抗議者が「トランプよ、イランを救え。ハメイニを標的にせよ」と書かれたバナーを掲げている(Omer Messinger/Getty Images)

元米副大統領顧問「対イラン開戦は困難な決断」

先月30日、アメリカ政府はイスラエルとサウジアラビアに対し、総額150億ドルを超える武器・装備の売却を承認した。中東情勢が緊張を続ける中、この決定は何を意味するのか。アメリカとイランの協議は今後どこへ向かうのか。さらに、アメリカがイランに軍事行動を取った場合、どのような事態が想定されるのか。

新唐人テレビのティファニー・マイヤー記者が、アメリカの外交政策専門家で、ディック・チェイニー元副大統領の中東・戦略担当上級顧問を務めたデービッド・ワームサー氏に見解を聞いた。

問―― 今回のアメリカによる軍事売却を、どのように評価しているか。地域の抑止力にどのような役割を果たすと見ているのか。

(ワームサー氏)

第一に、大統領は改めて、いくつかの国を西側の枠組みにしっかりとつなぎ留めようとしている、という点である。サウジアラビアを例に取れば、アメリカはサウジが中国共産党(中共)政府などの体制に接近することを懸念している。軍事売却は、そうした関係を固める主要な手段の一つである。

第二に、もちろんアメリカの産業にとってもプラスだ。取引額は非常に大きい。

戦略面で見ると、大統領はサウジアラビアには長期的な売却を行う一方、イスラエルにはより短期で、即時性のある軍事売却を行っている。これは、トランプ氏が、イスラエルの軍事力を同地域におけるアメリカの抑止力の重要な構成要素と見ていることを意味している。同時に、アメリカ自身の軍事展開を一定程度抑える狙いもある。

問―― トランプ大統領は1月31日、イランがアメリカと「真剣に対話している」と述べた。イラン外相による合意内容に関する発言をご覧ください。

イランのアッバス・アラグチ外相は「トランプ大統領は核兵器は不要だと言った。私たちは全面的に同意する。完全に同意する。それは非常に良い合意になるだろう。もちろん、その見返りとして、我々は制裁解除を期待している。だから、そうした合意は可能だ」と述べた。

この発言をどう読み解くのか。イランは本当に核兵器を持ちたくないのだろうか。関連報道ではむしろ反対で、同政権の核兵器計画はかなり成熟していると指摘している。

(ワームサー氏)

彼の言葉は慎重に分析する必要がある。アラグチ氏が言っているのは「我々は核兵器を望まない」ということだ。トランプ氏が言う「核兵器は不要だ」という点では一致している。しかし、トランプ氏が求めているのは「イランの核兵器は不要だ」だけではなく、「核計画は不要だ」ということだ。トランプ氏は、イランの核計画が悪用され、軍事計画となり、最終的に核兵器へと発展することをよく理解している。したがって、トランプ氏が提示する「核計画は不要だ」という条件は非常に広い意味を持つ。一方、アラグチ氏は基本的に、「核計画は持ってよい、核兵器にはしない。我々を信じてほしい」と言っている。両者には共通の土台がない。

問―― 現在の展開をどう見ているか。交渉による解決の可能性はあるか。その後の展開として、どのようなシナリオが考えられるか。

(ワームサー氏)

私の見立てでは、イランは交渉のための交渉をしており、トランプ氏は実質的に最後通牒を突きつけている。両者の間には、越えがたい溝がある。戦争は避けられないと思っている。大統領にとっても選択は難しいだろう。トランプ氏が提示した条件は、イランが当初から受け入れられないものだからだ。

大統領は本気だし、譲歩すれば大きな代償を払うことも理解している。問題は、大統領が攻撃に踏み切るかどうかではない。アメリカがイランを攻撃した場合、そのまま政権を打倒するところまで行くのか、それとも、その後に何らかの合意へ持ち込めるのか、という点である。

イラン政権内の一部派閥がこう主張してくるかもしれません。『我々は核開発などを放棄し、合意に応じる。その代わり、イスラム共和国という体制を何らかの形で存続させてほしい』と。そうなればトランプ氏は極めて難しい立場に置かれる。多くの人々を殺害し、殺害によって権力を握った体制を存続させることを認めるのは、彼にとって受け入れがたいこと。イスラエルにとってはなおさらだ。

その時、イランの現政権が完全に打倒されないのであれば、イスラエル国民が独自の判断で行動を起こし、アメリカに代わって自らの手でこの戦争に決着をつけるといった事態を目にすることになるだろう。

問―― 確かに、今後さらに慎重な見極めが必要です。デービッド・ワームサー氏、貴重な見解をありがとうございました。

(ワームサー氏)

ありがとうございました。

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