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北京五輪は中国が抱える問題を解決できるか―国際社会が関心を寄せる話題だが、中国人の関心はそれ以上だ=嘆願書を手にして訴える直訴者たち(Getty Images)

五輪は中国を変えたか=英BBC記者

 【大紀元日本8月23日】1998年から2006年の間に北京に駐在した英BBC記者のルパート・ウィンフィルド・ハイス氏は今年、五輪のために再び中国に戻った。ハイス氏は五輪が中国にとっての重要性、中国に変化をもたらしたのかについて鋭く観察した。

 ハイス氏は、至る所に建築ブームだった2年前の北京は、今では異国情調が濃厚な現代化都市にすっかりと変わってしまったとし、北京は完全なるものを建築して、不完全なものをごまかそうとしている見解を示した。

 *北京直訴村、「同じ世界、異なる遭遇」を訴える

 ハイス氏は北京駅南側に粗末な家屋が並ぶ直訴村を例に挙げた。ここに大陸各地から数千人の直訴者が集まる場所だということは数年前にはすでに耳にしていた。

 直訴者たちの境遇は非常に悲惨だ。地元で直訴しても受理されないため、北京の中央政府に訴えている。直訴者の多くは数年間も訴え続けており、案件を解決してもらうために、10年以上待っている者もいるという。

 五輪開幕前に、ハイス氏は再び直訴村に出かけたが、直訴村はすでになくなった。目の前に現れたのは、ブルドーザーが家屋を取り壊した後の残土処理している光景だった。それでも諦めない数百人の直訴者たちは付近で野宿しながら粘っている。

 海外記者が取材していることに気づいた直訴者たちは、たちまちハイス氏を囲み、それぞれの生い立ちを話した。「同じ世界、異なる境遇」の紙を手にする者もいれば、請願書を見せる者もいた。

 当局は、直訴者は「社会の不安定要素」であるとし、五輪期間中は北京にいてはならないとした。実際、昨年末、警察は直訴者たちを取り締まり、多くは地元に追い返されたという。

 直訴者と話しているうちに警察が到着し、尋問してから直訴者たちを記者から追い散らした。

 *太石村事件、報道自由はなかった

 ハイス氏は報道記者として中国で8年間勤めて得た経験とは、決して警察ともめないことだと強調した。何故なら、警察と揉めてしまうと何時間も無駄になり、写真フィルムも取り押さえられてしまい、写真がなければ、報道もできなくなるからだと指摘した。

 ハイス氏は、五輪開催に当たり中国政府は報道の自由を約束し、外国人記者は政府関係者の同行なしでも中国各地へ自由に行動できるという規則を定めたことに対して、1949年以来の報道の自由化であるとし、この機会を活用して、太石村を取材したいと示した。

 太石村は広州市の近郊に位置し、ほかの多くの農村と同じように他の都市に吸収され、新しい工業地区に変貌を遂げた。3年前、村民たちは、本人たちの許可なしで農地が売られたことに、大規模の抗議活動を行なったという。当時、ハイス氏は取材しようとしたが、村民たちから地元政府が暴力団を雇っており危険性が高いことから、取材をあきらめた経緯があった。

 今回は、北京当局が定めた法律があり、ハイス氏は正々堂々と車で太石村へ直行した。しかし、数分後警察が現れ、証明書を求められた。ハイス氏はいかなる証明書も不要だと記載されている五輪報道条例を見せたが、まるで初めて知ったかのような顔をした若い警官は携帯に電話をかけ始めた。

 ハイス氏は構わずにカメラマンを連れて町の中心へ進んだ。地元の住民を捜しているときでも、警官はそばを離れなかった。町にいる住民に声をかけたが、側にいる私服警察が厳しく住民らを監視しているため、誰も返事をしなかった。その上、警官はカメラの撮影を中止させようとした。「ここの村民は非常に怯えていて、話すことはできない。彼らは外国人記者と話せば、どんな結果をもたらすかは知っているからだ」と同氏は指摘する。

 *北京五輪、中国共産党の大型宣伝

 ハイス氏は、中国は五輪を国内外に威容を誇る一大イベントとして利用している。この状況の下、異なる声を見つけることは容易ではないが、それらの声は実際に存在しているのだと示した。ハイス氏は五輪メインスタジアム「鳥の巣」のデザイナーの一人で、五輪開会式の出席を拒否した艾未未氏と北京で会うことができた。

 艾未未氏は「五輪は政府が制御しているもので、真の情報を伝えることはできない。全体主義は人々に本当の喜びを与えることはできない」と主張した。

 ハイス氏は、中国の変化は興味深いとしながら、中国政府は本質的に変わっておらず、強権による制御を続けていると示した。中国政府はスポーツと政治は無関係だと強調しているが、実際に、五輪を共産党の勝利として大々的に宣伝していると指摘した。

 
(記者・王穹、翻訳/編集・余靜)


 (08/08/23 06:19)  





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