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鶏肉:筋肉と満腹感を支える――栄養を最大限に生かす食べ方

キッチンの薬箱  第 15 話

1960年代以降、アメリカでの鶏肉消費量は3倍以上に増加しました。基本的なタンパク質源であるだけでなく、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、亜鉛、セレン、鉄などの必須栄養素も含まれています。

「鶏肉は、これらの微量栄養素を一つの食品からまとめて摂取できる点で価値があります」と、管理栄養士でアメリカ栄養士会のスポークスパーソンであるグレッチェン・ツィマーマン氏は、エポックタイムズへのメールで述べました。

皮なしの胸肉、ジューシーなもも肉、カリカリの手羽肉のいずれを選んでも、この身近な食材から豊富な栄養を摂取できます。

主な栄養素

「白身肉は良く、赤身の濃い肉は悪いと考えるのが、最も一般的な誤解です。実際には、両者の栄養価の差はごくわずかです」とツィマーマン氏は言います。

標準的な100g(トランプ1組ほどの大きさ)の加熱済み鶏肉について、白身肉と色の濃い肉の栄養を比較すると、以下の通りです。

 

健康効果

鶏肉には、筋肉の健康や満腹感、長期的な健康を支えるさまざまな利点があります。

「現役の管理栄養士として、バランスの取れた食生活に鶏肉を取り入れることをよくすすめています」と、管理栄養士のジェシカ・クランシー・ストローン氏は、エポックタイムズに語りました。

筋肉量の維持をサポート

鶏肉に含まれるタンパク質は、特に筋力トレーニングと組み合わせることで、高齢者の筋肉量の維持や増加を助けます。『Physiology Reports』誌に掲載されたランダム化試験では、高齢女性が週3回、鶏肉から約22.5gのタンパク質を摂取しながら筋力トレーニングを行ったところ、どちらか一方だけを行った場合よりも、筋力と除脂肪体重の増加が大きかったことがわかりました。鶏肉を摂取するだけでも、除脂肪体重はある程度増加しました。

鶏肉は完全タンパク質であり、体内で合成できない9種類の必須アミノ酸をすべて含んでいます。特に、筋タンパク質の合成を促すロイシンが豊富です。

「筋肉の維持と健康的な加齢には、この完全なアミノ酸の構成が欠かせません」とツィマーマン氏は述べています。

加齢とともに、筋肉量や筋肉の機能は自然に低下すると彼女は言います。鶏肉などの高品質なタンパク質は、除脂肪組織の修復や維持に必要な材料を供給し、こうした低下を防ぐのに役立ちます。

「体組成の観点では、筋肉は安静時にも脂肪組織より多くのカロリーを消費します。そのため、基礎代謝を高め、健康的な体重と日常生活に必要な筋力を長期的に維持しやすくなります」とツィマーマン氏は説明します。

ロイシンはmTOR経路を活性化し、特に筋力トレーニングと組み合わせることで、新たな筋肉を作るためのシグナルを強めます。

満腹感を保つ

白身肉も色の濃い肉も、主な空腹ホルモンであるグレリンを減少させ、GLP-1などの満腹感に関わるホルモンを増加させることで、満腹感を高め、食欲を調整します。

2020年のメタアナリシスでは、高タンパク質食によるホルモンの変化が、健康な成人の満腹感の向上や、空腹感、食欲、予想される摂取量の低下と関連していました。

「タンパク質は空腹に関わるホルモンを抑え、消化にも時間がかかります」とツィマーマン氏は言います。

脳機能を支える可能性も

鶏肉は、認知機能の一部を支える可能性があります。2021年に『Nutritional Neuroscience』誌に掲載されたメタアナリシスでは、「essence of chicken」と呼ばれる濃縮鶏肉エキスを日常的に摂取することが、特に作業記憶などの認知機能のわずかな改善と関連していました。

「鶏肉は、脳がアセチルコリンを作る際に使うコリンの優れた供給源です。この神経伝達物質は、記憶、気分、学習に欠かせません」とツィマーマン氏は述べています。

感謝祭の後に七面鳥を食べると眠くなる原因として知られるアミノ酸のトリプトファンは、セロトニンの合成にも使われます。トリプトファンを含む鶏肉と、炭水化物を多く含む食品を組み合わせると、脳へのトリプトファンの取り込みが高まり、セロトニンの合成を支える可能性があります。
 

その他の利点

鶏肉は、食品をエネルギーに変える働きも助けます。特に白身肉には、炭水化物、脂質、タンパク質をエネルギーに変換するナイアシンとビタミンB6が豊富に含まれています。

色の濃い肉には、赤血球の生成や酸素の運搬に関わる栄養素が含まれているため、アスリート、月経量の多い女性、鉄欠乏のリスクがある人にとって、特に栄養面で役立ちます。

「鉄がより多く含まれています」とクランシー・ストローン氏は言います。

また、鶏肉は、その栄養構成や食事全体との組み合わせを通じて、健康的な加齢を支える可能性があります。鶏肉には、筋肉組織に多く含まれるカルノシンとアンセリンが自然に含まれており、これらの成分については、抗酸化作用や、酸化ストレス、筋肉機能などの加齢に伴う変化への働きが研究されています。特に胸肉に多く含まれています。研究者らは、鶏肉に含まれるこれらの成分を増やす機能性食品としての活用法についても研究しています。

