脇役になりがちなハーブ
欧米の家庭料理では、ハーブは最後に添える脇役として扱われることがほとんどです。彩りのためにパセリを少し散らしたり、香りづけとしてバジルを数枚加えたりする程度ですが、もしハーブが単なる飾りではないとしたらどうでしょうか。ペルシャ料理では、ハーブは単なる調味料ではありません。「サブジ(sabzi:乾燥ハーブのブレンド)」と呼ばれる乾燥ハーブミックスが、風味だけでなく栄養面でも料理全体の土台となり、主役の食材として使われています。
このペルシャ風ハーブシチューの主役は、乾燥サブジ・ゴルメを丸ごと1カップ使用することです。これは生のハーブ約3カップ分に相当します。このハーブミックスはインターネットや多くの中東食材店で購入できるため、一年を通して手軽にハーブをたっぷり使った料理を楽しめます。さらに、イラン北部で伝統的に使われるブラックアイドピー(ささげ豆の一種)と卵を組み合わせることで、タンパク質をしっかり摂取できるだけでなく、複雑で奥深い風味と高い栄養価を兼ね備えた一皿になります。
ハーブをたくさん使うことが重要な理由
ハーブを少量振りかけるだけではなく、たっぷり使うことで、ポリフェノールや抗酸化物質をより多く摂取できます。サブジ・ゴルメに使われる各ハーブには、それぞれ異なる栄養的な役割があります。
- パセリ:ビタミンA、C、K、葉酸、鉄分を豊富に含み、抗炎症作用があることで知られるフラボノイドも摂取できます。
- リーキ(西洋ねぎ):善玉腸内細菌の栄養源となるプレバイオティクス(腸内細菌のエサとなる成分)のイヌリンを含み、消化器の健康をサポートします。
- フェヌグリーク(コロハ:香辛料やハーブとして使われる植物):料理用ハーブの中でも特によく研究されており、血糖値の調整を助けるほか、コレステロールや中性脂肪の改善、消化機能のサポートにも役立つことが研究で示されています。
- パクチー:抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用が期待される植物由来化合物(フィトケミカル)を含んでいます。
パクチーは伝統的なブレンドによく含まれていますが、すべてのサブジ・ゴルメに入っているわけではありません。入っていても入っていなくても、このシチューは十分に豊かな風味を楽しめます。
ハーブを「材料」として使うほかの方法
ペルシャ料理には、料理ごとに使い分けられるさまざまなハーブブレンドがあります。サブジ・ゴルメは、ハーブシチューの「ゴルメ・サブジ」やハーブライスに使われます。「サブジ・アーシュ」は、「アーシュ・レシュテ:麺と豆を使った濃厚なスープ)」のベースになります。「サブジ・ドルメ」は詰め物をした野菜やブドウの葉料理、「サブジ・クークー」はハーブ入りフリッタータ(イタリア風オムレツ)、「サブジ・ポロ」はハーブライスに使用されます。
それぞれ個性のあるブレンドですが、雑穀ボウル、卵料理、ヨーグルトソース、ディップ、ロースト野菜、ハーブバター、パスタソースなどにも応用できます。ハーブを調味料ではなく「食材」と考えるようになると、毎日の食事に自然とたくさん取り入れやすくなります。
レシピ:ブラックアイドピーと卵のペルシャ風ハーブシチュー
香り高いハーブ、爽やかなライム、やわらかなブラックアイドピー、半熟卵が合わさることで、この簡単にアレンジしたゴルメ・サブジは、深いハーブの香りと大地を思わせる風味にライムの爽やかさが加わった、心温まるワンパン料理になります。
調理準備時間:15分
調理時間:35分
合計時間:50分
4人分

材料
- 乾燥ブラックアイドピー 1カップ(注記参照)
- 乾燥サブジ・ゴルメハーブミックス 1カップ(注記参照)
- エクストラバージンオリーブオイル 大さじ3
- 小さめの玉ねぎ 1個(みじん切り)
- 減塩野菜ブイヨン 1・1/2カップ(必要に応じて加減する)
- 海塩 小さじ1/2
- 粗びき黒こしょう 小さじ1/4
- ライム 1~2個(果汁を絞る)、皮を細長く1枚
- 卵 4個
- プレーンのヤギヨーグルトまたはギリシャヨーグルト 1/2カップ
作り方
