夫婦の間で口論が起こるのは、日常茶飯事のように感じられることもあります。「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」と言われるように、通常はすぐに仲直りするものです。しかし、口論がひとまず終わったとしても、心の中の怒りが解消されず、考えれば考えるほど腹が立ってしまうことがあります。こうした状況について、専門家は争いを終わらせ、関係を修復するための4つの秘訣を紹介しています。口論によって、お互いの愛情や関係が損なわれないようにすることが大切です。
アメリカのブリガム・ヤング大学の教授であり、夫婦・家族療法士でもあるジェイソン・ホワイティング氏は、心理学情報サイト「Psychology Today」に寄稿した記事の中で、アメリカ建国の父の一人であるベンジャミン・フランクリンの「怒りには必ず理由がある。しかし、それが正当な理由であることはめったにない」という言葉を紹介しています。
ホワイティング氏によれば、怒りは人間が抱く感情の中でも最も強烈なものの一つです。ひとたび怒りに支配されると、物事の見え方そのものが変わってしまいます。パートナーが怒りにとらわれると、脳のある部分は活発に働く一方で、別の部分は機能が低下します。まるで嵐の中を手探りで飛行するパイロットのような状態です。視野は狭くなり、脳内では警報が鳴り響き、自動的な反応システムが作動します。その結果、激しく怒り、しばしば過剰な反応を示してしまうのです。
怒りに支配された人は状況を理解しようとするのではなく、状況をコントロールしようとします。怒りは強烈で非合理的な全身的な体験であり、感情の暴走を招くことさえあります。そして、怒りから始まった行動は、後悔という結果に終わることが少なくありません。
次に自宅でパートナーと口論になったときは、以下の方法を試してみるとよいでしょう。
(1)いったん休止する時間を話し合って決める
ホワイティング氏は、怒りが会話を支配すると冷静な思考が失われると指摘しています。そして、その冷静さを取り戻す最も確実な方法の一つが「タイムアウト(一定時間の休止)」を設けることです。これは怒ってその場を立ち去ったり、関係を断絶したりすることではありません。必要になったときのために、あらかじめ夫婦で取り決めておく休憩時間のことです。
ホワイティング氏が家庭内暴力に関する研究を行った際、夫婦にタイムアウトの取り決めを実践してもらいました。その結果、多くの夫婦がその効果を実感したことに、彼自身も驚いたといいます。
意味のある休止時間を設けることで、人は適切な判断力を取り戻し、一時的な怒りによる失敗を避けやすくなります。
(2)身体の警報システムを落ち着かせる
ホワイティング氏によれば、怒りは必ずしも考えから始まるわけではなく、多くの場合は身体の反応から始まります。怒りの引き金となる出来事が起こると、身体は「闘争・逃走反応」を起こします。この状態では、相手が実際以上に腹立たしく見えたり、脅威に感じられたりします。
そのため、このような場面で自分の生理的反応を調整する方法を身につけることが重要です。完全に落ち着けなくても、呼吸をゆっくりにしたり、散歩をしたり、その他の中立的な方法で気持ちを和らげたりすることはできます。怒りっぽく感情のコントロールが難しい夫婦は、離婚や有害な攻撃的行動につながりやすいことが分かっています。そのため、自分自身と相手を落ち着かせる努力には大きな価値があります。

(3)非難から好奇心へ意識を切り替える
ホワイティング氏は、相手を非難することが怒りをさらに強めると述べています。パートナーこそが問題の原因だと思い込むと、脳は真実を探ろうとすることをやめ、攻撃か防御かのモードに入ってしまいます。
しかし、好奇心はその流れを変えることができます。「あなたは今どんな気持ちなのか教えてほしい」「私の言葉をどう受け取ったの?」といった質問をすることで、非難の連鎖を断ち切り、対話の余地を生み出せます。
これは有害な行動を見過ごすという意味ではありません。むしろ、夫婦がお互いにとって重要な問題について効果的に話し合える環境を整えるということです。好奇心を持って接する夫婦は、より早く対立を解決し、感情的な傷を減らせる傾向があります。
(4)怒りの裏側にある感情を考える
ホワイティング氏によれば、怒りはしばしば最も強く表れる感情ですが、本当の感情そのものとは限りません。いら立ちや怒りの下には、恐れや羞恥心、見捨てられたような感覚など、別の感情が隠れていることが多いのです。こうしたより深い感情を認識することで、相手を責めたい気持ちは和らぎやすくなります。
そのためホワイティング氏は、カウンセリングの場で「私は〜と感じる」という「私」を主語にした表現を勧めています。たとえば、「あなたは全然話を聞いてくれない」と言う代わりに、「私は無視されているように感じる」と伝えたほうが、相手への非難を減らすことができます。
感情を認識することは、夫婦が怒りそのものではなく、より根本的な問題に目を向ける助けになります。問題の原因を理解できれば、感情に振り回されることなく建設的な解決策を見つけやすくなります。お互いに協力して怒りを和らげることで、不必要な口論を避け、有意義な対話へとつなげ、関係をより良いものにできるのです。
アメリカの著名な結婚研究の専門家であり、心理学者でもあるジョン・ゴットマン氏とジュリー・ゴットマン氏夫妻は以前、自分たちも時には口論し、相手を非難することがあると明かしています。しかし、彼らは「エモーショナル・フラッディング(感情の氾濫)」が起きているときには、決して議論を続けないといいます。この状態になると、人は理性的に考える能力を失いやすくなり、生産的な対話を行うことが難しくなるためです。
(翻訳編集 井田千景)
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