アジアの自由と民主主義を求め東京で連帯集会開催 各民族が中国の「国境を越えた弾圧」を告発
アジア自由民主連帯協議会は東京都・高田馬場で11月9日、「第15回 アジアの民主化を促進する東京集会」を開催した。中国共産党の覇権主義がアジア全域に深刻な影響を及ぼす中、チベット、ウイグル、南モンゴル、香港、台湾、カンボジア、ミャンマーなど、圧政下で苦しむ各民族の代表が一堂に会し、それぞれの現状を報告。日本と国際社会に向け、自由と民主主義のための連帯を強く訴えた。
集会では、日本の情報史学者で千葉県の麗澤大学客員教授の江崎道郎氏による基調講演も行われ、米政策にも大きな影響を与えるシンクタンク、ハドソン研究所の報告を元に、中国共産党が経済・社会の構造的な問題を抱えており、いずれ崩壊する蓋然性が高いという観点から、中国共産党体制崩壊後のシナリオを見据えた戦略的な議論が展開された。最後に、参加者一同で全体主義を断固否定し、自由と民主主義のために戦うことを誓う決議文が採択された。
アジア各民族からの叫び
集会では、チベット・ウイグル・南モンゴルなどの民族の代表や民主活動家が登壇し、中国共産党による直接的・間接的な弾圧の実態を生々しく語った。
アジア自由民主連帯協議会の会長ペマ・ギャルポ氏は今年3月にベトナムでチベットの著名な僧侶フンカル・ドルジェ氏が中国の秘密警察に拘束され、不審死を遂げた「暗殺事件」を報告。さらに、中国共産党政府が「民族団結促進法」によってチベット語や伝統文化を奪う同化政策を法的に正当化しようとしていると警鐘を鳴らし、「アメリカ独立宣言にあるように、我々にも自分たちの政府を作る権利がある」と民族自決権を訴えた。ギャルポ氏は「中国共産党は犯罪組織であり、テロ国家だ」と強く非難している。
「在日カンボジア救国活動の会」の露木ピアラ氏は独裁政権にオンライン詐欺の関与で指定されているプリンスグループ会長の陳志が2017年にカンボジアの国籍を取得し、フン・マネット首相の、顧問になっていると告発。
日本で民主化活動を行う自身や仲間に対し、本国の家族への脅迫、SNSアカウントの凍結といった「国境を越えた弾圧」が激化していると訴えた。特に、活動家である兄弟のために、父親が冤罪で投獄され、獄中で適切な治療を受けられずに亡くなった悲痛な事件を語り、会場は静まり返った。
1989年の天安門事件をきっかけに設立された民主化団体「民主中国陣線」の代表として登壇した王戴氏は「中国民主化運動は、国内の少数民族が受けてきた弾圧の歴史を直視し、謝罪するところから始まるべき」と述べ「中国共産党体制の本質的な問題である『大中華主義』を乗り越え、各民族の自決権を尊重する新しい社会を目指す」という明確なビジョンを示した。王氏は内外で続く共産党の巧妙な弾圧に屈せず、普遍的価値を共有するアジアの仲間たちと連帯して戦い続けることの重要性を訴えた。
2021年のクーデター以降、軍事政権による弾圧が激化し、国民がデジタル監視や空爆の恐怖に晒されていると報告。中国が軍事政権の最大の支援者であり、ミャンマーが中国の「従属政権」と化していると指摘。「日本の『静かな外交』はもはや通用しない。人権問題に沈黙するなら、人道に対する罪への『共犯リスク』を負うことになる」と、日本政府に明確な行動を求めた。
集会決議文「全体主義を断固否定し、自由のために戦う」
集会の最後に、参加者一同で決議文が採択された。決議文では、高市早苗総裁が南モンゴル支援のメッセージを送ったことに対し、中国外務省が「内政干渉だ」と即座に抗議した事例を挙げ、中国の強硬姿勢を批判。
その上で、ウイグル、南モンゴル、チベットにおいては母語を奪い、文化抹殺、香港や中国本土では民主化運動や法輪功に厳しい人権弾圧、中国の「国境を越えた弾圧」は、アジア全域に深刻な脅威を与え、カンボジアやミャンマーの独裁体制を背後で支えていると指摘。「私たちは、アジア、そして世界で全体主義を断固否定し、自由、民主主義の側に立って戦うことをここに誓う」と締めくくられた。