肩の動きが制限されていたり、軽い痛みを感じたりしたときに、「安静にしたほうがいいのか、それとも動かしたほうがいいのか」分からないという人は多いです。
理学療法士のデューク・パン氏は、安静にすることで一時的に痛みが軽減する場合もありますが、長期間動かさないでいると、関節包(関節を包む膜)が炎症を起こしたり、組織が癒着したりして、「凍結肩(五十肩)」または「癒着性関節包炎」と呼ばれる状態に進行してしまう可能性があると説明しています。
パン氏は、肩の可動域を自分でチェックする簡単な方法と、関節の自然な回復を助ける運動を紹介しています。
安静にすべきか、それとも動かすべきか?
痛みがあるときに肩を動かすと悪化するのではないかと心配する人もいます。
パン氏によると、まず大切なのは「肩関節の状態を見極めること」で、そのうえで安静にするか、動かすかを判断することです。この判断は、肩が「急性期」にあるかどうかを見極め、痛みの程度を評価することで決められます。
急性期
肩をケガしてから1〜3日ほどの間は、体が炎症や腫れの段階にあります。この時期は「保護」が最優先であり、過度な動きは避ける必要があります。
急性期を過ぎた段階(回復初期)
急性期を過ぎたら、痛みの程度を0〜10のスケールで判断します。0は痛みがない状態、10は最も強い痛みを意味します。
痛みが3以下(軽いこわばり、張り、またはわずかにチクチクする痛みなどで、動かしても我慢できる程度)であれば、軽い運動を始めても問題ないとパン氏は述べています。
肩の可動域を確認するための3つの簡単セルフテスト
パン氏によると、医師が肩の可動域を評価する前には、まずX線で骨に異常がないか確認するのが一般的です。
次の3つの動作を自宅で試すことで、自分の肩の動きをチェックすることができます。
1. 腕の前上げテスト
腕を体の横でリラックスさせ、肘をまっすぐにしたまま前方に持ち上げます。理想的には140〜180度まで上がるのが正常です。もし90度あたりで痛みや張り、こわばりを感じた場合は、可動域の制限があるサインです。
2. 腕の横上げテスト
腕を体の横に置き、肘をまっすぐにして外側へ持ち上げます。まず90度(腕が床と平行になる位置)まで上げ、その後耳の高さ(約180度)まで上げてみましょう。その動作中に痛みが出るかを確認します。
3. 肘を曲げた回旋テスト
両腕を肩の高さで床と平行に上げ、肘を90度に曲げます。前腕を上向き(外旋)・下向き(内旋)に回して、関節の柔軟性を確かめます。
肩のセルフリハビリに役立つ4つの運動
テストの結果、肩の可動域が軽度に制限されているだけであれば、パン氏は次の4つのリハビリ運動を勧めています。
1. 壁を使った肩の外転運動
手順:
- 背中と腰を壁につけて立ちます。首はリラックスさせ、壁につける必要はありません。
- 両腕を壁に押しつけながら、ゆっくり90度まで上げます。
30〜90度の範囲で快適に腕を上げられるようになったら、次の運動に進みます。
2. 発展型・肩の外転運動
手順:
- 前の運動と同じ姿勢から、肘を少し内側に引きます。
- 肘の位置を保ちながら、腕を90度以上にゆっくり上げます。
この運動は、肩甲骨を動かし、肩の安定性を高めます。
3. 肩の外旋運動
手順:
- 最初の運動と同じ姿勢で、上腕を壁につけ、肘を90度に曲げます。
- 前腕を上向きに回して壁に近づけます。動作中に張りを感じたら、そこで止めます。
4. ゴムバンドを使った回旋筋群トレーニング
手順:
- 肘を90度に曲げた姿勢で立ち、両手にゴムバンド(レジスタンスバンド)を持ち、手のひらを上に向けます。
- 肘を体の横につけたまま、拳を外側に引いてバンドに張力をかけます。
- その張力を保ちながら、腕をゆっくり上げて上腕が床と平行(約90度)になるまで持ち上げ、コントロールしながら下ろします。
この運動は主に「ローテーターカフ(肩の回旋筋群)」を鍛えるもので、猫背の改善や姿勢の矯正に役立ち、肩関節の安定性も高めます。
まとめ
肩の可動域が制限されている場合、完全な安静は必ずしも有効ではありません。個人の状態に応じて動かすレベルを調整し、セルフリハビリ運動を組み合わせることで、肩の機能回復を促すことができます。
もし「五十肩」の疑いがある、または痛みが悪化し続ける場合は、医師や理学療法士による早めの診断を受けることが重要です。
(翻訳編集 井田千景)
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