香港記者協会前会長、香港メディア報道自粛を批判

【大紀元日本5月31日】香港記者協会前会長・麦燕庭氏(香港ラジオ元取材主任)がこのほど、言論の自由賞を受賞した。同氏は、受賞後の米国VOAの取材で、香港メディアの報道自粛が日々深刻になり、報道の自由を妨げていると強調した。

報道によると、麦燕庭氏はこれまでに香港の報道自由のため、奮闘し続けてきたことから、5月26日、ロサンゼルスで米国視覚芸術家協会から人権賞を授与された。麦氏は香港の報道自由に対する各界からの支持に感謝の意を表した。

麦氏は、報道自粛を拒否するため、今年初めに職を離れた。その後、記者協会のために、香港報道自由度のアンケート調査を行った。それについて、麦氏は、「香港記者協会が調査を行った結果、メディアの60%は、香港での報道自由は1997年の返還後に後退していると回答した。その主たる原因は、メディアの報道自粛である。メディアの60%が自己審査は1997年よりさらに深刻になったと答えた。調査に協力した3割の記者が、自己審査を認め、4割の記者が同僚の自己審査を証言した。この問題は非常に深刻で、憂慮すべきだ」と説明した。

麦氏によると、報道自粛の主な対象は、中国当局あるいは、メディアの所有者に不利な報道である。中国当局の政府関係者も、「台湾独立や、チベット独立、法輪功などに関する報道は、出してはならない。これらの分野は報道自由の範囲に属さない」と発言していたという。

また、麦氏は、香港の多くのメディアの経営者が中国当局の人民代表大会あるいは、政治協会などの権力機構に加盟させられたため、事実上すでに「中国共産党色」に染められたと指摘し、多くの若い記者は中間管理層の要求に完全に従うため、自分が報道の自己審査をしていることすら気づかないでいると明かした。

このように「自粛」するメディアについて、麦氏は、「市民がいずれはこの問題に気づき、彼らを支持しなくなる」と指摘した。

麦氏は、「企業もメディアの自己審査を好まないはず。なぜならば、偏った情報提供は誤った経営決断を招く恐れがあり、ビジネスに支障をもたらす。例えば、1989年の天安門事件、_deng_小平氏と民衆は一方的な情報しか聞かなかったため、間違った決断を下した」と述べた。

中国当局がオリンピック開催期間中に、外国メディアへの報道規制を緩和し、国務院報道事務局の副主任・王国慶氏が米国VOAに対し、「メディアに協力し取材を円満に進めさせる。もし順調であれば、オリンピック後もこの政策を継続」と表したことについて、麦氏は悲観的な態度を示した。

麦氏は、「報道規制を緩和するのはよいことだが、実行するにあたり多くの問題が生じるはず。当局の政府関係者がすんなりと取材許可を出さないほか、真相を把握している中国の民衆も、取材を受けた後の自身の処遇を十分に察知している。そのため本当の情報を得るには極めて困難」と分析し、最近、エイズ患者を救済する活動家・胡佳氏や、趙紫陽・元総書記の秘書・鮑彤氏への海外メディアの取材が一旦許可されたが、結局禁止されたとの事案を挙げ、これはもっとも典型的な実例であると話した。

また、麦氏は、香港の報道自由は中国国内にも影響があると指摘した。彼女は実体験に基づき、「昔の中国メディアはおとなしく記者会見に参列していたが、いまは、香港のメディア同様に現場でニュースを探し集めている。1989年、私は天安門広場に一ヶ月間留まっていたが、香港メディアが大いに尊敬・保護されているのを実感した。国内の民衆が香港メディアによる真相の伝播に期待を寄せているからだ」と明かした。

取材の最後に、麦氏は、「このような情況により、中国当局が報道規制の緩和を迫られていくはず。民衆も異なるルートで彼らの声を出せるのを知っている。最も大きな役割がここにある。すなわち、知らないうちに感化させる。我々が中国当局から報道の自由を得るのは、不可能なことである」と見解を述べた。

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