約2万人の虚弱な高齢者を対象とした研究では、未加工の鶏肉などの家禽肉を1日25g多く摂取するごとに、あらゆる原因による死亡リスクが低下した一方、加工肉では反対の関連が見られました。
 

吸収率を高める方法

鶏肉に含まれるタンパク質や微量栄養素は、もともと体内に吸収されやすいため、特別な調理法や食品との組み合わせは必要ありません。ただし、栄養面での利点を最大限に引き出す方法はあります。

  • 過度に加熱しない:スペイン国連代表部のエグゼクティブシェフ、アイザック・ベルナル氏によると、鶏肉の調理で最もよくある失敗は加熱しすぎることです。過度な加熱によって、ナイアシンやビタミンB6などのB群ビタミンが減少します。中心温度が約74℃に達するまで加熱し、長時間にわたる高温調理は避けましょう。「調理後に数分間休ませることで、肉汁を中に保つことができます」とベルナル氏は、エポックタイムズへのメールで伝えました。
     
  • 色の濃い肉も食べる:もも肉や手羽元は、一般的に胸肉よりも鉄や亜鉛が多い傾向があります。
     
  • 1日を通してタンパク質を摂取する:筋肉の成長や維持のためには、1回の食事に集中して摂取するのではなく、複数回の食事に分けて十分な量を摂取するほうが効果的であることが、研究で示唆されています。
     

最適な保存方法

鶏肉の保存方法は、生か加熱済みか、冷凍するかどうかによって異なります。

生の鶏肉

  • 冷蔵庫で元の包装のまま、または液体が漏れない容器に入れて保存します。
     
  • 他の食品に肉汁がかかって菌が付着するのを防ぐため、冷蔵庫の最下段に置きます。
     
  • 1〜2日以内に調理してください。

加熱済みの残り物

  • 調理後2時間以内に冷蔵し、密閉容器に入れて保存します。
     
  • 3〜4日以内に食べきりましょう。

生または加熱済みの鶏肉を冷凍する場合

  • 冷凍対応の包装材や密閉容器でしっかり包み、冷凍焼けを防ぎます。
     
  • 生の鶏肉は最長9カ月、丸鶏は最長1年間冷凍できます。
     
  • 加熱済みの鶏肉は、2〜6カ月以内であれば食感を保ちやすくなります。
     
  • 品質を保つため、冷凍した鶏肉は室温ではなく、冷蔵庫でゆっくり解凍してください。
     

プロのコツ

栄養面では、鶏肉の調理法が重要です。

「オーブン焼き、ロースト、グリルは、余分な脂肪を加えずに栄養を保ちやすい調理法です」とツィマーマン氏は言います。

ジューシーに仕上げるには、調理中は皮を付けたままにし、食べる前に取り除けば脂肪を抑えられます。

「私は皮を付けたまま調理することがよくあります。皮が肉を守り、水分を保ち、良い風味を生み出してくれるからです」とベルナル氏は述べています。

皮を付けると脂肪は増えますが、その差は比較的小さいとされています。

「皮なしと皮付きのカロリーの差は、それほど大きくありません」とツィマーマン氏は言います。

皮に含まれる脂肪の大部分は不飽和脂肪酸で、オリーブオイルにも含まれるオレイン酸などがあります。約30%が飽和脂肪酸で、残りは一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸です。

「風味や水分を保つために皮を付けたままにすることは、バランスの取れた食生活の中では十分に合理的な選択です」とツィマーマン氏は言います。

ヨーグルト、柑橘類、オリーブオイル、ハーブ、刺激の少ないスパイスを使ったマリネ液は、風味と食感を良くするとベルナル氏は言います。

おばあちゃんの知恵の通り、鶏スープは本当に風邪のときに役立つ可能性があります。

食べ終わった後の骨や鶏ガラは袋に入れて冷凍庫で保存し、自家製のブロスを作りましょう。食品廃棄を減らせるだけでなく、栄養豊富で、風邪のときにも食べやすいスープ、煮込み料理、ソースのベースになります。

最大限の利点を得るには、高度に加工された鶏肉製品を控え、油で揚げるなどの高温調理を減らしましょう。こうした食品や調理法では、余分なナトリウムや好ましくない脂肪、高温によって生じる有害な化合物が増える可能性があります。

食感と風味を良くするには、まずコンロのフライパンで表面を強火で焼き、その後オーブンで仕上げる2段階の調理法がおすすめです。この方法により、外側はカリッときつね色に、内側はジューシーに仕上がり、キッチンに広がる煙も抑えられます。

鶏胸肉は涙のしずくのような形をしており、片側が厚いため、加熱にむらが生じやすい部位です。均等に加熱し、乾燥を防ぐには、調理前に軽くたたいて厚さをそろえるとよいでしょう。
 

