(Shutterstock)

体を冷やさない生姜の使い方 お酢でさっぱり豚の生姜焼き

冬に生姜を食べると聞くと、多くの人は「体を温める」「風邪予防」と思い浮かべるでしょう。けれども中医学の考え方では、生姜には二つの働き方があり、使い方を間違えると、かえって逆効果になることもあります。特に冬の生姜の使い方には注意が必要です。

 

生姜にある二つの力

一つ目は、生の生姜の力です。生姜は温かい性質を持ち、辛みが強く、この辛みは体の表面に向かって広がる働きをします。毛穴を開いて汗をかき、体の外へ寒さを追い出す力です。そのため、体表にとどまっている寒気を散らすには有効ですが、同時に体の温かさのエネルギーも一緒に外へ逃がしてしまいます。

体を温めるエネルギーである「陽気」は、汗をかくことで失われます。陽気が減ると、かえって体は冷えやすくなります。これは、本来、冬は体を守るために陽気を体の内側に蓄え、毛穴を閉じて無駄に汗をかかない、という自然のリズムに反します。例外は、ひき始めの風邪で寒気が体の表面にとどまっているときです。この場合だけは、発汗させて寒さを追い出す必要があり、生姜の表に向かう力が役立ちます。

生姜は、生と乾燥させたものとで効能が変わります(Shutterstock)

二つ目は、乾燥させた生姜や、酢と合わせた生姜の力です。こちらは温かさを体の奥へと届け、胃腸や腎を温め、体の深い部分のエネルギーになります。これは、まさに冬に必要な生姜の使い方です。

では、家庭料理の中で、どうすれば生姜の温める力を体の奥に届け、冬に合った使い方ができるのでしょうか。

その答えは、酸味と火の通し方にあります。

 

下ごしらえで、生姜の働き方は変わる

方法の一つ目は、生姜をみじん切りや細切りにし、油を使わず弱火でゆっくり乾煎りすることです。少し色づき、香りが立つまで火を入れることで、火の力が生姜に入り、辛みが穏やかになります。すると、生姜の性質はより熱を持つようになり、温める力が体の奥、胃腸や腎まで届きやすくなります。

方法の二つ目は、酢を加えることです。黒酢やりんご酢などの酸味には、広がろうとするエネルギーを内側に引き戻す働きがあります。これにより、生姜の温かさが体の表面に散らず、内側へとしっかり届きます。

さらに、栄養のある肉と一緒に使うことで、胃腸の温かさが増し、消化する力も高まります。その結果、肉も重たくなりすぎず、体に取り込みやすくなります。

日本の家庭料理として親しまれている「生姜焼き」に、少量の酢を加えると、冬に特に向いた体を温める料理になります。食べても汗だくになったり、のぼせたりせず、胃が心地よく、体の芯からじんわり温まるのが特徴です。

 

体を温める薬膳:お酢でさっぱり 豚の生姜焼き

手足が冷えやすい人、体力や抵抗力が弱い人、食欲が落ちやすい人に向いています。

材料

  • 豚ロース薄切り、または豚肩ロース薄切り …… 250g
  • 生姜 …… 20g(体質によっては30gまで可)
  • 玉ねぎ …… 1/2個(約80g)
  • 醤油 …… 大さじ2
  • 黒酢またはりんご酢 …… 大さじ1
  • みりんまたは砂糖 …… 大さじ1
  • 日本酒または料理酒 …… 大さじ1
  • 油 …… 大さじ1
  • 白ごま・青ねぎ …… 少々(お好みで)

作り方

  1. 生姜をみじん切り、または細切りにし、フライパンで弱火のまま乾煎りします。水分が飛び、少し色づいて香りが立ったら取り出します。

     
  2. 肉は広げて準備し、玉ねぎは薄切りにします。

     
  3. 醤油、酢、みりん、日本酒を混ぜて調味だれを作ります。

     
  4. フライパンに油を熱し、肉を両面をさっと焼いて一度取り出します。

     
  5. 同じフライパンで玉ねぎを炒め、柔らかくなったら生姜を加えて香りをなじませます。

     
  6. 肉を戻し入れ、調味だれを加え、中弱火で軽く煮詰めて照りを出します。

     
  7. 仕上げに青ねぎや白ごまを散らします。

     

期待できる働き

乾煎りした生姜は、体を内側から温め、その温かさを中心部まで届けます。酢の酸味が温かさを胃腸や腎に引き込み、豚肉が冬に必要なエネルギーを補います。温めながら滋養するため、体が冷えにくくなり、抵抗力の維持にも役立ちます。

食後に大量の汗をかくことはなく、体がぽかぽかと心地よく温まる感覚があれば、温かさがきちんと体に蓄えられている証拠です。大根の味噌汁を添えると、温かさがよりやさしく、体にしみわたります。

関連記事
立春は、体が冬から春へ切り替わる途中にあります。不調が出やすいこの時期は、無理に補うより、季節に出回る食材を使い、体の流れを整えることが助けになると考えられています。
「胃にやさしい」と信じてきた白がゆ。けれど体質や季節を無視すると、冷えや湿気をため込み、かえって体の土台を弱らせてしまうことがあります。
腰や足の冷え、夜間の頻尿は「腎の冷え」のサイン。粒のままの黒こしょうを肉と煮込むことで、温かさが下半身に届き、体の内側から静かに整っていきます。
冬の乾燥肌は外からだけでなく内側のケアが大切。脾と肺を養える、はとむぎを使ったやさしい美肌スープを紹介します。