原油高による物価上昇には「2つの波」が懸念されている(Shutterstock)

原油高による物価への「2つの波」 くらしへの影響は?

中東情勢の緊迫化などにより原油価格の高騰が続いている。ガソリンや電気代のみならず、広範な商品の値上げが懸念される中、日本銀行は2026年4月30日に公表した最新の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」内の「BOX2:原油価格高騰がわが国物価に与える影響」において、原油高が日本の物価に与える影響を詳細に分析した。

同レポートによれば、原油高が物価を押し上げる動きには、原材料コストが直接価格に上乗せされる「第一の波(1次的波及効果)」と、賃金などに波及して間接的に物価を押し上げる「第二の波(2次的波及効果)」があるという。過去のオイルショックとの違いや、足元で進む円安との比較を交え、日銀の最新分析をもとに今後の物価の行方を分かりやすく解説する。

原油の値段が上がると、その影響は川の流れのように産業全体へと順番に広がっていく。日銀が産業連関表(Input-Output Table:一国全体の経済活動を網羅した、産業間の取引明細表。波及効果が計算できる)を用いて行った分析によれば、まず原油を輸入する企業がコスト増を被り、そこから3〜5か月程度でプラスチックや化学繊維といった「原油由来の中間的な材料」の値段が約18%上がる。その後、半年から1年ほどかけて、電気代や運送費(水運・航空など)、さらに自動車や電気機械、建設、宿泊や飲食といった私たちが普段利用する最終的なサービスへと値上げの波が押し寄せる。これが、モノの値段に直接跳ね返る「第一の波」である。

▶ 続きを読む
関連記事
連日のニュースで耳にする「中東情勢の悪化」と「原油高」。私たちの生活や今後の日本経済はどうなってしまうのか? 日銀の最新レポートをもとに、これからの行方と家計への影響を分かりやすく紐解く
5兆円という巨額の「実弾」が市場に放たれた。政府・日銀が下した円買い介入は、「1ドル160円の常態化」を拒絶する背水の陣か?
日銀内で意見対立!? 4月の金融政策決定会合では、3委員が利上げを求め反対票を投じる展開に。中東情勢による原油高は、私たちの生活をどう直撃するのか? 物価上振れリスクと迫る「追加利上げ」の行方を伝える
日産自動車は、北京国際モーターショーで、中国市場で開発・生産した新エネルギー車を世界へ輸出する計画を発表した。中国での自動車販売が低迷する中、同社は中国を新型車開発と輸出の拠点と位置づけ、東南アジアや中南米などへの展開を進める方針である