中国の水銀汚染、米国に波及

【大紀元日本4月16日】米国環境保護局(EPA)の報告によると、伝統的な石炭による火力発電所で発生する水銀は、中国大陸からの大気汚染と共に米国まで流れているという。水銀は人間の神経系統を破壊する有毒重金属であることから、米当局をはじめ、隣接する国々も警戒を強めているという。

フィナンシャル・タイムズ紙4月12日付け報道によると、中国を訪問した環境保護局のスティーブン・ジョンソン主任は、当「中国汚染」が米国にとってもっとも直接的な衝撃であることを示した。ジョンソン氏は、米当局はすでに、中国およびインドから、高含量の「水銀沈積物」の追跡を開始したという。

ジョンソン氏は中国環境保護総局(SEPA)局長・周生賢氏に対して、米国の東西沿岸に、中国から流れてきた化学的顆粒状物質を発見したことを指摘した。ジョンソン氏は、特に水銀の汚染には国境はないことを示した。

国連の研究報告によると、自然および人為的な水銀の汚染は、53%がアジアに起因し世界トップで、18%のアフリカが2位。米環境保護局は、世界における年間金属排出量は4400~7500トンであると警告した。米中は昨年11月に、広範囲にわたる環境協議で、大気中の水銀の拡散問題があげられ、米環境保護局は、中国の水銀排出総量の制御に協力をしている。

一方、中国国内の大気および水路における水銀含量は憂慮すべきである。水銀は魚や動物の体内に蓄積し、人間がそれを食せば、先天性欠陥、発育問題およびガンの発生になる可能性が高いとみられる。

また、中国東部の江蘇省は工場の集中する場所であり、今年に入ってから、水質の検査を行い、魚類には41%、水銀、カドミウムおよびを含む各種重金属が含まれていることが明らかとなった。

ジョンソン氏は、中国のセメント生産量は世界の40%を占めており、発がん物質であるダイオキシンおよびフランを生成する源であると指摘し、水銀と同様に大気によって遠くまで運ばれている可能性が高いとし、これらの物質を「人類に知られているもっとも毒性の高い汚染物」であるとの見解を示した。

また、火力発電所から排出された二酸化硫黄などの有毒ガスがすでに多くの地域に酸性雨をもたらしている。中国の中部および東部地区は、ここ10年間に酸性雨の被害を受けており、さらに、国境を越え遠い地区までに波及する可能性があるとみられる。中共側は、今年の石炭火力発電による二酸化硫黄の排出量が上昇すると発表している。ジョンソン氏は、米環境保護局は数日前に中共の環境保護部門と有害廃棄物処理に関する協議に同意したことを明らかにした。

報道によると、ジョンソン氏の中共訪問は上記協定を結んだほか、上海港およびロサンゼルス港に跨る太平洋における大気汚染問題に関して、上海港湾管理局と会合を開いた。北京の病院に対して、廃棄物中に水銀残留状況の把握および水銀排出量を下げるための努力を図った。また、上海の石炭火力発電所に対して、酸性雨をもたらす二酸化硫黄の排出状況を調査し、北京市環境保護局副局長・裴成虎氏と、2008年北京オリンピク開催前までに大気汚染を改善する件について会談を行った。また、すでに米国の300以上の都市で使用されている「空気質量測定および通報システム」を上海で発表した。

(記者・馮靜)
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