THE EPOCH TIMES

<真善忍美術展作品鑑賞> 善の灯台

2012年04月17日 07時00分
 【大紀元日本4月17日】ニューヨークマンハッタン南端のバッテリーパーク。たいまつを高く掲げる自由の女神像が遠くに見える。厳冬、手すりには氷が張りつき、空には大きな雪片が舞う。海風が吹きすさび、どんよりとした雲が垂れ込める。鉛色の空と海と波、空気まで凍てついているかのようだ。

 この灰色の天地に一人の男が立つ。頭には二重に帽子を被り、首には毛糸のマフラーを巻き、手には革の手袋をはめ、胸の前に大きなパネルを持つ。「中国の法輪功修煉者への迫害ストップに手を貸してください」の文字の下には、迫害の様子を示す生々しい絵が並ぶ。強風にパネルは折れ曲がっているが、この男性は女神像と同じく、微動だにしない。

 正義の気で光を放つ

 身を切るような寒風の中で、男性は震えることもない。端正できりりとした顔はかすかに赤みを帯び、澄んだ目は遠くを見つめている。肩から下は見えないが、どっしりとした頼れる体であるのがうかがえる。その体はまるで沖合の女神像と互いに照り輝く灯台のようである。

 彼を灯台と称するのは決して誇張ではない。光り輝く顔と鋭く光を放つまなざし、そして全身から放たれる正義の気が、画面全体のどんよりとした色調とコントラストをなし、凍てつくような海辺に安らぎを与えている。全身からあふれ出る「善」が周りの景色を変えているのである。

 この絵の主題は、純白のパネルに書かれた真相。純白は、あまりにも痛ましい真相を表すにふさわしい色と言えよう。

 パネルを手に持つ男性と、遠くにかすかに見える女神像、そして空を舞う雪と寒々とした海以外、この絵には何もない。しかし、この簡潔な画面から、尽きることのない内涵があふれ出る。この絵は、見るほどに豊かな色調と感動的な情感を感じ取ることができる。男性の善良でしっかりとしたまなざしを見つめれば見つめるほど、大きな励ましを受ける。まるで、世界の大海原にどっしりと立つ灯台が、薄暗い天地に神々しい光を放ち、海上で方向を見失った漁師や船乗り、さらには海を泳ぐ魚や空を飛ぶ海鳥に恒久のいたわりと慰めを与えているかのようである。

 その灯台は普通の人である。唯一違うのは、彼が法輪功の修煉者だということ。この大胆な絵を描いた人も同じく法輪功の修煉者である。彼らのおかげで、私たちは、海をさまよう船乗りたちと同じく、いたわりを与えられ、寒さと暗闇に堪え忍ぶ恒久の力と希望が得られる。

 穏やかな心で描く

 この絵がどのようにしてできたのか、作者の汪衛星氏は次のように話す。「私は絵の中の男性を家に招き、彼の目を見ながら4時間描きました。彼はとても純粋です。ほどなくして自分の生活や家庭のことも話してくれました。彼の眼は透き通って澄んでいて、まるで子供の目のように少しの曇りもありませんでした」

 「私は穏やかな気持ちを保ちながら、色彩と明暗のわずかな変化を使って、風雪の動態を描きました。しかし、明暗と色彩のバランスがうまく取れなければ、それが目立ってしまい、男性の顔の表情がかすんでしまいます。だから、どのようにしてそのバランスを保ちつつ、それを(サブの)主体でない地位に弱めるかという点で、細やかな変化が求められました。この種の静態で動態を描くというのは容易ではありません。なぜなら、ややもすると、全体の動態を忘れてしまうし、動態を保ちつつ穏やかな心で絵を作成するには、強いセルフコントロールが必要だからです。顔の表情と輪郭の虚実の変化も、私がこれまでうまく表現できなかった部分なので、心を落ち着けて観察し、細やかな表現が必要でした。しかも、何を表現すべきか、何が本当の美と善かということを知らなければ、うまく表現できなかったでしょう。なぜなら、それは技巧に頼って表現できるものではないからです」

 この絵が形となり、奥深い色調を生み出して私たちの面前に姿を現すまでには、並々ならぬ時間を要した。しかも、画中の男性は、絵に収められるまでに、凍てつくような寒空の下でも、照りつける太陽の下でも、毎日そこに立ち続けていたのである。この忍耐強い善の行いがあったからこそ、独特な光明を放つ絵が出来上がったのである。

 (文・夏禱、翻訳編集・瀬戸)


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