中共の大型特種遠洋タグボート(新唐人テレビ)

中共軍 指揮中枢を自ら断つ 台湾海峡情勢に長期的影響か

中国共産党(中共)軍の権力中枢で、このところ大きな動揺が走っている。中央軍事委員会副主席の張又俠と、統合参謀部参謀長の劉振立が相次いで失脚した。専門家の間では、これは共産党軍の指揮体系に対する「斬首」に等しく、軍の運用や台湾海峡情勢に長期的な影響を及ぼすとの見方が広がっている。

中共国防部は1月24日、張又俠と劉振立が調査を受けていると発表した。第20回党大会後に発足した中央軍事委員会の7人の指導部メンバーのうち、すでに5人が失脚しており、現在残っているのは習近平と張升民の2人だけとなっている。

台湾の国家安全保障関係者は、軍事委員会副主席と統合参謀部参謀長という要職が同時に交代させられたことについて、中共軍の最高指揮系統が深刻な打撃を受けたことを意味すると指摘する。短期的には、統合作戦や意思決定の体制が混乱し、立て直しには相当な時間がかかるとの見方を示している。

台湾国防大学政治作戦学院の元院長である余宗基氏は、「張又俠は、事実上、現在の共産党軍で最上位クラスに位置する軍人であり、しかも唯一、実戦経験を持つ人物だ。その失脚は解放軍(中共軍)全体の士気に大きな影響を与える。台湾海峡に関して言えば、短期的に差し迫った危険はない」と述べた。

余氏によると、張又俠の側近や人脈は全軍、各軍司令部に広がっており、これらを整理・排除した上で新たな人材を登用し、軍を再編するには、少なくとも2年程度を要するという。

余氏はさらに、「これは、習近平が軍事力によって周辺の争点、特に台湾海峡問題を解決しようとする構想の実行時期を遅らせる要因になる」と指摘した。

一方で余氏は、今後1~2年は台湾を巡るリスクが低下する可能性があるものの、習近平が絶対的な権力を掌握し、それを抑制する存在がいない以上、中長期的には台湾海峡情勢がより不安定になる恐れがあると警告する。

「習近平が武力によって台湾問題を解決しようとしていることは周知の事実だ。これまでは軍内部の長老層が、勝算が低いとして一定の歯止めをかけてきた。しかし粛清が進めば、習近平に異を唱える人物はいなくなる。中長期的に見れば、衝突のリスクはむしろ高まっていく」

ただし、多くの観察者は、中共軍は数十年にわたり実戦経験がなく、戦闘力に乏しいうえ、腐敗も深刻だと指摘する。習近平自身も軍の実情を把握しており、台湾に対する強硬姿勢はスローガンにとどまり、実際の武力行使には踏み切れないとの見方もある。

独立した時事評論家である蔡慎坤氏は、「習近平がそこまで無謀な判断をすることはないと思っている。我々は軍の実情について基本的な理解を持つ必要があり、中共の軍隊がどのような存在なのかを認識すべきだ。戦争を起こさなければ、政権はなお延命できるが、ひとたび戦争に踏み切れば、政権は崩壊する。だからこそ、彼はあえて戦争を仕掛けることができないのだ」と述べている。

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