査を受けた結果、マグネシウム不足が判明しました。食事の改善と適切なサプリメントにより、霧が徐々に晴れていったのです。

同じような症状を感じているなら、こう考えてみる価値があります:マグネシウム不足が原因の一部かもしれません。マグネシウムは気分の調節に重要な役割を果たしますが、米国では推定45%の人が十分に摂取できていません。
 

マグネシウムが気分に与える影響

13,000人以上を対象とした大規模研究では、マグネシウムレベルとうつ病に強い関連があることが明らかになりました。マグネシウム欠乏スコアが1ポイント上昇するごとに、うつ病リスクは13%増加します。マグネシウム欠乏スコアは、特定の薬、アルコール使用、腎臓の問題など一般的なリスク要因を評価し、マグネシウム不足の可能性がある人を特定するための指標です。

食事の改善やリスク要因の管理によりマグネシウム欠乏スコアを下げることで、うつ病の予防や症状の緩和に役立つ可能性があります。

『Nutrition Reviews』に掲載された63,000人以上を対象としたメタ分析では、マグネシウム摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べ、うつ病リスクが34%低いことが示されました。

マグネシウムは、グルタミン酸やガンマ-アミノ酪酸(GABA)など、気分に関わる重要な脳内化学物質を調節します。マグネシウムが不足すると、これらのシステムのバランスが崩れ、ストレスへの対処が難しくなり、うつ病リスクが高まります。

「マグネシウムは、リラクゼーションとストレス軽減に不可欠なGABAシステムを支える重要な役割を果たします」と、機能統合医学の医師ナタリー・モロー博士はエポックタイムズに語りました。

また、マグネシウム不足は神経細胞を損傷する可能性があると、登録栄養士で360Girls&Women B.E.A.T Gestational Diabetesの創設者スー・エレン・アンダーソン・ヘインズ氏は述べています。

「これがうつ病として現れることがあります」と彼女は語りました。

さらに、マグネシウム不足はうつ病と関連する炎症や酸化ストレスを悪化させ、気分調節に関わる扁桃体や視床下部といった主要な脳領域にも影響を及ぼす可能性があります。
 

マグネシウム不足の一般的な原因

治療オプションを検討する前に、まずマグネシウムレベルを下げる原因を理解することが重要です。

ストレスは主要な要因の一つだと、登録栄養療法士のカトリーナ・ファレル氏はエポックタイムズに語りました。

「短期でも長期でも、ストレスを感じると体はストレス反応の一環としてマグネシウムを放出します。これは、ストレスがマグネシウムの貯蔵を急速に枯渇させることを意味します」と彼女は述べました。

つまり、ストレス下では腎臓からより多くのマグネシウムが排泄されるのです。

また、過剰なカフェイン摂取、穀物の精製、食品加工もマグネシウムレベルを低下させます。さらに、ホウレン草や豆類などマグネシウムを多く含む食品を茹でると、ミネラルが調理水に溶け出し、マグネシウムが失われます。生の全粒食品を選ぶことで、より強力な自然のマグネシウム源が得られるとファレル氏は指摘しました。
 

1日に必要なマグネシウム量

マグネシウムの気分への影響を考えると、毎日十分に摂取することが重要です。

『Nutrition Reviews』に掲載されたメタ分析では、1日あたり100mgのマグネシウムを追加で摂取するごとに、うつ病のリスクが7%低下することが分かりました。最大の効果は、摂取量が約170mgから370mgに増加したときに現れました。これらの結果は、特に精神的健康において高めの摂取量が有益であることを示唆しています。

ただし、米国国立衛生研究所は、サプリメントからのマグネシウムは1日350mgを超えないよう警告しています。過剰摂取は副作用を引き起こす可能性があるためです。この制限は食品に自然に含まれるマグネシウムには適用されません。

参考までに:

  • 調理済みのホウレン草約100g→ 約150mg
  • アーモンド約28g → 約80mg
  • 黒豆約50g → 約60mg

また、マグネシウムサプリメントの中では、トレオネート、グリシネート、クエン酸マグネシウムなどの形態は、他のものよりも生体利用率が高いとされています。
 

精密栄養学を活用した不足への対処

マグネシウム豊富な食品を摂取したり、サプリメントを利用したりすることは多くの人に役立ちますが、うつ病など気分障害が関わる場合には、より個別化されたアプローチが必要となることがあります。ここで役立つのが精密栄養学です。これらの新しいツールは、一般的なアドバイスを超えて、より個人に合わせたケアを提供します。

以下の精密診断ツールはマグネシウム不足を直接治療するものではありませんが、潜在的な不均衡や吸収の問題を特定するのに役立ちます。検査結果が出れば、医療従事者はそのデータを活用して、サプリメントの形態や用量の調整、併存する栄養素不足の対処、腸の健康改善など、患者のニーズに合わせた精密な介入を設計できます。

マグネシウム欠乏スコア

標準的な血液検査では体内に蓄積されたマグネシウム量を正確に反映できないため、医療従事者は「マグネシウム欠乏スコア」などのツールを用いることがあります。

このスコアは、アルコール使用、プロトンポンプ阻害剤や利尿剤などの薬、糖尿病、腎機能といった要因を考慮し、他の血液検査が正常範囲内であってもマグネシウム不足の可能性が高い人を特定します。

個別化マグネシウムサプリメント計画

マグネシウム赤血球検査や細胞内マグネシウム検査といった新しい方法では、赤血球内のマグネシウムを測定し、長期的な状態をより正確に把握できます。このデータに基づき、機能医学の医療従事者は個人のニーズに合わせてマグネシウムの形態や用量を調整できます。

遺伝子型に基づく栄養指導

新しい遺伝子検査では、体がマグネシウムをどのように吸収・利用するかを調べます。遺伝子変異はマグネシウムの吸収や保持の効率に影響を与える可能性があり、それによってより個別化された食事やサプリメント戦略を導ける場合があります。

マイクロバイオームに基づく推奨

マグネシウムは腸で吸収されるため、便検査によって吸収を妨げるマイクロバイオームの不均衡を特定することがあります。

プレバイオティクス、プロバイオティクス、発酵食品などで腸内環境を改善することで、マグネシウムの吸収を高め、気分の安定を支える可能性があります。

スマートな食事追跡ツール

新しいアプリケーションは食事内容を分析し、マグネシウム摂取量の不足を指摘できます。

一部のアプリでは、栄養摂取量と時間の経過に伴う気分変化を関連付け、マグネシウムが気分にどのように影響しているのかをユーザーが理解するのに役立ちます。

(翻訳編集 日比野真吾)

ゼナ・ルー・ルーは、健康ジャーナリストで、健康調査ジャーナリズムの修士号を持ち、機能栄養に特化した認定健康およびウェルネスコーチです。スポーツ栄養学、マインドフルイーティング、内的家族システム、および応用ポリヴェーガル理論のトレーニングを受けています。彼女はプライベートプラクティスで働き、英国に拠点を置く健康学校の栄養教育者としても活動しています。