手順1:ブラックアイドピーを洗い、ボウルに入れます。ろ過水3カップを注ぎ、4時間以上、できれば一晩浸けておきます。その後、水気を切って再度洗います。以下のいずれかの方法で加熱し、水気を切っておきます。
【鍋の場合】
厚手の鍋または深鍋に豆を入れ、豆より約2.5cm上までろ過水を注ぎます。沸騰したら火を弱め、20~25分、柔らかくなるまで煮ます。
【インスタントポット(電気圧力鍋)の場合】
浸水した豆とろ過水2カップを入れ、高圧で4分加圧します。その後、10分間自然減圧し、残りの圧力を抜きます。
手順2:中くらいのボウルに乾燥ハーブミックスを入れ、ぬるま湯を注ぎます。5~10分置いて戻します。細かい網のザルで水気を切り、できるだけしっかり水分を絞ってからボウルに戻します。
手順3:深めのフライパンまたは広口の鍋にオリーブオイルを入れ、中火で煙が出ない程度まで温めます。玉ねぎを加え、頻繁に混ぜながら約8分炒めます。柔らかくなり、一部に焼き色が付けば十分です。
手順4:水気を絞ったハーブミックスを加え、香りが立ち、色が濃くなるまで約10分、頻繁に混ぜながら炒めます。
手順5:野菜ブイヨン1カップ、ブラックアイドピー、塩、黒こしょうを加えて混ぜます。ピーラーまたは小さなナイフでライムの皮を約5〜7.5cmほど細長くむき、鍋に加えます。軽く煮立たせます。
手順6:火を中弱火に落とし、ふたをせず10~15分煮ます。ときどき混ぜながら、全体の味をなじませ、とろみが少し付くまで加熱します。ライム果汁大さじ2を加え、味を見て必要ならライム果汁または塩を追加します。煮詰まりすぎた場合はブイヨンを少量加えますが、卵が沈まず表面に収まる程度のとろみは保ってください。
手順7:おたまの背でシチューにくぼみを作り、それぞれに卵を割り入れます。ふたをして中弱火で5~8分加熱し、白身が固まり、黄身がお好みの固さになるまで火を通します。
手順8:ライムの皮を取り除きます。器に盛り、ご飯や温めたフラットブレッド(平焼きパン)と一緒にいただくか、「タフディーグ(ペルシャ風おこげご飯)」の上に盛り付け、ヨーグルトを添えてお召し上がりください。

注記
ハーブミックスは中東食材店で購入できるほか、Amazon、Persian Basket、スパイス専門店などのオンラインショップでも入手できます。多くのメーカーが常温保存できる乾燥ブレンドを販売しており、数か月保存可能です。
乾燥豆は浸水してから調理することで、抗栄養素(栄養の吸収を妨げる成分)が減り、消化しやすくなるうえ、缶詰よりも大幅に安価です。豆類を浸水・調理する健康上の利点について詳しく知りたい場合は、関連記事をご覧ください。時間がない場合は、水気を切ってよく洗った約425g缶のブラックアイドピー2缶で代用できます。
よくある質問
Q:乾燥ハーブではなく生のハーブを使えますか?
A:はい、使えます。ただし、生のフェヌグリークの葉は一般的に入手しにくいため、乾燥フェヌグリーク大さじ2と、細かく刻んだ生ハーブ約4カップを使用してください。乾燥フェヌグリークは、注記で紹介した中東食材店やオンラインショップで購入できます。
乾燥ハーブミックスに近い風味にするには、刻んだパセリ約3カップと、刻んだリーキまたは青ねぎ1カップを使います。パクチーも加えたい場合は、パセリ約2と1/2カップ、パクチー1カップ、リーキまたは青ねぎ1/2カップを使用してください。この場合はハーブを戻して水気を絞る工程は不要です。細かく刻んだ生ハーブを、そのままレシピどおり炒めてください。
Q:乾燥ハーブミックスはどれくらい保存できますか?
A:密閉容器に入れ、冷暗所で保存すれば、通常は約12か月保存できます。ただし、最も香りが豊かなのは保存後数か月間です。
Q:残ったシチューは冷凍できますか?
A:はい、冷凍保存できます。約3か月保存可能です。完全に冷ましてから密閉容器に入れて冷凍してください。温め直す際は鍋で弱火にかけ、必要に応じて水またはブイヨンを少量加えてください。
(翻訳編集 井田千景)
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