1977年、米ペンシルベニア州ニュー・スタントンで行われたフォルクスワーゲン「ラビット」の組立研修(米議会図書館)

ドイツの自動車大手が競争で劣勢になった理由

フォードは当四半期に損失を計上したにもかかわらず、株価が7%急騰した。株価が回復した一因は、フォードが示した残りの会計年度に対する楽観的な見通しである。

なぜ楽観視しているのか。その明るい見通しは、利益への道を切り開くのは政治家の意向ではなく、消費者の要望であるとフォードが認識したことによる。同社の報告書は、消費者が大型ピックアップトラックやSUVを求めており、フォードの電気自動車(EV)製品が支持を獲得できていないことを認めた。

損失を削減しようとするフォードの姿勢は、ドイツ・ヴォルフスブルクに本拠を置くフォルクスワーゲン(VW)の決定と鮮明な対照をなしている。欧州最大の自動車メーカーであるフォルクスワーゲンは、消費者を無視してEU規制当局の命令を優先した代償が、市場シェアの喪失生産性の低下大規模な人員削減であることを思い知らされている。

▶ 続きを読む
関連記事
中国経済は消費の低迷や不動産危機、投資減少により厳しい現状に直面しています。唯一の支えである輸出も世界的な反発に晒されており、今後の成長持続には不透明感が漂う背景と現状を解説します
現在のAI投資バブルを火山現象の「噴煙柱崩壊」になぞらえ、過去のエンロン事件や世界金融危機との構造的類似性を指摘。SPVによる簿外債務や循環取引など、歴史が繰り返す危険な兆候と市場リスクを鋭く分析する
データ未検証のプレスリリースで株価が高騰する「プレスリリース主導の科学」の構造を浮き彫りにした論評。モデルナのがん治療発表や初期ワクチンの治験データを批判的に検証し、利益至上主義への警鐘を鳴らす
なぜ一部の若者は共産主義や社会主義に共感するのか。住宅費や学費、格差への不満、歴史との距離を背景に、共産主義の歴史と自由社会の課題を考える