【伝統文化】慈悲心が人を正道に連れ戻す

2006/12/14 14:38
 【大紀元日本12月14日】清代、ある裕福で徳望の高い老人がいた。ある大晦日の夜、老人は宴に参加するために、2人の家来にロウソクを持たせて、邸宅の居間へ向かった。老人は、庭を通りかかったとき、木の上に人がいるのに気がついた。そこで、口実をつくって、家の者をみんなその場から立ち退かせ、家来には酒とつまみを持って来るよう言った。老人は、木の上の人影に向かって「もう誰もいないから、下りてきなさい」と声を掛けた。木の上の者は、老人に声を掛けられ大層驚いて落ちそうになった。老人は「怖がらなくていい。私はあなたを捕まえたりしないから」と落ち着かせた。

 木の上から下りてきたその者は老人に土下座し、必死に謝った。老人の邸宅に潜んでいたのは、実は隣人だったのである。老人はその者に食事をさせ、何か要るものはあるかと問うた。隣人は涙ながらに、「家に老母がおり、今年は不作にあったため、年を越せなくなりました。そこで、裕福な旦那様のお宅から物を盗み取ることを思いついたのです」と自白し、「旦那様は私の罪を問わないと言ってくださいました。これ以上、何の望みがありましょうか?」と激しく泣き出した。

 老人は、「私が隣人を援助しなかったばかりに、隣人によくない行いをさせてしまった。私が一番いけないのだ。まずはお腹いっぱい食事をしなさい。30両の銀を差し上げるから、お正月が明けたら、これで商売をして生活しなさい。二度とこのようなことをしてはならない。他の人だったらあなたの行いを許してくれないだろうし、そうなったら自分の母親まで不幸にしてしまう。一旦強盗や泥棒をしてしまえば、一生その汚名を拭い去ることはできないのだから」と話した。

 隣人が食事を終えると、老人は彼に30両の銀と食べ物を与え、塀の下まで連れてきた。「この食べ物はお母さんに差し上げなさい。あなたは、私の家族に知られないように、来た時と同じようにここから出なさい。私もこのことは誰にも言わないから」と言った。

 隣人はその後、改心して正道に立ち返った。隣人は、老母が亡くなると出家し、一心に修行して、西湖霊隠寺の住職になった。老人が亡くなった時、隣人は遠路はるばる老人宅まで葬儀に駆けつけ、当時この老人から救ってもらったことを皆に明かしたという。

(文・清言、明慧ネットより)


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