ファンタジー:個人タクシー「金遁雲」の冒険独白(1)

私の名は張帰山、出身は中国の四川省だ。生まれは唐代なので1200歳位か・・・峨眉山の洞穴でひたすら座禅し、「精」「気」「神」を守り、「炁(き)」「性」「霊」に還すことに成功し、諸仙人の認める中で「自分なりに」得道し、「そろそろ三界を出ようかな?」と目算している内に、猿居士悟空が「いいものがあるから・・・」と耳打ちしてきた。

 悟空は、「実は、カカ仙女の万物を生み出す珠を見つけたのじゃ。これをせしめれば、世界の王になれるぞ」。実はもう三界には興味がなかったのだが、「まてよ・・・十方世界の宝かもしれん・・・これで一気に弥勒さまと比肩されようかもしれんな・・」とふと考えた。

 悟空の乗る金遁雲の端をつかみ、ひとしきり中国神仙界を渡ると大勢の竜神に守られたカカ仙女の天空御殿が見えてきた。護衛の竜神たちに軽く会釈して「先天三宝」の札を出すとサッと通された。中では仙女は「昼寝」に興じていた。

 大きな扇で風を送る仙童女にそっと耳打ちし、「万物を生み出す珠はどこにあるのか?」と聞いてみたが、ようとして答えてくれない。そこで自身の宝であるで練った飴をしゃぶらせると、仙童女がそっと指差す方向に珠はあった。

 それは仙蒙竹の上に真紅に輝きながら、プカプカと浮いていた。それをサッと引っ掴むと、悟空に目配せして天空御殿を後にした。するとしばらくもしない内に、神仙界の追っ手がやってきた。神仙界の長である玉帝の警察勢力だ。

 金遁雲はあっという間に拿捕されて、「地暗泥」にハタキ落とされてしまった。地暗泥で後ろ手に縛られた私に、玉帝は厳しく「中原神仙界からの一時追放、東方神界への島流し」を宣告したが、「猿居士の宝物である金遁雲と如意棒、それと金冠を与える。徳積みに励めよ。さすればいずれは還すから」と最後は慈悲を示してくれた。

 こうして私は、現代の「日本」と称される国に降りてきた。中原神仙界に還るためには、私はここで「徳積み」をしなくてはならない。とりあえずは、「帰国者」に扮し、金遁雲を物質化してタクシーという乗り物にし、タクシーの運転手として活動することにした。これが、私が日本に来た経緯だ。「それにしても、この国には邪気邪霊が溢れかえっている。ガンガン天誅を喰らわすぞ!」これが着任そうそうの私の率直な感想だ。

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