冬に「気」と「血」を補うには? 女性のための中医学的セルフケア

「気」と「血」は支え合う存在

中医学では、「気」と「血」は互いに支え合い、連動して働く存在とされています。『張氏医通』という古典には「気と血は互いに依存し、どちらかが欠けても体の調和が保てない」と記されています。血がなければ気は散ってしまい、逆に気がなければ血は滞って流れなくなるというのです。

「血は気の母」であり、内臓の働きを保つためには血による栄養が不可欠です。一方で「気は血の指揮官」であり、血の生成を助け、正しく循環させる働きがあります。気の力が弱まると血がうまく流れず、瘀血や出血といったトラブルを招きます。

このように気と血は切り離せない関係にあるため、血が不足している「血虚」の人は、気も不足している「気虚」を伴うことが多いのです。「当帰補血湯」という薬膳は、気を補うことで血の生成を促す代表的な処方です。
 

「貧血」と「血虚」は違うもの?

「血虚」とは文字通り、体内の血が不足している状態を指しますが、西洋医学でいう「貧血」とは完全に一致しません。西洋医学では、血液検査で赤血球やヘモグロビンが基準値より低いと「貧血」と診断されます。酸素の供給が不足し、疲労感やめまい、動悸などの症状が現れます。

一方、中医学での「血虚」は、貧血も含みますがそれだけではありません。検査結果が正常でも、全身のだるさ、立ちくらみ、動悸、顔色が悪い・黄色っぽいといった症状がある場合、「血虚」と考えられます。
 

血虚による症状と影響

血虚になると、全身または特定の臓器の血液循環が悪くなり、栄養が行き渡らず機能が低下します。主な症状は、疲労感、顔色の悪さ、唇やまぶた、爪の乾燥と色あせ、めまいや目の前が暗くなる感覚などです。

中医学では「髪は血の余り」とされ、血虚により抜け毛が増える人もいます。また、血が「心」に栄養を届けられないと、動悸、不眠、多夢、記憶力低下が起こり、血が「肝」に届かないと、目の乾きや視力低下、筋肉のけいれんが生じやすくなります。手足の血虚は、しびれや乾燥の原因にもなります。
 

血虚になりやすい4つのタイプ

1. 女性全般:月経、妊娠、出産、授乳といった過程で大量の血を消耗するため、女性は血虚になりやすい傾向があります。更年期になると「腎精(じんせい)」が減少し、気血の生成が追いつかなくなることも。

2. 脾胃の働きが弱い人:中医学では「脾は気血を生み出す源」とされ、以下のような人は脾胃の機能低下で血が作れなくなります。不規則な食生活:過度なダイエット、暴飲暴食などにより脾胃が弱る。考えすぎる人:長期間のストレスや過度な思い悩みは「思いすぎは脾を傷つける」とされ、脾胃の働きを損ないます。

3. 目を酷使する人:中医学では「長く見ると血を傷める」と言われ、スマホやパソコンを長時間使うことで肝の血が消耗され、目の乾きや疲れを引き起こします。

4. 夜型生活の人:中医学では「夜は血が肝に戻る」とされており、夜更かしによって体の修復が妨げられ、気血の再生が追いつかなくなります。
 

血虚を防ぎ、整えるための5つのポイント

  1. 食事のリズムを整える:毎日の三食をきちんと摂ることが、気血を順調に作るための基本です。暴飲暴食や極端なダイエットは脾胃を傷つけ、血の生成を妨げてしまうので注意しましょう。
     
  2. 目の使いすぎを避ける:スマートフォンやパソコンなど、長時間の画面使用は肝の血を消耗させると中医学では考えられています。目の疲れや乾燥を防ぐためにも、適度な休憩を取りましょう。
     
  3. 十分な睡眠をとる:夜更かしを避け、毎晩しっかり眠ることで、身体は気血を修復・再生する時間を確保できます。規則正しい睡眠習慣を心がけましょう。
     
  4. 秋冬は「保湿」と「保温」がカギ:中医学では「秋は乾燥」「冬は寒さ」とされ、空気が乾き気温が下がるこの季節、血虚体質の方は特に体内の水分が奪われやすくなります。血も水分のひとつであるため、乾燥や冷えは血液循環を悪化させ、皮膚のかゆみやひび割れ、手足の冷えやしびれといった症状を引き起こす原因に。日常的に肌の保湿と体の保温を意識し、とくに後頭部は風寒が入り込みやすい場所なので、外出時は帽子をかぶるなどして守りましょう。
     
  5. 「鉄分・ビタミン・補血・補気」の4つの食材を意識して摂る:鉄分を豊富に含む食品:赤身肉、豚レバー、マグロ、牡蠣、レンズ豆、キヌアなど。ビタミンCを含む食品:ブロッコリー、柑橘類、キウイ、トマト、桑の実など。血を補う中薬素材:当帰(トウキ)、白芍(シャクヤク)、何首烏(カシュウ)、黒ごま、きくらげ、龍眼肉など。気を補う中薬素材:黄耆、白朮、長芋、ナツメ、党参など。

 (翻訳編集 華山律)

林湘宛