レシピ:バルサミコ・ディジョンマスタード風味の手羽肉

バルサミコ・ディジョンマスタード風味の手羽肉は、色の濃い肉を使うことで自然にジューシーで柔らかく仕上がります。簡単なマリネ液は、甘みのある濃厚な照り焼きソースにもなります。

バルサミコ・ディジョンマスタード風味の手羽肉(3〜4人分)

総調理時間:1時間15分

材料

  • ディジョンマスタード 小さじ2
  • バルサミコ酢 大さじ3
  • アボカドオイル 大さじ1
  • 塩 小さじ1
  • こしょう 小さじ1/2
  • にんにくパウダー 小さじ1
  • 骨付き手羽肉 1〜2ポンド(約450〜900g、12〜18本程度)
  • 刻んだコリアンダー 適量(お好みで、飾り用)

作り方

  1. 小さなボウルにディジョンマスタード、バルサミコ酢、アボカドオイル、塩、こしょう、にんにくパウダーを入れ、よく混ぜます。大さじ2杯分を取り分け、後で照りを出すためのソースとして使います。残りのマリネ液を、大きな容器またはジッパー付き保存袋に入れた手羽肉にかけ、全体によく絡めます。冷蔵庫で30分漬け込みます。
     
  2. オーブンを約220℃に予熱し、天板にクッキングシートを敷きます。手羽肉をマリネ液から取り出し、重ならないように並べます。
     
  3. 20分焼いたら裏返し、取り分けておいたソースを塗ります。さらに20分、または中心温度が約74℃に達するまで焼きます。お好みで刻んだコリアンダーを散らしてください。

注意事項

  1. サルモネラ菌などによる食中毒を防ぐため、鶏肉は十分に加熱してください。
     
  2. 調理中の交差汚染を防ぐことも重要です。「生肉用とほかの食品用で別々のまな板を使い、包丁や調理器具をよく洗い、加熱済みの鶏肉を、生の鶏肉を置いていた皿に戻さないでください」とベルナル氏は言います。
     
  3. 色だけで火の通り具合を判断せず、必ず食品用温度計を使いましょう。「鶏肉は中心温度が約74℃に達する必要があります」とベルナル氏は強調します。
     
  4. 「腎機能が低下している人は、適切なタンパク質の摂取量について、腎臓内科医や管理栄養士に相談してください」とクランシー・ストローン氏は助言しています。
     

豆知識

  • 鶏は、ティラノサウルス・レックスに最も近い現存する生物の一つです。
     
  • 鶏は30種類以上の多彩な鳴き声を使い分けます。
     
  • 白身肉と色の濃い肉の違いは、鶏がそれぞれの筋肉をどれだけ使うかによるものです。鶏は飛ぶよりも歩くことが多いため、脚やもも肉は胸肉よりもよく使われます。脚の筋肉は多くの酸素を必要とするため、ミオグロビンを多く含み、これが肉の色を濃くしています。
     
  • 鶏の耳たぶの色を見ると、産む卵の殻の色がわかるとされています。

子ども向け

子どもが鶏肉を楽しく食べられるようにするには、串焼きにしたり、ディップして食べられる形にしたり、小さな手作りバーガーにしたりするとよいでしょう。グアカモレ、フムス、ギリシャヨーグルトを使ったランチドレッシング、アップルソースなど、栄養のあるディップと組み合わせるのもおすすめです。

ファストフードのナゲットの代わりに、自宅で簡単に作れるものを用意すると、より良い選択肢になります。

「鶏のささみを薄く切り、全粒粉のパン粉を軽くまぶして、エアフライヤーで調理するとよいでしょう」とツィマーマン氏は言います。

夕食には、サツマイモのくし切り、全粒穀物のパスタ、玄米などの複合炭水化物と組み合わせましょう。良質な炭水化物は、トリプトファンからセロトニンが作られる経路を支え、メラトニンの生成を助けることで、眠りにつきやすくする可能性があります。

幼児や小さな子どもには、大きな肉の塊が喉に詰まる危険があるため、細かくほぐした鶏肉が安全で使いやすいでしょう。

色の濃い肉は自然に脂肪分が多いため、よりしっとりと柔らかく、子どもにとってかみやすく、飲み込みやすいと、クランシー・ストローン氏は述べています。

もう一つの楽しい方法は、子ども自身が盛り付けられる食事にすることです。

「具材を別々に盛り付けるタコボウルは、鶏肉を楽しく食べてもらう方法です」とツィマーマン氏は言います。「ほぐした鶏肉、黒豆、トウモロコシ、刻んだアボカド、少量のチーズを小さな器に用意し、子どもたちに自分でタコボウルを作らせたり、全粒小麦のトルティーヤに詰めさせたりしましょう。好き嫌いが多い子どもでも、食事を楽しみながら取り組みやすくなります」

(医学的監修 ジミー・アーモンド医学博士)
(翻訳編集 日比野真吾)

ニューヨークを拠点とする健康レポーターである。栄養療法の専門家であり、機能的栄養と自然食品に重点を置いた活動を行っている。