2012年6月26日、米メリーランド州ボルチモアのジョンズ・ホプキンス病院で行われた腎臓移植手術。関節鏡を用いて手術が行われている。(cbsnews.com) Brendan Smialowski/AFP/Getty Images

一流医学誌で推進される「臓器提供による死」

論評

故リチャード・ジョン・ノイハウス神父はかつて、生命倫理学者について「考えられないことを、議論可能なものへ、さらに正当化可能なものへと導き、最後には当たり前のものとして定着させることを職業としている」と述べたことで知られている。

彼の指摘は正しかった。急進的な生命倫理政策が、何もないところから突然現れるわけではない。論争を呼ぶ、時には有害ですらある考え方が、一般の人々の目にはほとんど触れない生命倫理や医学の専門誌で議論される。そして、その分野でおおむね合意が形成されると、かつて「考えられない」とされた政策が「突然」正当化され、やがて当然の公共政策となっていく。

▶ 続きを読む
関連記事
気候訴訟を起こす牧場主らに対し、現代文明と農業を支える石油の恩恵を自覚すべきだと説く論考。人間を地球の害悪とみなす風潮や過度な脱炭素論に異を唱え、環境再生の主体としての農と人の役割を問い直す
ダーウィンの進化論がいかにして生命の神聖さを否定し、現代における人工妊娠中絶の容認や優生思想へとつながっていったのかを論考。唯物論的価値観が生命の尊厳を破壊してきた歴史的・倫理的背景に鋭く切り込む
組織文化の崩壊を招く真因は制度の不備ではなく指導者の行動にある。形骸化した理念や表面的な対話を排し、自らの姿勢を正す勇気を持てるか。30年の経営実績を持つ著者が問うリーダーシップの本質
政治的分断が食の世界にまで及ぶ現代アメリカ。投票先ではなく農法や土壌の再生で生産者を評価すべきだと訴え、健全な土壌のように多様性を認め合い「隣人」として手を取り合う重要性を説くオピニオン記事
ガザ地区の惨状をめぐりイスラエルに向けられる「ジェノサイド」批判の虚構を、歴史的経緯と人口動態、ハマスの戦略から米歴史学者が鋭く論破。2005年の完全撤退以降の事実から、事態の本質と深層を浮き彫りにする