【簡美育作品集】『静観』・その二

【大紀元日本6月13日】外形の写実を通じて、草花の内面における深遠な精神を、いかにして伝えることができるのかが、画家に課せられた課題であろう。この作品は、花の形状や色彩を描き出したことに留まらず、その花のもつ味覚、聴覚および触覚をも感じさせるものである。香りに誘われて飛んで来た蜜蜂、花びらが開花する瞬間の波動、開花したばかりの花の柔らかさ、その周囲を軽やかに舞う蜜蜂といった一連の描写は、観るものの五感を揺さぶる。

赤色の茶の花(30cm×22cm/1998年)

茶の花は画家に好まれる題材である。さまざまな種類や花色がある上、至る所で見かけられ、観察し、描写しやすい花である。しかし、外形が非常に正確に描かれたとしても、その内面にある真実を正確に伝えられるわけではない。芸術は、事物の内在における真実から誕生したものである。対象となるものの形状しても、色合いにしても、描かれた絵は、必ず感情というものを表現しなければならない。

*画家のプロフィール  簡美育:画家、1953年台湾省南投生まれ。台湾密画の画法による花鳥絵画を得意とする。幼少時から絵画に親しみ、台湾芸術大学美術科卒業後、1987年台北市立美術館で初の個展を開催。20二十数年の間に、その画風はしばしば変更されたがをえてい、近年の制作された密画の画法による作品群は、台湾美術界にで絶賛された。完璧な構図及び技法に加え、西洋絵画の明暗法も取り入れられているのが、その特徴となっている。一連の作品は、「万物を静観すれば、自然にその内在する生命力の強さがわかる」という、独自の自然観に基づいている。代表作の『竹雀図』は、歴代における竹雀の密画絵画の中でも、宋の巨匠徴宗に次ぐ名人作だと言われています。代表作である『竹雀図』は、歴代の竹雀密画作品中、宋の巨匠・徴宗に次ぐものと、高く評価されている。)

(廖雪芳執筆)